現代詩に関わるのも大変だ
『詩にかかわる』入沢康夫
詩のエッセイ。入沢康夫が松江出身で、出雲大社や神話のこと、さらにラフカディオ・ハーンの思い出とした回想風のエッセイ。日本神話は出雲を属国としたので肩身が狭かったが最近の出雲ブーム(神殿発掘)で喜ばしいとかハーンはヘルンさんと呼ばれて親しまれていたとか。ヘルンはヘロン(鷺とくにオア鷺のような)の意味もあったので家紋をアオサギにしたとか。そう言えば宮崎駿のアオサギは、奇妙な偉人さんっぽくてハーンに似ているかも。
2章の詩の方位は現代詩の詩論のようなエッセイでこの章が興味深い。中でも「エコーあってのナルシル」は、それまでナルシス一人の神話だと思っていたらナルシスに恋していたおしゃべりな妖精の話は女神ユノーの呪いにかけられて(噂を広めるからか)他人の言葉を繰り返すことしか出来なくなったために声だけしか残らなくなり、ナルシスを見つけて彼を憐れむのだがその声を真似るしかなく、ナルシスに木霊するエコーもナルシスと共に水に沈んでいくのである。エコーの話は初めて聞いたな。
現代詩については、今や誰も見向きもしない存在となり、その苦労話が語られる。定型化した方がいいのじゃないかとか。いろいろな問題があるようだが、現代詩の分かりにくさなのか?
最後はまとまったネルヴァルについて詳しい解説があった。この人はフランス象徴詩が専門なのだろうか?ちょっとつかみ難い詩人だった。現代詩について杞憂するところは共感できるというか、なかなか現代詩も大変そうだ(ほとんど読まないし、興味ない人が多いと思う)。可能性として宮沢賢治とか上げられていた。
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