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マクベス夫人の映画を作ってもらいたいほどマクベス夫人好き

『マクベス 』シェイクスピア (著), 安西 徹雄 (翻訳) (光文社古典新訳文庫– 2008)

「ヘエエエイ、マクベース!」荒野で三人の魔女から呼びかけられた闘将マクベス。やがては王になるとの予言どおり、ひたすら血塗られた裏切りと栄達への道を突き進む。王の座を手中におさめたマクベスの勝利はゆるがぬはずだった、バーナムの森が動かないかぎりは……。シェイクスピアの不滅の四大悲劇の一つであり、「舞台で生きる言葉」にこだわり練り上げた演劇の人・安西徹雄、最後の訳業。

シェイクスピアの戯曲を読むのは初めてだったかも。『ハムレット』は太宰で読んだけどあまり覚えていない。もともと戯曲を読むのが苦手というか、特にシェイクスピアのような時代かかった大げさなセリフ回しは何を言ってるのかようかわからん。それでも黒澤明の『蜘蛛巣城』の原作でもあり、最近観たジャスティン・ガーゼル『マクベス』が正統的なスタイルで面白かった(マクベスはマイケル・ファスベンダー、夫人がマリオン・コティヤール)。ストーリーがわかればこれほど面白いドラマもない。さすがシェイクスピアだと思った次第。

文学史上最高(最悪)悪女だろうなと思うマクベス夫人は、三人の魔女とさらに最強魔女のヘカテの血筋を引く。マクベスを権力の欲望の渦巻くドラマに誘惑者として誘う女達の言葉。

「晴々しいなら 禍々しい、禍々しいなら 晴々しい」“Fair is foul, and foul is fair”日本最初の訳では「きれいは きたない、きたないは きれい」で有名

魔女の予言、「バーナムの森が動かないかぎりは」「女から生まれた子供じゃなければ」をひっくり返すストーリーは凄い面白い。『蜘蛛巣城』でのあの森のシーンは鮮烈だった。ガーゼルは森が燃えていた。映画から入ったのですが、原作も面白かった。(2016/07/21)

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