見出し画像

#ネタバレ 映画「ガメラ3・邪神〈イリス〉覚醒」

( 引用している他の作品も含め、私の映画レビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。 )

ガメラ3・邪神〈イリス〉覚醒
1999年作品
自衛隊がヒーローではなかった時代の空気  
2021/2/26 10:33 by さくらんぼ(修正あり)

「 4年前の1995年、東京を舞台としたガメラとギャオスの戦いで最愛の両親を失った中学生の綾奈は、今は弟と共に奈良県南明日香村の親戚の家にひきとられ暮らしていた。彼女のガメラに対する憎悪は日増しに膨らむ一方で、… 」( ぴあ映画生活「ガメラ3・邪神〈イリス〉覚醒」あらすじ より抜粋 )

この作品のレビューも書いた記憶がありますが、なぜかありません。頭の中だけで書いたのか、どこか別の作品に付記したのか。

先日TV放送されたものを少しづつ観ていますので、それで気がついたことを加えて書いてみます。

公開当時に思っていたのは、この映画のガメラは自衛隊の記号で、ヒロイン・綾奈(前田愛さん)が憎んでいたのは自衛隊なのではないかという事です。

映画「シン・ゴジラ」にも出てきますが、もし敵と市街戦になれば、自衛隊とて守るべき国民に被害者を出すこともあるでしょう。綾奈はその被害で家族を亡くし、自衛隊を逆恨みした少女なのでしょう。

なぜそんなストーリーなのか。

今でこそ自衛隊はヒーローですが、昔は平和憲法の前での自衛隊の存在に、困惑する世論の方が多かったと思います。私の亡き父も、自衛隊を「ひとごろしのれんしゅうをしている」と忌み嫌っていました。

1995年1月17日、阪神・淡路大震災が発生したときには、「自衛隊の出動が遅かった」という声もあったようです(これについては反論もあるようですが)。

私は真相を知りませんが、まだ世論に自衛隊アレルギーが残っていた時代なので、それが、責任者の決断に反映されていたとしても、おかしくないと感じています。いずれにせよ、たくさんの方が亡くなられ、その中には親を亡くした子供さんもいらしたことでしょう。

そして、ヒロインが両親を亡くしたのも、その大震災と同じ1995年の設定なのです。

この作品は1999年に作られました。

追記 ( 愛に飢えたヒロインは愛も求めた、のか )
2021/2/26 10:52 by さくらんぼ

( 以下、映画「エイリアン」のネタバレにも触れています。 )

「 … そんな中、彼女は村に古くから伝えられている伝説の神獣「柳星帳」が眠る・社の沢・の祠の封印を解いてしまう。… 」( ぴあ映画生活「ガメラ3・邪神〈イリス〉覚醒」あらすじ より抜粋 )

洞窟に入り、生まれたばかりの「柳星帳」のヒナをかわいがる綾奈。

彼女に向かう粘液まみれの「柳星帳」の長い首は、まるで男根のようです。

やがて彼女も粘液まみれになり、助け出されたときに駆け付けた警察官は、「お前たち、悪い遊びでもしてたんじゃないのか?」みたいなセリフを言います。

男根に驚く必要はありません。あの傑作映画「エイリアン」には、星に放置された宇宙船のデザインや、エイリアンのデザインなど、男根をモチーフにしたり、粘液まみれの描写が満載です。

あちらは生殖が主題になっていましたね。

追記Ⅱ ( 救世主はお寺さん・伊勢湾台風の記憶 )
2021/2/27 17:37 by さくらんぼ

>今でこそ自衛隊はヒーローですが、昔は平和憲法の前での自衛隊の存在に、困惑する世論の方が多かったと思います。私の亡き父も、自衛隊を「ひとごろしのれんしゅうをしている」と忌み嫌っていました。

>1995年1月17日、阪神・淡路大震災が発生したときには、「自衛隊の出動が遅かった」という声もあったようです(これについては反論もあるようですが)。

>私は真相を知りませんが、まだ世論に自衛隊アレルギーが残っていた時代なので、それが、責任者の決断に反映されていたとしても、おかしくないと感じています。いずれにせよ、たくさんの方が亡くなられ、その中には親を亡くした子供さんもいらしたことでしょう。(本文より)

私たちは伊勢湾台風の被災者で、あの日の記憶は断片的にですが鮮明です。

まだTVも無く、停電も起こり、トランジスタラジオも無かったので、「台風の接近状況を知る方法は、窓の外を見ることだけ」でした。そうしている内に、玄関から水が入ってきたのです。

最高で1.5mほど浸水し、私たちは濁流の中、隣家の二階に避難させてもらい命拾いをしました。その後も数十センチの水が一か月ぐらい引きませんでした。

完全に水が引くまでの間、町へ出るときには、手作りのいかだで、電車道と呼ばれる市電が通る道まで(そのあたりは比較的早く水が引いた)、片道1キロぐらい竿で漕いで行きました。

配給の記憶は、近所のお寺さんが、翌朝おにぎりを一家にひとつづつ配ってくれた事だけです。ボートで来てくれて、屋根で受け取りました。五目飯のおにぎりで、子どもの私は遠慮なく独り占めしてしまいました。あんなに美味しいおにぎりを食べたことはありません。

しかし、一人も自衛隊員の姿を見た記憶はないのです。TVがないので活躍状況も見ることができません。男の子は兵隊さんが好きなので、制服の自衛隊員を見れば覚えているはずですが。

今、ネットで検索すると、かなりの延べ人数が投入されていたようですが、避難所とか、私のところよりもっと被害が大きい場所で作業されていたのでしょうか。

被災後も、真空管ラジオは浸水して使い物にならないはずなので、電波で情報が入る手段は無きに等しかったと思います。

もし、あの時、お寺さんではなく、自衛隊員の方からおにぎりをもらっていれば、私の父の自衛隊に対する認識も変わっていた可能性があると思いました。

追記Ⅲ ( 映画「野生の証明」 ) 
2021/2/27 17:41 by さくらんぼ

チラシの構図が、似てると言えば、似てなくもありません。

映画「ガメラ3・邪神〈イリス〉覚醒」

映画「野生の証明」

追記Ⅳ ( ガメラの戦いも「野生の証明」か ) 
2021/2/28 9:40 by さくらんぼ

「そもそも、なぜガメラは人類の味方なのか」。

その問いに対して、どこかの回では、こんな趣旨のセリフがありました。

「人間が作っている地球環境がガメラの棲息にも適しているから、ガメラは人間を守っている。

だから、その環境を乱す怪獣をガメラは排除しているのだ。

もし、人間の自然破壊がガメラの生息に適さなくなれば、ガメラは人間の敵になる」と。

追記Ⅴ ( 「枕」が命取りになることもある、らしい ) 
2021/2/28 14:07 by さくらんぼ

映画「 ガメラ3・邪神〈イリス〉覚醒」のクライマックス、ガメラが戦いに勝ち、イリスの体内から取り出したヒロインに、仲間の一人が胸骨圧迫・人工呼吸するシーンがあります。

その時、仲間は自分の上着を脱ぎ、丸めて枕代わりにヒロインの頭の下に入れてから、胸骨圧迫・人工呼吸を始めたのです。

40代の頃に私は消防署の救急救命研修を受けましたが、「胸骨圧迫・人工呼吸をするときには枕を使ってはいけない」と学びました。

枕を使うと気道がつぶれて呼吸困難になるのです。

そのまま地面(床)に寝かせ、顔を横に向けて、口を開き、口の中の嘔吐物などを指でかき出してから、胸骨圧迫・人工呼吸を行います。

最新の措置方法は知りませんが、少なくとも私はそう学びました。

タイトルはすぐ思い出せませんが、過去に別の邦画でも、室内で倒れた人に胸骨圧迫・人工呼吸をするとき、別室から枕を持ってきて使わせました。

その辺りは生死を分けかねないので注意が必要だと思います。

追記Ⅵ ( これは「公務員バッシング」の映画 ) 
2021/10/1 22:19 by さくらんぼ

本文にも書きましたが、映画「ガメラ3・邪神〈イリス〉覚醒」では、ガメラが自衛隊の記号であり、ガメラを憎悪する少女が公務員バッシングの記号だったのかもしれません。

公務員の内、3.11後の活躍で自衛隊へのバッシングは消えたのでしょうが、自らも被災しながら、自衛隊と違って撤収も出来ず、不眠不休で働いた自治体職員など、他のさまざまな公務員へのバッシングは、全国でまだ残っているのではないでしょうか。


( 最後までお読みいただき、ありがとうございました。 

更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?