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岸田政権の増税シナリオへの対案

1 増税に突き進む岸田政権

来週から国会が始まります。

そして、そこで審議される来年度予算には防衛費増が入っており、提出予定法案には増税の制度設計が含まれていました。

政府与党の中では、増税の是非を問う段階は過ぎた認識になっているようで、防衛費を巡る増税は具体的な手続きに入っています。

防衛増税で麻生氏「多くの国民の理解得た」…「もっと反対の反応覚悟していた」

とはいえ、政府のトップは岸田総理であり、与党の自民党は国会の過半数を占めています。国会で何のアクションも起こさなければ決定します。

国会の数の力で傲慢を極めた自民党と岸田政権は、国民やメディアの批判などどこ吹く風です。

自民党内の増税反対派に期待したいところですが、「増税反対!」と威勢良く言うだけなら、ただのパフォーマンスです。

自民党内に特命委員会が設置されたそうですが、結局国会に法案が提出されてしまえば、自民党議員は党議拘束がかかって全員賛成します。

吉村洋文・大阪府知事・日本維新の会共同代表からは激が飛んできました。

野党側は、防衛費の財源に関する議論はこれから国会で始まるという認識です。現状、到底納得できる話ではないので、対案を主張していきます。

2 論理破綻した政府与党の増税論

そもそもなぜ増税が必要なのでしょうか?
政府与党が増税すべきと主張する根拠は次の三段論法です。

  1.  日本は防衛力強化が必要である。

  2.  防衛力強化には、新たな予算が必要である。

  3.  新たな予算を得るには、増税が必要である。

岸田総理は12月13日の自民党役員会で、「責任ある財源を考えるべき、今を生きる国民が自らの責任として、しっかりその重みを背負って対応すべき」と主張しました。

真面目な人は、「そうだよなぁ。安全はタダじゃないし。防衛力を強化するためなら少し多めに税金を払うのは仕方がないよな。」なんて思ってしまいます。

いやいや、よく考えるととてもおかしなことを言っています。

まず、ロシアのウクライナ侵攻、中国の軍事的脅威、北朝鮮のミサイル問題等、我が国を取り巻く安全保障環境が厳しくなっている中、防衛力の抜本的強化のために、昨年末に国家安全保障戦略等を改定しました。その計画に基づきGDP比2%に相当する水準への防衛予算の引き上げを行いました。

そのため、1と2は理解できます。むしろここは多くの人が賛成しているので、騙されてしまうのです。

1、2の勢いでうっかり3の「新たな予算を得るには増税が必要である」も正しいような気がしてしまうところに、大きな落とし穴があります。

なぜ、「新たな予算を得る方法は増税以外にない」という前提なのでしょうか?

新たな予算を得る方法は他にもたくさんあります。政府与党は「数多ある方法の中から増税という国民に負担を押し付ける手段を最初から選択している」に過ぎません。

3 「全力を尽くした先の増税」という嘘

「そんなことはない、増税以外の努力もするんだ!」と岸田総理は反論するでしょう。

なぜなら、今回の防衛費増に必要な約26兆円(年5兆円強)は、①歳出削減(3兆円)、②税収増(不明)、③決算剰余金(3.5兆円)、④国有財産の売却益や税外収入(4.6兆円)で確保し、なお不足する1兆円程度を増税でまかなう計画だからです(2023年1月時点)。

*④は「防衛力強化資金(仮称)」を新設。内訳は、外国為替資金特別会計3.1兆円及び財政投融資特別会計0.6兆円の繰り入れ、新型コロナウイルス対策費の不用分0.4兆円の国庫返納、東京・大手町の大型複合ビル「大手町プレイス」の政府保有分売却0.4兆円の収入。

Bloomberg 防衛費増5年分の財源、11.1兆円を税外収入や決算剰余金で確保

再び素直な方は、「そうか、全力で頑張った結果、全体の1/4だけをお願いされているのか。なら仕方ないな」と思ってしまいそうです。

騙されてはいけません。なぜなら、増税以外の方法のみで追加の4兆円は十分確保できるからです。

そもそも、「いろいろ検討した最後に残った1兆円」というような言い方をしますが、この増税は昨年の国会閉会後1か月程度で決まったものです。他の財源を探すための十分な検討などしていません。

増税は議論を重ねて最後に決まったのではなく、最初から1兆円の増税ありきで議論されているのです。

4 増税せずに防衛費を増額する方法

増税以外に防衛費の財源を得る方法とは何なのでしょうか。

この提案については、これまで個人的な発信の他、昨年の国会で日本維新の会の代表質問や予算委員会でも取り上げてきました。

政府与党に示された案以外に、追加の財源には次のようなものがあります。

<歳出削減>

(1)コロナ対策費の自然減

コロナ関連予算はこの3年間で95兆円計上されています。コロナが収束してくれば、年間30兆円超の歳出の自然減が生じます。防衛費に必要な財源のうち増税分は、その1/30の規模しかない年間1兆円です。

(2)補正予算の精査

政府予算は近年、毎年30兆円規模の補正予算を確保しています。昨年は「物価高対策」と言いながら、1)年度中に執行されない(例:文部科学省の研究関係の独法につくる基金)、2)すぐに効果出ない(例:経産省補助金:省エネ設備更新500 億円、住宅断熱設備導入 900 億円)、3)物価高・円安と関係ない(例:防災・減災、国土強靭化-大雨予測精度向上)といった効果が疑問視される予算が大量に積まれていました。

これだけ無駄な予算を山ほど積み上げておきながら、誰がどう考えても必要不可欠な防衛費にたった1兆円を回せない理由がありません。

<税収増>

(3)景気回復による自然増収

昨年の補正予算で税収は上振れしています。当年度予算は65兆円でしたが、実際の税収は68兆円になり、3兆円も増えました。コロナ禍からの景気回復が主要因ですので、今後はもっと税収が増えます。今年並みが続いたとして、3兆円の財源が自然に生まれます。社会保障の増加が5千億から7千億円あったとしても、2兆円以上残ります。

(4)経済成長による増収

景気の波が上向いていることで生まれる増収の他に、本来は長期的な経済成長を起こし、その中で税収を永続的に伸ばしていく事を基本にすべきです。「アベノミクス」、「新しい資本主義」等々、政府は看板を掛け替え続けながら幾度となく長期の成長戦略を打ち、そこに巨額の公金を投入してきました。これで経済成長、それに付随する税収増加がなければただのバラマキです。

<決算剰余金>

(5)未使用の基金

昨年の補正予算では8.9兆円もの予算が各省庁やその下部組織が管理する基金に積まれましたが、複数年度にまたがる予算執行が前提となっており、緊要性のあるものがほぼありません。財政法29条では補正予算というのは緊要性が必要なはずなので奇妙なのですが、それはさておき、緊要でないなら通常予算で計上し直して、代わりに緊要な防衛費に充当したら良いだけです。

<国有財産の売却益や税外収入>

(6)国債償還ルールの変更

現在、国債は60年で償還されますが、実はこの60年というのは根拠がありません。そもそもプライマリーバランスの黒字化なる政府与党が自ら掲げた財政再建目標などどこ吹く風で、償還費より遥かに多くの国債を発行し続けている現状、このルールの存在根拠は根底から崩れています。ルールをなくすまで行かなくても、例えば90年償還に変更するだけで、毎年GDP比1%分の5兆円ぐらいの財源ができます。

5 国民に負担を求める前に政治家が身を切れ!

結論として、どの角度から考えても、この増税はおかしいのです。

政府与党の「将来に渡って日本を守り抜くためには1兆円程度の国民負担増は仕方がない」なんて説明は大嘘です。

そもそも、防衛力の強化が必要だからと言って、そのための財源として最初から国民に負担を求めるのは明らかに順序が違います。

政治家がまず身を切り、政治の側が行財政改革を通じた徹底的な歳出削減と経済成長による税収増で賄う中長期的な道筋を示し、どうしても足りない最小限の部分を創意工夫で捻出し、万策尽きた最後の一滴がどうしても出てしまった場合に限り、最小限の国民負担をお願いするのが筋です。

さらに言えば、政府の言う増税というのは税率を上げる事を意味しますが、税率を上げても経済状況が悪化すれば税収は上がりません。安倍政権では法人実効税率を7%下げましたが、税収は増えました。経済が伸びる事の方が重要なのです。ようやく景気回復の兆しが見えてきた今、法人税や所得税で経済を冷え込ませるのは愚策以外の何物でもありません。

通常国会では、岸田政権に増税シナリオを撤回させることを目指し、真正面から対峙して論戦します。

6 日本維新の会が国会で主張した事

上記のブログで主張した防衛増税反対の議論は、令和5年の通常国会(第211回国会)における衆議院予算委員会で度重なる議論が行われ、最終的に日本維新の会として、2月28日の衆議院本会議で私が登壇者となり、総まとめを主張しました。以下に議事録全文を添付します。

第211回国会 本会議 第7号(令和5年2月28日(火曜日))(抜粋)
 
 
○青柳仁士君 日本維新の会の青柳仁士です。
 
 私は、ただいま議題となりました令和五年度一般会計予算三案について、会派を代表して、反対の立場から討論いたします。(拍手)
 
 まず、反対の最大の理由であり、背景にあるのは、身を切る改革を進めることなく、負担を国民に押しつけ、将来世代に先送りし続ける自民党政権の財政運営の基本姿勢に、いささかの反省も変化も見られないことです。その最たる例が、岸田総理が突き進む防衛増税、増税路線です。
 
 一月三十一日の予算委員会において、岸田総理は、防衛費増額の財源として、所得税、法人税、たばこ税の年間一兆円の増税を行うことを明言しました。これに対し、我が党は委員会質疑を通して度重なり撤回を求めてまいりましたが、岸田総理が聞く力を発揮する場面は最後までありませんでした。
 
 政府・与党は、この増税について、深刻化する昨今の国際情勢を鑑み、防衛費の拡充は不可欠であり、その財源を得るために仕方がないものだ、このように説明しています。しかし、これは国民を欺く詭弁であると言わざるを得ません。
 
 防衛費増額に必要な予算額四兆円のうち、三兆円までは増税なしで確保することが既にできています。今回の一兆円の増税が必要なのは、防衛費増額の規模が四兆円だからであり、仮に三兆円以下であったなら増税は必要ありません。つまり、防衛費を増額するために増税が絶対に必要なわけではないのです。
 
 裏を返せば、増税以外の手段でもう一兆円の財源を確保できれば、増税は必要ないということです。この点は自民党内からも同様の意見があり、検証の動きがあるようです。しかし、結局のところ、岸田政権の増税路線には寸分の変更もありません。結果に影響しないのであれば何の意味もなく、結局は国民向けのパフォーマンスであると断じざるを得ません。
 
 検証するまでもなく、この一兆円の財源が増税以外で確保できることは、予算委員会の質疑の中でも明らかになっています。
 
 例えば、毎年、政府は大量の予算を使い残しています。去年は六・三兆円、おととしは三・九兆円です。これだけでも増税額の十年分になります。また、それ以前の十年間を見ると、毎年一・四兆円から二・八兆円の予算を使い残しています。増税が必要な一兆円を優に超える予算が、毎年、安定的に余っているんです。
 
 なお、委員会では、他会派より、増税以外で財源を得るには何か具体的に削るべきものが必要との意見もありました。歳出削減は重要であり、徹底的に行うべきことは、これまで我が党も主張し続けてきたとおりです。しかし、国債発行でも歳出削減でもなく、増税相当額の予算が余っている中で、それらが存在しないかのように財源論を語ることは、財政の全体を見た上での地に足の着いた現実的な議論とは言えません。
 
 そもそも、令和四年度の補正予算で、税収は年間で三兆円増えています。本来は、こうした経済成長による増収こそ真の安定財源ではないのですか。
 
 これに対し、経済成長はその時々の景気の状況によるので安定財源ではないという反論が財務省からありました。これは、政権を預かる政府・与党として正しい認識でしょうか。
 
 日本以外の各国では、経済成長とそれに伴う税収の増加が安定的に起きています。一九九三年からの三十年間で、欧州各国の経済規模は約二倍になりました。アメリカとカナダは三倍を超えました。韓国は四倍以上、中国は二十八倍です。この間、日本はたったの一・一倍です。三十年前とほとんど経済規模が変わっていません。安定的に成長していないのは日本だけなんです。
 
 そして、この三十年間のほとんどの期間、政権を担っていたのは自民党です。岸田政権の新しい資本主義のように、看板を何度もかけ替えながら幾度となく成長戦略を出し続け、毎年毎年何十兆円もの大量の税金を使い続けておきながら安定的な経済成長を起こせていないのは、自民党の政権運営が悪いからです。民間企業であれば、そんな経営陣はとっくに全員首になっています。この期に及んで経済成長を安定的に起こす自信がないというのなら、今すぐ政権を返上するのが真に国民と国家のためではないでしょうか。
 
 加えて、新型コロナの対策費が令和二年度と三年度だけで百十四兆円計上されています。今年の五月八日以降、新型コロナの感染症カテゴリーが二類相当から五類に変更されれば、緊急事態宣言等の行動制限はできなくなり、内閣府、総務省、経産省、国交省、厚労省等に積まれた大量の新型コロナ予算が不要になります。増税が必要な額の何と百十四年分という途方もない額です。
 
 政府・与党が多用する、安定財源だから増税が必要であるという説明もうそです。鈴木財務大臣が答弁の中で認めたとおり、財務省は歳入と歳出を突き合わせた予算管理などしていません。来年度の当初予算では、歳入のうち国債、すなわち非安定財源が三割を占めている一方で、国債関連経費以外の歳出のほぼ全てが安定財源の必要な恒久的支出です。子ども・子育て政策や地方創生など、誰がどう考えても安定財源でなければならない予算は増税なしで出すにもかかわらず、防衛費だけは増税が必要という政府・与党の説明は、完全に論理が破綻しています。
 
 さらに、岸田総理は、今回の増税は現行の家計の所得及び法人の九四%には全く影響が出ないと繰り返し答弁しました。しかし、鈴木財務大臣は、増税される復興特別所得税について、支払いが終了する期限年以降も負担が継続するという意味においては、今までになかった負担を国民にお願いすることになると真逆の見解を答弁で述べました。
 
 当たり前です。国民が今払っている税金が継続するだけなら負担はないなどというのは、傲慢な政治家の感覚であり、取る側の論理です。そもそも、払わないでいいお金は一円も払いたくないというのが当然の国民感覚です。
 
 法人税についても、約十六万社が徴税の対象になります。これは、全ての上場企業と多くの中堅企業が含まれます。総理が賃上げを期待する中心的な企業群です。日本商工会議所と東京商工会議所からは、今回の増税措置は企業の前向きな賃上げや投資意欲に水を差しかねないという会頭のコメントも寄せられています。また、昨年の政府の経済対策では、物価高対策には価格転嫁が必要であるとされていますが、大企業や中堅企業から資金力を奪えば、下請となる中小企業への価格転嫁は当然起きにくくなります。
 
 岸田政権の突き進む増税とは、国民の将来の家計収入を取り上げ、企業の賃上げを抑え込み、中小企業の取引先が値上げを受け入れるための原資を年間一兆円分奪うものです。現行の家計の所得及び法人の九四%には全く影響が出ないなどという岸田総理の認識は、事実でもなければ、国民や中小企業の実感からもかけ離れています。
 
 改めて、今回の一兆円の増税は撤回すべきです。予算委員会全体を通して、こうした我が党からの指摘に対して、政府・与党からは答弁になっていない同じ説明が繰り返されるばかりで、何一つ論理的な反論はありませんでした。それにもかかわらず、何の修正もなく予定どおりの増税へと突き進む岸田政権の傲慢な態度は、国権の最高機関たる国会、そして主権者たる国民の民意を余りにも軽視していると言わざるを得ません。
 
 その一方で、我が党が繰り返し求めている議員定数、議員歳費の削減や調査研究広報滞在費の改革など、国会議員の身を切る改革は進捗がほとんど見られません。新たな財源を考える際、自らの身分やそれを支える既得権の利益は守り、国民負担を先に考えるという発想は、どの角度から見ても間違っています。
 
 こうした自民党政権の財政運営が長年続く中で、我が国の財政規律は末期的状況に陥っています。そして、更なる劣化に歯止めがかからない状況です。令和五年度の一般会計予算においても、主に次の四つの点においてその問題が表面化していると考えています。
 
 第一に、歳出と国債発行の規模が無制限に拡大し続けています。今回の予算は一般会計予算として過去最大です。歳出規模は増加の一途をたどり、毎年、過去最大を更新し続けています。歳出の三割を借金に頼る状態が常態化しているにもかかわらず、税収の自然増分に見合う国債発行削減すら行われておらず、今年度から不要になる予算額も過小に見積もられています。
 
 第二に、当初予算が少なく、補正予算が過度に膨張する傾向が続いています。例えば、昨年度の経済産業省の予算は、当初一・二兆円に対し、補正は十二兆円、約十倍です。財政法二十九条によれば、補正予算とは、予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となった経費の支出に限り認められます。当初予算の十倍の予算が事後に発覚した緊要な予算であるなどという説明は、常識的に考えられません。法文の解釈として許される範囲を明らかに逸脱しています。
 
 第三に、本来は特例的な予算である予備費が、令和二年度を境にそれまでの十倍から二十倍の規模に急増し、無制限に拡大し続けています。令和五年度予算では当初から五兆円計上されており、たがの外れた巨大予備費の既成事実化に更なる拍車がかかっています。
 
 最後に、三十年間経済成長が停滞している日本において、再び成長力を呼び起こすための戦略性を持った予算づけがなされていません。少子化対策やGXなど看板施策の名をかりた不要不急のびほう策への支出ばかりで、既得権へのばらまき優先の予算積み上げが続いています。
 
 個別の予算づけでは、岸田総理は異次元の少子化対策を打ち出しながら、どこにも異次元の子ども・子育て予算は見当たりません。日本の将来世代への財政支出は、先進諸国の中で最低レベルにとどまっています。日本維新の会が立憲民主党と議員立法を提出した児童手当の所得制限撤廃や、教育無償化の全国展開など、かけ声だけでなく、具体的な予算措置が不可欠です。
 
 また、岸田政権が成長戦略の柱に掲げるGXも中途半端です。世界的なエネルギーコストの高騰により、今後、電気料金の大幅値上げが予定されています。その後も収束の見込みは立っていません。短期的な政府による価格対策も十分でない上に、中長期的なエネルギー安定供給のための抜本改革やそのための投資は、本予算案のどこにも見当たりません。
 
 以上述べてきた問題点を取りまとめ、我が党は令和五年度一般会計予算三案の編成組替えを求めましたが、与党は一顧だにすることもなく反対し、動議は否決されました。
 
 日本維新の会は、国民と国家の利益を最優先に考え、政府・与党に対して、必ずしも反対ばかりではなく、是々非々で臨む政党です。しかし、どこまで是の部分を大きく見積もっても賛成しようがないのが今回の予算案であり、現在の自民党の財政運営であると考えています。
 
 イギリスの政治家、歴史家ジョン・アクトンは、権力は腐敗する、絶対的権力は絶対的に腐敗すると言いました。
 
 自民党は、長期政権とそれがもたらす絶対的権力に芯までつかり、既得権のしがらみや古い政治の体質がしみついて構造的な欠陥を抱えるようになり、国民と国家にとって合理的に考えて正しいことを素直に実行できない政党になってしまっていると感じます。今回の予算案にはそのことがよく表れています。
 
 日本維新の会は政権政党を目指しています。しかし、その目指す姿は、今の自民党とはほど遠いものです。我々が目指すのは、既得権を持つ団体や組織ではなく広く一般の国民と感覚を共有し、時代に即した改革を勇敢に実行し、真に安全で豊かで持続可能な国家と国民の暮らしをもたらすことのできる新しい政権政党です。
 
 我が党は、こうした志を共にする政治家とは是々非々の政策ベースで連携をしながら、これからも正々堂々と自民党、岸田政権と対決していくことをお誓い申し上げ、令和五年度一般会計予算三案に対する反対討論とさせていただきます。
 
 御清聴ありがとうございました。(拍手)

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