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雪景色燈火(ネオン)は消えて溶けてゆく

朝に積もっていた雪もあっという間に昼前には溶けていた。雪が好きだったんだな。仕事をしていた時は前の日から憂鬱だったけど。無職と子供は雪が都会の汚れを覆ってくれると思っているのかもしれない。

昨日は昼から映画を観て図書館。図書館ではけっこう集中して本が読めた。映画は『燈火(ネオン)は消えず』。昔はネオン街とかヤバそうな場所があったが今は電光掲示板のような液晶になっている。ネオンは言葉にも懐かしさがあるし暖かさがある。そんな香港映画。七十年代ぐらいのTVドラマみたいな内容で、ちょっと最近の映画みたいな切れがない人情モノの映画だけど、なんとなくいいと思ってしまったのは昔の家族愛みたいなものを描いていたからかな。シルヴィア・チャンは、『ロングデイズ・ジャーニー』で観た頃よりずいぶんオバサンになってしまった。まあ、そういう役どころだったからか。

図書館で『窯変 源氏物語』と齋藤史のインタビュー集『ひたちくれない』を読んで、齋藤史の短歌を英詩にした『記憶の茂み』を図書館で借りた。英詩については、齋藤史がインタビューで日本語の微妙な動作が削がれてしまう(薄衣の脱ぐ音とか英語ではすぐ裸になるようだと言っていた)というが、齋藤史も近代詩の翻訳から自身のモダン短歌を構築させたように、影響関係はあるんだよな。そのものを求めるのは無理だけど。だからウィエリー版『源氏物語』が面白かったりする。雅楽がバロック管弦楽になっていた。
橋本治『窯変 源氏物語』も一人称に変えただけでそれまでの「源氏物語」と随分違うものになっている。

昔の夢を観たな。バブル時代の不動産屋やっていたおじさんが出てきて無職なのを責められてた。あの時代はなんだったんだろうな。一億の建売が売れたんだからな。電電公社が民営化してNTTになって、株を買おうとか学生でも話題にしていた時代だった。そういう話にうんざりしていたのは、父親が余命宣告とかされていたからかな。その頃から精神世界の方に興味があるのだった。ただその後にオウム事件などもあっていかがわしいものも随分あったから。そういうのは幻想だとしか思わなかった。冷めきっていた青春時代。ネオンの時代は子供だったから。ネオンが消えていく時代だったんだ。
パチンコ屋の一文字が消えていたような時代。

今日の一句。

雪景色燈火(ネオン)は消えて溶けていく  宿仮


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