#ネタバレ 映画「吉原炎上」
「吉原炎上」
1987年作品
複数の映画で世界観を広げる
2019/5/23 9:46 by さくらんぼ
( 引用している他の作品も含め、私のレビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。 )
映画「居眠り磐音」には芳根京子さんが演ずる花魁道中が出てきますが、吉原での生活までは描かれていません。
先日、たまたまTVで映画「吉原炎上」をやっていましたので、録画して少しづつ観ていますが、両方観ると、より立体的に映画「居眠り磐音」も楽しめそうです。
追記 ( 「有楽町 艶街ろまん」 )
2019/5/24 10:18 by さくらんぼ
この映画「吉原炎上」は、DVDのパッケージを見ても分かるようにエロイです。
最近はNHKの高校生ドラマでも、男同士のベッドシーンやキスを映していますから、名取裕子さんのレズのベッドシーンがあっても、おかしくないのですが。
しかし、それ目当てだったわけではない私には、ちょっと衝撃的でした。
ちなみに現在、名取裕子さんは、ラジオのオールナイトニッポンで、色気たっぷりのパーソナリティーをしておられ、「有楽町 艶街ろまん」という名物コーナーで、毎週、色街で働く女たちの「小唄」を、解説・紹介しておられます。
追記Ⅱ ( 嘘の中の誠 )
2019/5/27 9:32 by さくらんぼ
花魁の若汐(名取裕子さん)の元へ足繁く通っていた上客である、(元・救世軍で娼妓の自由廃業運動を展開し、今は先代の急死で古島財閥の若き当主となっていた)古島信輔(根津甚八さん)は、一度も若汐を抱こうとはしませんでした。話をしただけで帰るのです。
その理由は、娼妓の自由廃業運動をしていたからかもしれませんが、若汐に心底惚れていたからだと思います。本気だったからこそ、娼婦としてではなく、身請けしてから、恋人として抱きたかった。これも、映画「居眠り磐音」にも通じる、健さん流、男の純情なのでしょう。
しかし、数年前に吉原からは逃げられないと悟り、覚悟を決めて、吉原で頂点を極めようとしている若汐にとっては、「娼婦(自分を)をバカにした行為」に感じたのかもしれません。
意識したくなくても、そんな思いが、静かに恋人に対して膨らんできたのかもしれないのです。その憤りもあって、若汐は、古島信輔からもらった大金を、身請けではなく、花魁道中をするために使いました。そしてバカにされたと思った古島信輔は去って行った。
しかし、その後、古島信輔は吉原の一角に住み込んで、別の娼妓を囲っていることが判明しました。しかも彼女を抱き、求められるままに、年季が明けたら結婚する約束までしていたのです。
事故はその時起こりました。
彼女を抱いている時、彼女が足でランプの油を倒してしまいました。油はランプの元へ流れていきます。
それを(危険性を)目視で確認したにもかかわらず、古島信輔はそのまま彼女を抱き続けました。やがて爆発が起き、延焼して、吉原中が炎に巻き込まれます。
私はあの時、「古島信輔は若汐と無理心中をしようとした」のだと思います。抱いていた彼女は若汐の代わりです。男とは一途な生きものです。さらに、吉原が灰になれば、「娼妓の自由廃業運動」にもなると思っていたのでしょう。
しかし、その時、若汐は別の男に身請けされ、人力車で吉原を後にするところでした。でも、後ろで炎が上がるのを見て、その男と別れ、吉原にかけ戻ったのです。心底惚れていた古島信輔の身を案じての行動ですね。
しかし、若汐は一人残されることになったようです。戻る吉原も、男もいなくなりました。
★★★★
追記Ⅲ ( 吉原は嘘を楽しむ処 )
2019/5/28 9:33 by さくらんぼ
花魁の若汐(名取裕子さん)に心底惚れた古島信輔(根津甚八さん)は、幾度となく若汐を買っても、一度も抱かず、去って行きました。
実は、若汐が新入りの時、手取り足取り、寝技をおしえてくれた先輩の花魁・九重は(ここがレズっぽいシーンになります。)、この時、若汐に本気で惚れてしまったようです。今様に言えば九重はLGBTだったのしょう。「良い匂いだ」と言っているところも記号かもしれません。
しかし、あの時代には偏見があったはずで、その上吉原で、よりによって自分が教育係になっている後輩に本気で惚れてしまっては、仕事にならないどころか、ここでは生きていくのが辛い。
だから、九重は今まで稼いだ金で借金を清算し、一人、吉原を出ていったのでしょう。
この映画の主題は、その辺りにありそうです。
追記Ⅳ ( 「本気の恋」 )
2019/5/28 16:35 by さくらんぼ
ですから、
「吉原炎上」の炎上は、
「本気の恋」の意味だったのでしょう。
( 最後までお読みいただき、ありがとうございました。
更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)
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