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#ネタバレ 映画「イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密」

「イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密」
2014年作品
(コンピュータ+愛)=(人間-愛)
2015/3/21 21:22 by さくらんぼ

( 引用している他の作品も含め、私のレビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。)

私は数学が、いえ、そもそも算数からして苦手でした。

だいたい世の中の疑問に対する答えなんて、私の場合は、思考しても、あまり出てきません。答えは、ときどき、ただ降ってくるだけなのです。

ユーミンさんじゃなくて、映画「ALWAYS 三丁目の夕日 '64」みたいに、疑問という紙飛行機を空に飛ばして…あとは、戻ってくるまで、ただ待つだけです。そして、運よく紙飛行機が戻って来た時には、そこには答えが書いてあるのです。

この映画「イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密」の中で、主人公のチューリングが尋問を受けますが、その時に「おれは人間か、それともコンピューターか?」と逆に問うてきます。

あれが主題ですね。

その答えが(コンピュータ+愛)=(人間-愛)。

このレビューのタイトル欄に書くには、文章よりも数式で表した方が短くて済むかもと、無い知恵を絞って書いてみました。

(コンピュータ+愛)→これは要するに、エニグマが暗号を解読したきっかけは愛のキーワードを入力したからですね。つまり、コンピューターは愛をプログラムすることで進化するのです。

(人間-愛)→これは反対に、主人公のチューリングは愛を知る人間でありながら、暗号を解読したことを敵に知られてはならぬと、冷徹な確率論を駆使して、勝ち戦と、負け戦を、厳格に選別し、わざと(ここを強調しますが、わざと)戦死者を出して勝利するのです。でも戦死(わざと殺された者)にとっては、唾棄すべき愛のない行為ですね。

チューリングだけでなく、他の者も、愛を道具に使ったり、愛のない行為をしたり、いろいろな、さりげないエピソードが描き込まれています。

そうやって、「機械は人間のように、人間は機械のようになる」のです。

先日、映画「アメリカン・スナイパー 」で頭をガツンとやられたばかりなのに、この映画「イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密」は、さらにクロスカウンターをくらったみたいに強烈です。違った意味で、さらに精神の凄惨がありました。

これは万人必見の一本。

★★★★★

追記 ( 新たな反戦思想に ) 
2015/3/22 11:48 by さくらんぼ

>(人間-愛)→これは反対に、主人公のチューリングは愛を知る人間でありながら、暗号を解読したことを敵に知られてはならぬと、冷徹な確率論を駆使して、勝ち戦と、負け戦を、厳格に選別し、わざと(ここを強調しますが、わざと)戦死者を出して勝利するのです。でも戦死(わざと殺された者)にとっては、唾棄すべき愛のない行為ですね。(本文より)

過去にも「9.11陰謀説」とか「真珠湾攻撃陰謀説」とかを聞いたことがあります。

それに対して私は、「味方が死ぬんだよ。いくらなんでも、そんな、バカな事はしないはず」という考えを持っていました。

でも、この映画「イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密」を観てからは「・・・」です。さすがに沈黙せざるを得なくなりました。

見殺しにすることは、人道的な観点から言えば、やってはいけないことです。またこれは、己の神を信じない行為でもあります。ドラマの世界、映画「フォレスト・ガンプ/一期一会」の主人公なら迷わず助けたはず。そして、最後には成功したはず。

でも人知に頼る現実世界では、迷わず助けるわけにはいかない場合もある。いくら美談でも負けたら終わり。あくまでも勝って官軍ですので、小事(残酷な判断だが)は見捨てなければならない場合もあるのかもしれません。もちろん断腸の思いで。

でも、ここで思考をストップしてはいけません。

だからこそ、これは、戦争反対の、新たなる理由になるとも考えられます。

そう言う意味では、戦争反対を叫ぶ人たちにこそ、ぜひ観ていただきたい。

そうして「だから、戦争反対なんだ」と語る材料の一つにしてほしい。

それは「敵味方で利益が一致する新たな反戦思想の一つになる」かもしれませんから。

「戦争になれば、あなたも私も、それぞれの味方から、計画的に見殺しにされることもあると、この歴史が証明している。だから、戦争だけはしないでおこう」と。

追記Ⅱ ( 悲劇の船 ) 
2020/2/29 13:53 by さくらんぼ

>(人間-愛)→これは反対に、主人公のチューリングは愛を知る人間でありながら、暗号を解読したことを敵に知られてはならぬと、冷徹な確率論を駆使して、勝ち戦と、負け戦を、厳格に選別し、わざと(ここを強調しますが、わざと)戦死者を出して勝利するのです。でも戦死(わざと殺された者)にとっては、唾棄すべき愛のない行為ですね。(本文より)

「わざと戦死者を出して勝利する」とは…

暗号解読に成功し、「味方がたくさん乗った船を、敵が待ち伏せ、撃沈する計画がある」のを察知しながら、暗号解読能力を敵に知られないために、あえて撃沈させたという実話のこと。

「有事」で意図的に大型船が犠牲になったお話です。お国のために。



( 最後までお読みいただき、ありがとうございました。 

更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)


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