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甲斐バンドと福音書

甲斐バンド『Singles』

甲斐バンド『シングルス 』(2000) https://music.amazon.co.jp/albums/B0045N6RB4?ref=dm_sh_3a2a-7555-f1ac-f6cb-9475e

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今朝ゴミ捨てに行くときに外は雨が降っていて知らずに口ずさんでしまう歌が甲斐バンドの『裏切りの街角』だったのである。

この歌を聴いてふと思ってしまった。「誰に裏切られたのだろう?」でも、よく聴くと裏切ったのは自分なのだ。それで昨日見た「100分de名著『新約聖書 福音書』第4回」を思い出してしまい、この歌はユダがイエス・キリストを裏切った歌ではないかと思ってしまった。

語り手ユダ、君をイエス・キリストにすると意味が通じてくる。プラットフォームは処刑場で今まさに磔にされたイエス・キリストが天国(神の元)に旅立とうとしているのである。「♪~発車のベル叫び声の中、あのひとが見えなくなった」というサビの部分なんて号泣もののシーンではないか?

甲斐バンドが流行っていた頃、たぶん深夜ラジオで聴いてラジカセで録音したテープを繰り返し聴いたのだと思う。それは当時の僕たちの福音書だった。そんなことを思い出したのである。そして例えば「かりそめのスイング」は、イミテーションの世界であり、まさに『聖書』が描いている世界なのである。もともとこの曲はジプシー音楽のジャンゴ・ラインハルト「マイナー・スイング」に影響された曲で、当時はジプシー音楽を悪魔の音楽と捉えられていたことを考えるならば、この歌が「聖書」的であるというのも頷けると思う。

甲斐バンドが好きなのは映画のような歌が多いからであった。そんな歌の一曲は、「ポップコーンをほおばって」だった。映画館は教会でありポップコーンは聖食であり、映画の言葉を福音書のように聞いたのが名画座のある映画館だったのだ。池袋の文芸坐とか高田馬場の早稲田松竹とか。ロードショーは新宿ミラノ座とか。そんな映画館がある街が好きだ。そんな歌と重なる思い出。

「東京の一夜」はもはや音楽の中にしか存在しない世界となった。「♪~東京の一夜はこの街で過ごす一年のよう」という繰り返し聞いたあの日には、もはや戻れない。


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