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テラス席攻防戦の始まり

冒頭の画像は僕がテラス席を設ける為に10年以上も市役所と許可の攻防戦を繰り広げた実際の場所である。画像だけみれば、路地のそこだけ少し広くなっているこの部分は公共の場所というより「自分家(ち)」だ。
その僕の主張は全く聞き入れられることもなく、この約10m2にも満たない場所を使うことすら、冗談でもなく最初は私物を置くことすら許されなかったのだ。
驚くことに市役所の誰も、市長ですらその存在を知らなかった細い裏路地なのに。。。

お店を訪れる誰もが大好きだった路地裏のテラス席は僕のお店にはなくてはならない存在で、このテラス席を設置し続けれたおかげで繁盛店として成長した。そして、テラス席に座りたいお客さん達の椅子取りゲームを見ているのがなによりも微笑ましく僕の励みになっていた。

お店を開店して2年半が経ったころ、市長が変わり、市役所のチームが変わると、真っ先にやってきた「街の見廻り隊」はそれまでの市役所との口約束を一瞬で反故して僕のテーブル席を撤去し警告書を置いていった。路地裏に置いていた3つのテーブル席のおかげでようやく少しづつお客さんが増えてきていたのに、その路地が次の日から使えなくなる。僕は急いで対策を考えないとと焦っていたのに、例の「大家が3人」騒動に巻き込まれ、チェロのおかげ(?)で家賃の件は解決したけれど肝心の家賃を払う術であるテラス席問題はそのままだった。

幸い、僕も2年半のメキシコでの経験で、警告書をもらったとはいえ次の日以降すぐにまた見廻りは来ないと知っていたので2,3日は時間稼ぎできるだろうと踏んで、翌日から変わらず路地にテラス席を設けた。

何度も書くが、市長すら知らない路地裏である。街のほとんどの人はその存在を知らない。そんな路地がどうあろうと一体誰が気にするというのだろう?

その日もお客さんは満足気に食事をしてくれていた。ランチ営業も落ち着き、当時はまだやっていたディナー営業に向けて仕込みをしていると、3人組の屈強な男たちがやってきた。

「お前、このテーブル席は無許可だろ?今すぐ撤去しろ!」

前日に来た役所の見廻り隊とは別の3人組は、まさか僕が昨日も警告書をもらっていることを知ってか知らずか。。そもそもなんで?2日続けて?という僕の「??」も関係なく、店の中に入ってきて、今度は店内を見回しながら

「営業許可は? 日本人? じゃあ労働ビザも見せろ! お前不法滞在してるんじゃないか??」

と?!?! 

わけのわからないいちゃんもをつけてきた。。。


つづく

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