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嘘つきだって朝日が見たい

あらすじ
100年近くの歴史を持つ映画館「朝日座」。シネコンと呼ばれる複数のスクリーンを持つ複合映画館が活況を見せる中、主に旧作映画を上映する名画座として、地元住民の思い出を数多く育んできた。時代の流れには逆らえず、支配人の森田保造はサイレント映画『東への道』をスクリーンに流しながら、ついに決意を固める。ほどなく、一斗缶に放り込んだ35mmフィルムに火を着けた瞬間、森田の背後からその火に水をかける若い女性が現れた。茂木莉子と名乗るその女性は、経営が傾いた「朝日座」を立て直すため、東京からやってきたという。しかし、「朝日座」はすでに閉館が決まり、森田も打つ手がないと決意を変えるつもりもない。地域に密接した映画館を守ろうとする都会の人間と、積年の思いを断ち切り閉館を決めた支配人。果たして「朝日座」の運命やいかに。

『浜の朝日の嘘つきどもと』(日本/2021)監督タナダユキ 出演高畑充希/大久保佳代子/柳家喬太郎/甲本雅裕/佐野弘樹/神尾佑

けっこういい映画だとは思うのだが詰めが甘い。経営が成り立たなくなった映画館。一人の女性がやってきて映画館を立て直すために奮闘する。東日本大震災で家族バラバラになった体験をしている女生徒をちょっと外れた先生が面倒を見る。その先生が映画好きで、その説明がいい。

フィルム映画にはフィルムとフィルムの間に繋ぎ目があるからそれを隠すために暗闇を作るのだそうだ。光の部分の残像を見て人は感動しているのだ。映画は幻影なのだが、家族も幻想だという。それに気付かされた時に絶望する。その幻想の部分に繋がりを持つ。

だから孤独な者には映画館が必要だという。それははっきり誰にも役にたつものでもないが映画に救われた人がいる。そこまではいい。だけど結局は幻想の部分に期待するしかないという結末になってしまう。疑似家族でもやっぱ愛なんだよな。最後は家族が助けることになる。

愛あるところには憎しみもあるから、そういうのが関係ないところで共同体なり行政が出来ればいいと思うのだ。幻想の部分に期待をしてしまうのは仕方がないことなのか?それはそういう幻想で囲まれていたほうがいいに決まっているんだが、醒めてしまった者には辛い。

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