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#ネタバレ 映画「結婚期」

2024.3.22
映画「生きる」の反対側を語る

( 引用している他の作品も含め、私のレビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。 )

TV放送されていたので録画して観てみました。

主役の鶴田浩二さんはTVドラマ「男たちの旅路」でファンになりましたが、映画「結婚期」の彼は、中年の渋さではなく、育ちの良さそうな青年を公園、いや好演されていました。

この作品、一口に言えば、モテキに女難にあう美男子のお話です。

そして、映画「生きる」の直後に作られたこの作品には、やはり映画「生きる」を連想させるところもあります。

モノクロですが、楽しめました。

追記 2024.3.22 ( 役所の窓口トラブルが、恋人のトラブルになっている哀しさ )

これは東京都庁の公園緑地部係長・北山悠一(鶴田浩二さん)と、TV局のアナウンサー・青木礼伊子(有馬稲子さん)のラブコメです。ここに他の女性たちも絡み、恋の鞘当てをするのですが、その他にも、こんな問題も語られています。

都庁の公園緑地部という肩書から分かるように、主人公・北山悠一は、焼け野原になった東京の公園作りが仕事です。田園都市と言うのでしょうか、東京に緑を増やし、東京自体を公園化し、普通の公園が不要になるような、豊かな街づくりを目指しているのです。

ところが、戦後の焼け野原にバラックを建て、今も住んでいる人たちがいます。そこを公園にしようとすると、立ち退いてもらわなくてはなりません。もちろん、役所のやる事ですから、住居や補償問題もきちんとケアしますが、立ち退き問題は理屈だけでは解決が困難です。

そんな住民の悲鳴を聞きつけたのが青木礼伊子でした。青木は敵対していたのが恋人・北山悠一だとは知らずに、「都庁に知り合いがいるから・・・」と電話するのです。

予想通り、後日、青木礼伊子と北山悠一は会って口論になります。

北山:公園は沢山の人のために作るんです。
青木:公園のためなら住民を追い出しての良いの? あなたは自分さえ良ければ良いの? (要約)

私は青木の言葉を聞いて唖然としました。

(あちこちで書いているように)公務員は全体の奉仕者です。自分の利益ではなく、全体のために、ここに公園を作るのが適切だと判断したわけです。

それに対して、TV局は立ち退きを拒否する住民という一部の人に焦点を当てて代弁者になっています。言わば一部の奉仕者。

マスコミという立場上、住民側につくのはしかたないのかもしれませんが、「自分さえ良ければ良いの?」という遠慮のない言葉までは使ってほしくないし、それでも使うなら、矛先が違うのではないでしょうか。

追記Ⅱ 2024.3.22 ( 映画「生きる」の反対側を語る )

映画「生きる」では住民の要望が公園作りであり、その正義が、行け行けドンドンで語られていました。

しかし、映画「結婚期」では公園作りのために迷惑を被る住民が公務員を困らせていたのです。

追記Ⅲ 2024.3.22 ( 女難の意味は )

恋の鞘当ては、全体の奉仕者である公務員が、あちこちから要望を受け、同時に、ほぼ全体からバッシングも受けるというお話だったのかもしれません。



(  最後までお読みいただき、ありがとうございました。
更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)


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