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久しぶりに読む『群像』は表紙が語っていた

『群像 2023年 05 月号』

【新連載】
「B」 松浦寿輝
「星沙たち、」 青葉市子
【創作】
「栃木に飛んでいく」 川上弘美
【特集・川上未映子】
・ロングインタビュー
「エクストリームで個人的なものとしての文学」 川上未映子 聞き手:大澤聡
・書評
「間違える生の彩り——川上未映子『黄色い家』について」 小澤英実
・翻訳記事
「実社会という学校 いじめとニーチェの物語『ヘヴン』」 メルヴェ・エムレ 上田麻由子訳
「『Breasts and Eggs』でフェミニスト・アイコンとなった川上未映子。彼女にはさらなる野望がある。」 ジョシュア・ハント 小澤身和子訳
【追悼・大江健三郎】
朝吹真理子/阿部和重/いとうせいこう/尾崎真理子/小野正嗣/柄谷行人/工藤庸子/黒井千次/司 修/中村文則/
沼野充義/蓮實重彥/平野啓一郎/町田 康/三浦雅士/奥山紗英
【中篇一挙】
「我が手の太陽」 石田夏穂
【批評】
「空海」 安藤礼二
【対談】
「私たちにとっての音楽、言葉、世界」 SIRUP×竹田ダニエル
【刊行記念】
・特別エッセイ
「人類学の現在地」 松村圭一郎
・書評
「右往左往する人類学、ダンスする人類学」 猪瀬浩平
【article】
「安心で安全な撮影のためにできること インティマシーコーディネーターの役割」 浅田智穂
【本の名刺】
稲泉連/木村紅美/鴻上尚史/千葉一幹
【レポ漫画】
「100分de名言を求めて」 増村十七
【最終回】
「事務に狂う人々」 阿部公彦
「復讐戦のかなたへ——安倍元首相銃殺事件と戦後日本の陥穽」 高原到
「辺境図書館」 皆川博子
「二〇世紀の思想・文学・芸術」 松浦寿輝×沼野充義×田中 純
【連載・随筆・書評】
羽田圭介/上田岳弘/古川日出男/保坂和志/堀江敏幸/毬矢まりえ×森山恵/上出遼平/鎌田裕樹/稲垣諭/奈倉有里
/宇野常寛/大山顕/永井玲衣/百瀬文/山本貴光/田中純/東辻賢治郎/竹田ダニエル/古井由吉/穂村弘/くどうれいん
/石井ゆかり/鷲田清一/大澤聡/大澤真幸/M!DOR!/生方美久/岡本真帆/國松絵梨/小林裕翔/蜆シモーヌ/邵丹
/夏目大/にしおかすみこ/蒜山目賀田/竹内修司

目次

追悼大江健三郎が読みたく図書館で読んだ。尾崎真理子のギー兄さんが柳田國男説がなるほどと思った。

特集・川上未映子は、『黄色い家』の情報が多いかな。ゴッホの「黄色い家」のイメージか。その対極にあるのがラッセンの癒やしの絵画だという。そういえば浴室に貼っていたことがあったな。1990年代の家族解体の物語。疑似家族もヤクザ化していくというか、そういう世界も解体していく犯罪小説みたいな。川上未映子のイメージとしては、大江健三郎→村上春樹→川上未映子という大作家になるイメージがある。

創作は石田夏穂『我が手の太陽』。デビュー作『我が友、スミス』で芥川賞候補になった新人さん。深読みはではなくざっと読んだ感じは、溶接工の職人小説というような。下請け産業の厳しさを描いていた。溶接工の繊細な描写とか本人が経験あるのかと思うような描写だった。職人の技術よりも企業倫理みたいなものによって、ベテラン技術者の生きにくさ。彼女の小説も職人的というべきかもしれない。

他は連作とかで読まなかった。新人一つ読めばいいかなと。

高原到『復讐戦のかなたへ——安倍元首相銃殺事件と戦後日本の陥穽』には興味深い批評だった。最近のヒット作、逢坂冬馬『同志少女よ、敵を撃て』と安倍元首相銃殺事件犯人を比較批評した視点が面白かった。この人の本を読んでみたくなる。

毬矢まりえ×森山恵の交換日記は、A・ウェイリー版『源氏物語』を翻訳した二人が『源氏物語』について語る話が面白い。今回は、「末摘花」編で彼女は渤海という国の血を引いているので中央アジアの美人系なのだが、当時の日本では美人とされなかったがロシア人的な種族だと想像する。

『群像』というと合同批評があったのに今はないんだなと。漫画とかあってバラエティーに富んでいるが以前読んでいた者としては隔世の感があった。年取ったと感じる。


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