メディシンボールの使い方を考える

著:原島(監督) 編集:梅村(部長)

皆様こんにちは。
夏大会も終わり、夏休みで羽を伸ばす方も多いでしょう。野球部に所属しているとどうしても練習・練習試合が多くなってしまいますが…。

そんな私(監督)は、夏合宿が始まる前に地元(群馬)に帰省しています。冒頭の書き出しは野球とは一切関係のない内容でもいいので、今回は皆様が群馬に来たらぜひとも食べていただきたいお弁当をご紹介します。


知らんですね……(部長)

群馬県民なら99%の人が食べている登利平のお弁当です。
画像はこちら(登利平様HP)から。商品の説明は登利平様のHPから引用します。

~登利平を代表するお弁当。あつあつのご飯の上に薄くスライスした鶏肉をのせ、秘伝のたれをまんべんなくまぶしました。やわらかな鶏肉にコクのあるたれがほどよく絡んだ永遠の人気ナンバーワン。~

登利平(とりへい)なんですね。

タレがしみ込んだ胸肉がたまらんのですよ。しかも胸肉なので脂質は5.9g、タンパク質は26.5gと低脂質高たんぱくなスポーツマンには最高なお弁当です。群馬県ではスポーツや催し事の際によく昼食で出てくることが多い登利平ですが、地元を離れているとこの味が恋しくなります。しかし残念ながら関東圏(群馬・埼玉・栃木)にしか店舗がなく、オンラインショップでの取り扱いもないので地元に帰ったときにしか食べられないんですよね…。
今度群馬に行く機会がございましたらぜひとも一度お立ち寄りください。

それでは今回もよろしくお願いいたします。

1.メディシンボールって
2.小さいのと大きいのどっちがいい?
3.これから様々な練習で導入してきたい

1.メディシンボールって

今回はトレーナーと現場の温度差が大きく異なるメディシンボールについてお話します。メディシンボールの効果はトレーナーも現場もともに認めており、特に、トレーナーや理学療法士の方の多くはメディシンボールの有効性を認識していらっしゃるように感じます。また、メディシンボール投げの距離と球速・スイング速度には強い相関が見られる、という論文も近年数多く見られるようになってきました。

一方現場は「遠く投げられればいいんでしょ」ぐらいにしか思っていないところから「すごい!」と驚かされるようなトレーニングをしているところまで様々です。壁に投げられすぎて表面がボロボロになっても酷使されるという、ブラック企業もびっくりするくらい使い込まれているところもありました。

本校もこれくらい(ZEBRAS@武田高校硬式野球部様のTwitterアカウント)使い込んでいきたいですね。そのため、メディシンボールは現場での評価が遅れているということではなく、現場間での認識が大きく異なるというところでしょうか。

そんなメディシンボールですが、本校はいろいろあります。
1㎏(小)・2㎏(大)3㎏(大)5㎏(大)の4種類です。
それぞれ意図やトレーニング方法が異なります。

  • 1㎏(小)…ピッチャートレーニング(チェストオープン&ダイヤゴナル)で使用。

  • 2㎏(大)…身体操作トレーニングで使用。壁によく投げられています。

  • 3㎏(大)…ウエイト系トレーニングで使います。懸垂の時に足に挟んだりしています。また、故障防止のため、一年生や体が小さい選手は5kg(大)ではなくこちらで計測することもあります。

  • 5㎏(大)…瞬発系トレーニングで使用。計測するときはこれです。

このように様々な用途で使っています。特に本校で出番が多いのは2kgのメディシンボールでしょうか。投手・野手ともに使っており、投球・打撃どちらの練習にも使える優れものです。2kgのメディシンボールはよく壁に投げつけられており、一番ボロボロになっています。

1kgのメディシンボールはピッチャートレーニングでよく使っています。こちらの投稿を見ていただきたいのですが、この練習がダイヤゴナルスロー(=separation throw)です。この練習が投球動作に最も近く、技術練習としてはレベルの高いものとなっています。先ほどの投稿のキャプションに「1kgのボールを使ってseparation throwの練習です。これで73km/h出せれば145km/h投げられる指標となります。」とあるのですが、現在はこの1kgのメディシンボールを70km/hで投げることを目標に取り組んでいます。

打撃練習にもメディシンボールを使っています。例えば半身になって、前にいる相手のところへ低く強く投げる練習を本校で行っております。バットを振る練習との違いは、メディシンボールを使ったほうが体幹の使い方や並進運動の動作が身につきやすいといったところでしょうか。

これは本校の一例なのですが、メディシンボールを用いた身体操作の練習を行ったことで即時効果が得られた例をご紹介します。

とある子が打撃でブラストモーションを使ってロングティーの練習をしていたのですが、バットスピードが100km/h弱、加速度が2G程度(⁉)でした。しばらくそのような値のまま成長がなさそうだったので、一度バットを置かせてメディシンボールで並進運動の動きをメディシンボールで練習させました。かれこれ15分くらい投げた後にロングティーをさせたところ、バットスピードが100km/h、加速度が5Gまで上がりました。

ここまで向上した理由は、彼の打撃フォームに課題があったからだと考えています。フォームに課題がある子は、むやみにバットを振るよりもメディシンボールなどで改善を図った方が上手くいくのでしょう。メディシンボールを使った練習でスイングを最適化することができた一例でした。

雑記:そんな彼にさせた練習ですが、イメージとしてはこの練習の後にこの練習(3つ目の動画)をやらせました。リンク先はすべて本校Instagramの投稿です。

2.小さいのと大きいのどっちがいい?

前章にありました通り、本校のメディシンボールは大小ともにあります。
小さいものが一般的によく見るやつでしょうか。スポーツショップにも普通に打っていたりしますね。

大きいものは「ソフトメディシンボール」と呼んだりして、中にスポンジや綿などの緩衝材が入っていたりします。詳しくはこちらのサイトをご覧ください。本校は良くこのサイトから購入しています。

https://www.lindsp.com/c/item_category/item05/item05028

なんで大小があるの?どっちがいいの?何が違うの?という質問をネットでよく見かけます。

様々なトレーナーの方がその質問に答えていたのですが、人によって理由が様々なのが面白いのでいくつかご紹介します。

〈大きい派〉
・大きいため、腕の力に頼らず全身の力を使って投げることができる
・(中に緩衝材があるため)耐久性が高い

〈小さい派〉
・持ちやすいため、最も出力しやすいフォームで投げられる
・論文などの実験で使われているのが小さいものだから※比較対象となりえるということか?

このような意見に分かれます。どちらが正解でどちらかが劣っているという話ではないのですが、目的に応じて使い分けるということが必要かと思われます。

ただ、「大きいため、腕の力に頼らず全身の力を使って投げることができる」は結構重要なことではないかと思っています
なぜなら瞬発系のトレーニングに使われる場合、下半身(特に地面反力)をどれだけ強く効率的に使えるかがポイントになることが多いからです。


フロントスロー(前方投げ)の場合、姿勢はスクワットのように屈曲し、そこから伸展することで得られる地面反力を用いて前方にメディシンボールを投げます。しかし、例えば地面反力をうまく使って10mを投げるA君と、地面反力は使えませんが腕の強さで10mを投げるB君がいた場合、二人の評価は同じということになってしまいます。

もちろん、B君は腕の力だけでも同じ10mを投げられるのだからそれは別に良いのでは?という考え方もあります。

ただその場合、B君は地面反力を使えるようになるトレーニングをすればもっと伸びるはずです。しかし、腕優位で投げていることを見抜くのは中々難しいので、B君の課題を見逃してしまう可能性があります。

このような意図しない要素が混ざらないようにするために、できるだけソフトメディシンボールを使った方がいいのかなと個人的には考えています。

3.これから様々な練習で導入してきたい

今はわからないのですが、昔はメディシンボールを使ったトレーニングは週に数回程度が良いとされていました(高校時代の経験より)。

もちろん全力で投げるようなメディシンボールのトレーニングを毎日行うのは疑問符が付いたりしますが、身体操作のような体の使い方を習得するための練習であれば高頻度で取り組んでもいいのではないかなと思っています。

特に打撃においては、素振りよりもメディシンボールを使った方が習得しやすい技術もあると思います。先ほども挙げましたが、打撃において「割れ」(T監督⁉)を作りたい場合、バットを振ってどうこうするよりも、メディシンボールを使ったドリルのほうが早く習得できる子もいます。しっかりと割れが作れている場合はメディシンボールを強く投げることができます。

「バットを強く振れたか」より、「メディシンボールを強く投げられたか」の方が感覚的にわかりやすく、評価もしやすいです。

本校はメディシンボールのトレーニングをもっと増やしていく予定です。先述の通り、メディシンボール投げの距離と球速・バットスピードは比例する傾向にあるので、どんどん投げて瞬発力強化の基礎メニューにしたいと考えています。具体的には、バッティングの前に2kgのメディシンボールを投げて並進運動やトップ時の割れの動きを確認したり、投手はPトレのメニューに数多く組み込んでいったりしていきたいです。


話はやや変わりますが、本校では遠征に必ずメディシンボールを持って行っています。ピッチャーのアップで使っているのですが、そのうち野手陣のアップにも取り入れていきたいなと思っています。ゆくゆくは子どもたちがメディシンを投げた感覚で自分の調子を掴めるようになってくれればなあと思ったりもしています。
そのうちアップについてのnoteも書いてみようかなと思っています。でもまだ時間がかかるかなあ…。


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