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「ブルーヘイズ」はロックぽい季語だと思ったら山頭火だった

『季語集 』坪内稔典(岩波新書)

生活習慣や環境の変化に伴う季節感のずれや希薄化がすすんでいます.季語の世界にもそれが反映され,新しい季語が続々と生れてきました.伝統的な季語に,バレンタインデー,球春,あんパン,俳句の日などを加えて,300の季語を選び,解説したネンテンさんの今様歳時記.日々の俳句づくりに役立つよう例句・索引を付載
目次

【時候】立春/光の春/春はあけぼの/木の根開く/啓蟄/春寒/彼岸の入り/永日/春宵/蛙の目借り時/春昼/魚島時/行く春/【天文】淡雪/春一番/貝寄風/陽炎/春の月/菜種梅雨/朧/春風/【地理】薄氷/水温む/春の土/春の滝/春の川/春の潮/【生活、行事】花菜漬/バレンタインデー/花粉飛ぶ/野焼き/春の匂い/卒業/春の風邪/雛の家/お水取り/挿し木/朝寝/球春/はんなり/草餠/釘煮/あんパン/春愁/風車/野遊び/新入社員/筍と若布のたいたん/遍路/虚子忌/啄木忌/【動物】猫の恋/白魚/春の河馬/雲雀/燕/蛍烏賊/亀鳴く/磯巾着/蛙/雉/【植物】梅が香/レタス/椿/いぬふぐり/蕗の薹/種漬花/菜の花/葦の角/桜/えんどうの花/チューリップ/菫/藤の花/白詰草


【時候】麦の秋/リラ冷え/明易し/晩夏/【天文】青嵐/ブルーヘイズ/青葉雨/虹/青梅雨/梅雨闇/炎天/夕凪/雲の峰/西日/夕焼け/雷/晩夏光/【地理】青岬/【生活、行事】鯉幟/森林浴/祭り/草刈り/新茶/鯨来る/水無月/汗/デッキチェア/溝さらい/雨ふり小僧/浴衣/昼寝/ビール/氷菓子/祇園祭/花氷/海水浴/サーフボード/夏瘦せ/端居/帰省/キャンプ/花火/桜桃忌/独歩忌/河童忌/鬼貫忌/原爆忌/敗戦日/【動物】時鳥/郭公/毛虫/クサギの虫/蚯蚓/蟻/蛇/蝙蝠/女郎蜘蛛/赤い河馬/蛍/蠅/蝸牛/金魚/鮎/小鰺/鱧の皮/蛸/河童/【植物】薔薇/馬鈴薯の花/桐の花/睡蓮/夏草/柿若葉/ジューンドロップ/榎/くすぐりの木/筍/夏みかん/桑の実/枇杷/トマト/黴


【時候】立秋/二百十日/新涼/残暑/秋の宵/さわやか/秋彼岸/夜寒/夜長/秋の日/雀海に入りて蛤となる/暮秋/【天文】野分/海鳴り/月夜/月光/十五夜/星月夜/露/爽籟/秋空/天高し/いわし雲/後の月/秋日和/【地理】秋の川/【生活、行事】踊り/生御魂/盆飯/茄子の馬/俳句の日/草泊まり/登高/月見/団子盗み/老人の日/柿の木問答/秋祭り/けんか祭り/ハロウィーンと亥の子/秋の灯/栗飯/新米/紅葉狩り/おしまいやす/子規忌/【動物】草雲雀/小鳥来る/秋の蚊/秋の蛇/虫の声/いなご/赤蜻蛉/ひよどり/【植物】猫じゃらし/鉄道草/鳳仙花/草の花/すすき/萩の花/葛の花/露草/思い草/野菊/曼珠沙華/菊/糸瓜/稲/莢隠元/さつまいも/丹波の黒豆/青蜜柑/栗/椎の実/林檎/柿/木守り柿/照葉/茸

冬 新年
【時候】冬/神無月/小春/師走/冬至/年の瀬/松の内/底冷え/大寒/春隣/節分/【天文】小春日和/時雨/木枯し/すきま風/風花/北颪/寒月/冬の星/【地理】枯れ野/冬の庭/山眠る/雪嶺/【生活、行事】七五三/雑炊/夜話/毛糸編む/マフラー/セーター/懐炉/湯豆腐/義士祭/障子/鼻水/風呂吹き/終い弘法/火事/柚子湯/クリスマス/冬籠り/仕事始め/なずな打つ/十日戎/成木責め/かじかむ/おでん/煮凝り/雪女郎/日向ぼっこ/探梅/【動物】水鳥/鶴/海鼠/【植物】石蕗の花/帰り花/枯尾花/落葉/水仙/枇杷の花/枯れ草/大根/葱/冬苺/蜜柑

坪内稔典『俳句発見』と一緒にサブテキストのつもりで借りた。坪内稔典版「折々のうた」というような季語エッセイ。とりあえず夏の項目だけ目を通した。稔典さんは季語を二物衝突でずらすということを主張しているので、俳句の用例はその好みが出ている。

「螢」だと、

じゃんけんで負けて螢に生まれたの 池田澄子
蛍狩りうしろの闇へ寄りかかり 正木ゆう子

正木ゆう子の俳句ではその闇は男かもと想像する。
また「睡蓮」で、

睡蓮でちょっと寄りましょキスしましょ  坪内稔典

という俳句を作ったら抗議の手紙が殺到したとか。けっこうキスが好きなんだよな。そういう感情が詩的なのだと思うけど、戦中世代とかは不謹慎とかなってしまう。

もともと季語は大陸から入ってきて、『古今和歌集』や『源氏物語』で意識付けられたもので、日本人はもともと二季だったとか。そういえば最近の異常気象も四季ではなく二季になったとかネットニュースで見た。四季を意識するのも若者より年取ってからだという。

四季があるからというより四季をイメージするから植物や虫に出会ったりするような。二十四節気とか意識すると、言葉から感じるイメージで四季を感じることが出来る。立秋とか、言われると暑い中でも風が心地よい。

「雀海入りて蛤となる」という秋の季語からイメージを想像する。

蛤に雀の斑(ふ)あり哀れかな  村上鬼城

実景ではなくイメージの句だろうか。

またカタカナ季語が意外性がある。「ブルーヘイズ」とか「リラ冷え」とか「ジューンドロップ」とか。意味を言われないと分からないかもしれない。調べて見てほしい。


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