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アルコールライセンス取得

コロナビール会社のシャツを来たアレハンドロと付添の女性は軽く挨拶を済ませるとアルコールライセンス取得までの流れを説明して、契約書を渡してくれた。

アレハンドロ曰く、僕のお店の規模的にテキーラなどの度数の高いお酒を提供できるライセンスは無理だが、ビールを含めアルコール度数が低いお酒を提供できるライセンスは彼の会社が協賛してくれ取得してくれるそうだった。

条件は通常飲食店へ提案しているディスカウント価格ではなく、1割程高くなるが卸値でビールを購入すること。その差額でアルコールライセンス取得にかかる費用を償却してくれるという。驚くことに差額というのも微々たるもので、実際にライセンス取得にかかった費用がどの程度なのかも僕は結局しることはなかった。

契約書もライセンス取得に関わる契約書ではなく、取り扱い店舗としての登録を兼ねた契約書で、アレハンドロはとりあえずといってコロナビールを2箱購入してくれというだけだった。もちろん。。この時点でライセンスはないのだが。 

「おそらく取得までには2ヶ月ほどかかるだろう」

と言い残しアレハンドロと女性は帰っていった。

僕が実際にアルコールライセンス取得に際して支払った費用は、この2箱のコロナビール代金と、もちろんその後も定期的にビールを購入するのだけれども、州政府の酒販管理課のような部署へのライセンス発行手数料数百ペソ、そして、ライセンス取得前に突然やって来た検査官に支払った賄賂300ペソだけである。この賄賂に関しては完全に寝耳に水である日州政府の検査官が営業後にやってきて「アルコールライセンスの申請を受け付けたが、発行前に無許可で販売していないか」をチェックしに来た際、先に手付でアレハンドロ購入した2ケールのコロナビールを僕が調子に乗って販売していたのを見つかったのだ。 

検査官はチェック用紙を僕に見せ

「ここに”ライセンス取得前に無許可で販売”と書かれれば、営業停止になるが、もしも今いくらか私に渡せば報告せずに済ませる」

と言われたものだ。なんとも露骨に要求してくるものだと驚きながらも、てぶらでは帰る気配が全くなかったので仕方なく要求どおり手渡した。

2ヶ月後。アレハンドロが今度は1人で店に来た。
手にはアルコールライセンス。そしてまたコロナビールを2箱持ってきた。

今までの営業許可や路地のテーブル席許可とはうって変わって、なんとスムーズに取得したアルコールライセンス。しかも名義はビール会社ではなく僕自身の名前が記載されていた。

それまでは右も左もわからず、知り合いも、コネもなく一人で闇雲にお店を営業していて日々起こる波乱万丈にエネルギーをもっていかれていたけれど、セニョールに出会ってから、路地のテーブル許可もアルコールライセンスも手にしてお店としての基盤が出来た。

あとは、地域に愛されるお店つくりにエネルギーと情熱を注ぐだけだった。

つづく

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