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ユージン・スミスのカメラを通した「ミナマタ」

『MINAMATA‐ミナマタ‐』(アメリカ/2020)監督アンドリュー・レヴィタス 出演ジョニー・デップ/真田広之/國村隼/美波/加瀬亮/浅野忠信

あらすじ
熊本県水俣市のチッソ水俣工場による工業廃水を原因とし、現在まで補償や救済をめぐる問題が続く日本における”四台公害病”のひとつ、水俣病。その存在を世界に知らしめたのが、写真家ユージン・スミス氏とアイリーン・未緒子・スミス氏が1975年に発表した写真集「MINAMATA」だ。ジョニー・デップ自身が長年の憧れだったと語るユージン氏。彼の遺作ともなったこの写真集を基に、ジョニー自身の製作/主演で待望の映画化が実現した。映画では、報道写真家として功績を評価されながらも心に傷を抱えたユージン氏が、当時の妻アイリーン氏とともに水俣を訪れ1971年から1974年の3年間現地で暮らし、人々の日常や抗議運動、補償を求め活動する様子を何百枚もの写真に収めていく濃密な日々がドラマチックに描かれる。

ユージン・スミスのフィルターを通した「ミナマタ」。ジョニー・デップが力を入れたのがわかる。アカデミー賞取ってもおかしくないが、真田広之が助演男優賞取ったらサニー千葉も浮かばれるだろう。出だしがロック調でNYの感じから水俣へ。

日本だとこういう映画はシリアスに暗くなりがちだが、最初はエネルギッシュなユージン・スミスを見せる。水俣に行ったのを沖縄の記憶があったからでそのへんの動機づけも描いている。そして、水俣での写真の難しさ。水俣の悲惨な写真よりは母親が娘を風呂に入れる写真を物語に織り込んだのは良かった。石牟礼道子『苦海浄土』を思い出させる。妊娠中にチッソ中毒は胎内の子供が被害を被り、母親は助かったということだった。

あとラストは日本の問題だけではなく世界的に公害反対運動に結びつけているのもいい。日本だけの閉じられた話ではない。そして、今現在も各地で起きている住民運動に力を与える映画になっている。

真田広之が太ってしまって、先日、サニー千葉特集で『柳生一族の陰謀』を観ていたので随分年取ったなと。みんなそうなんだけどジョニー・デップはそれなりなんだけど。まあ、ユージン・スミスがカッコいいから。



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