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淡い恋じゃなく泡のような恋

『ファルコン・レイク』(2022年製作/100分/PG12/カナダ・フランス合作)監督:シャルロット・ルボン 出演:ジョゼフ・アンジェル、サラ・モンプチ

解説
「ザ・ウォーク」「イヴ・サンローラン」などで知られるカナダ出身の俳優シャルロット・ルボンが長編初メガホンをとり、思春期の少年少女の忘れられないひと夏をつづった青春ドラマ。フランスのバンドデシネ作家バスティアン・ビベスの「年上のひと」を原作に、16ミリフィルムならではの映像美で繊細に描き出す。

もうすぐ14歳になるバスティアンは母の親友ルイーズのもとで夏を過ごすため、家族4人でケベックの湖畔にあるコテージへやって来る。ルイーズの娘である16歳のクロエと出会ったバスティアンは、大人びた雰囲気の彼女に恋心を抱く。クロエの気を引くため、幽霊が出るという湖へ泳ぎに行くバスティアンだったが……。

バスティアンの母役に「胸騒ぎの恋人」のモニア・ショクリ。2022年・第75回カンヌ国際映画祭の監督週間に出品されたほか、世界各地の映画祭で注目を集めた。

分類すれば「夏休み映画」になるのか。少女の名前がクロエって、どこかで聞いたことがあると思ったらボリス・ヴィアン『うたかたの日々』だった。なるほど泡のような恋愛か?こちらはシャンパンじゃなくビールという感じか?

湖が幻想性を醸し出すのは森の中にあるからだろうか?海とは違って閉塞感のようなものか。水死体のオフェリアの美というような。幽霊話が絡んでくるのは『ハムレット』だろうか?思春期の少年が二つ年上の危ういイトコに恋する話。

通過儀礼的なのだが失敗することもある。そのことで永遠性を得たのかもしれない。大人になれない子供としてのヴァカンス。ちょっと大江健三郎の小説を連想したのは森と木と湖の窪地か。神話的であるのは湖の靄のようなあやふやな境界性だろうか?此岸と彼岸との。神話的に考えれば少年は神隠しに会ったのだろう。

視点が少年で年上の女性の憧れの映画かと思ったが監督が女性だった。だから最後はクロエの視線になるのかな。湖の先には少年はいないが後ろから見ている。見守っている。

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