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#ネタバレ 映画「フォレスト・ガンプ/一期一会」

「フォレスト・ガンプ/一期一会」
1994年作品
男の純情、女の打算
2014/6/30 13:39 by さくらんぼ(修正あり)


( 引用している他の作品も含め、私の映画レビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。)

映画「ロッキー」のヒロイン・エイドリアンは絶世の美女ではありません。でも値段は高かった。

親の育て方に問題がある場合も、子は自然な感情を抑え込む癖がついてしまうことがあり、結果、恋愛でも、なかなか口説かれない強者に、育ってしまうこともあるらしいですが、エイドリアンの場合は違うでしょう。

半分は本能かもしれませんが、彼女の場合は、美女ではないことを自分で承知しているから、少しでも自分を高く売るために逃げたのです。いわゆる恋愛につきものの、恋の駆け引き、なのでしょう。

エイドリアンは、自宅で実兄とロッキーが喧嘩を始め、これ以上引き延ばすと、恋愛が破たんする、というギリギリの状況になって、やっとデートをOKしたのでした。男は普通そこまで相手に非情にはなれません。

彼女は株屋になると良いでしょう。きっとピークで売り抜ける才能がある(冗談です)。

ところで映画「フォレスト・ガンプ/一期一会」のヒロイン・ジェニーは、映画では点々としか出てきません。一見すると、ささいな脇役のようですが、私は、ガンプと対称的な生き方をしている重要な共演者だとみます。

男の純情、女の打算、とか申しますが、ジェニーは打算に生きた女だったのです。

本当は、ジェニーはガンプが好きだった。スクールバスの中で席を譲ったのが記号です。その第一印象を大切にして生きていけばよかったのですが、ジェニーはガンプが知恵遅れであることを理由に、ガンプを捨てるのです。神の視点から見れば、人間なんて、みんな知恵遅れ同然の存在なのに…。

そして、その打算力を発揮して、理想の男を探し求めて生きていくのでした。若気の至りですね。でも、彼女は死の間際になって、やっと初恋のガンプこそが理想の男だったことを知るのです。もう遅いのですが。このように人知とは時に無力なものなのです。

一方、ガンプは、純情を生きています。彼のエゴに打算はありません。彼は、自分の周りに起こった出来事を、手の届く範囲の出来事ですが、すべて純情で処理していきます。その結果、ジェニーとは対照的な人生を歩むことになります。

実人生は、そんなに上手くいかないとの声も聞こえてきそうですが、その答えを、私は簡単には出せません。

ガンプが生きた人生は、聖書のマタイ6章25~34あたりに書かれていることを具現化したものではないかというのが、私の考えです。一口に言えば「神を信じ、思い悩まずに生きなさい」ということです。

この映画は、神を信じたガンプと、人知を信じたジェニーの、二人の顛末を描いた、いかにもキリスト教国の作品で、作品としても上質な、観ていて心地良いものでした。

言い忘れました。他のレビューでもそうですが、最近、私は女性蔑視と誤解されそうな、レビューを書いていますが、けっして、そうではありませんので、念のため申し添えます。

★★★★★

追記 ( 鳥のように生きたガンプ ) 
2014/7/2 6:00 by さくらんぼ

> ガンプが生きた人生は、聖書のマタイ6章25~34あたりに書かれていることを具現化したものではないかと言うのが、私の考えです。一口に言えば「神を信じ、思い悩まずに生きなさい」ということです。

6章25

それだから、あなたがたに言っておく。何を食べようか、何を飲もうかと、自分の命のことで思いわずらい、何を着ようかと自分のからだのことで思いわずらうな。命は食物にまさり、からだは着物にまさるではないか。

6章26

空の鳥を見るがよい。まくことも、刈ることもせず、倉に取りいれることもしない。それだのに、あなたがたの天の父は彼らを養っていて下さる。あなたがたは彼らよりも、はるかにすぐれた者ではないか。

( ウィキソースより聖書マタイ6章25~26 )

ガンプの元へ空から白い羽が落ちてくるシーンがありました。色々な解釈があるでしょうが、私は、聖書の記述から、ガンプが鳥であることの記号だと思います。ガンプも白いスーツを着ていましたし、鳥のごとく無垢に生きていましたから。

そして、ガンプは飛ぶがごとく足が速い。これも鳥の記号でしょう。人間ガンプは走ることで飛翔を表現したのです。

それに、ガンプのDVDに載っている、ベンチに座っている後ろ姿の写真。あの鋭敏かつ華奢を感じさせる、極めて意図的な後ろ姿。脚は鳥の華奢な脚、両手は広げた鳥の羽の様に見えます。

ガンプが後に成功するエビ漁。外見的にはエビは海の虫の様。鳥は虫を捕りますからね。

今、日本は集団的自衛権で議論が沸騰していますが、ガンプも戦争に行きました。今の日本人に、この映画は何か参考になるのでしょうか。

追記Ⅱ ( 本物の鳥瞰図はすごい ) 
2014/11/9 12:09 by さくらんぼ

本日のTV「報道2001」で、ソニーの新小型カメラ(63g)を鷲の背中に搭載し、それで空撮した映像を流していました。カメラのCM映像のようです。

すごく興奮しました。

本当に感動的な美しい映像です。

鳥たちは日常的に、あんなにも美しい世界を見ていたのですね。

あんなに美しい世界が見られるのなら、来世は鳥に生まれ変わっても良いかもしれない。

それでなくとも飛ぶことに憧れている私には、そんな気持ちすらわいてきました。(神様から、本当に鳥になるか、と言われれば困りますが。)

今までも、小型のヘリや飛行機などに搭載したカメラ映像は良く見ていますが、それとは、まったく輝きが違うのです。

例は良くありませんが、例えば本物の死体の写真を見るとショックを受けます。でも、お芝居ならどうってことはありませんね。あれと同じで、作りものではない生の映像、それのみが持つ輝きなのでしょうか。

鷲の頭も見える構図が映画的でカッコよすぎます。

追記Ⅲ ( 鳥瞰図の動画がありました ) 
2014/11/10 8:09 by さくらんぼ

検索すると、ネットでも数種類の動画が見られました。

何回見ても鳥肌ものの感動です。

ぜひ、一度ググッてみてください。
きっと、あなたも鳥になりたくなるはず。

追記Ⅳ ( 一秒の重み ) 
2017/7/28 9:16 by さくらんぼ

ガンプが軍隊に入り、銃の分解組み立てをするシーンがありました。一番最初に完成したので、軍曹から「どうやったんだ?」と聞かれます。「軍曹殿から言われた通りにやりました。」と答えると、軍曹は「完璧な答えだ。おまえはIQ160か。」と。

そんな経験は私には一生無いだろうな、と思っていましたら、アーチェリー道具の分解・組み立てで、疑似体験をすることになりました。

金属とグラスファイバーの、沢山のパーツで出来ているアーチェリーの弓は、分解・組み立てもけっこう手間です。

しかし、どこが、どう違うのか分かりませんが、要領の良い人は確かにいて、とても早いのです。私など、どう急いでも彼の1.5倍はかかるのに。

そして組み立てるたびに思うのです。「もし戦場なら、一秒差でも、遅いと敵に撃たれるのだろうなと」。


( 最後までお読みいただき、ありがとうございました。 

更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)


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