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日々のうた(日記)はわが「ソングライン」

昨日はジャック&ベティで映画を見て、図書館に予約本を取りに行き三冊返却、二冊借りた(予約本含めて)。映画は途中で眠ってしまったのだが、内容自体は非常に興味深いものであり、文字以前の神話の伝承というテーマの映画だった。ヘルツォークのブルース・チャトウィンを描いたドキュメンタリー。

図書館で読書。ダグラス・スチュアート『シャギー・ベイン』はサッチャー政権下のイギリス労働街の家族の物語。息子から見たアル中になっていく魅力的な母親(エリザベス・テーラー似)のヤングケアラーの話だという。デビュー作でいきなりブッカー賞受賞の英米で話題の本でストーリーも今の世界を捉えている。労働者階級が右傾化していくなかでの女性へのDV、それを抱えてのアル中になる母と介護する息子という構図。

早速図書館で100p.ぐらい読んだ。600p.ぐらいのぶ厚本なのだが、文章は読みやすい現代文学。描写も的確で会話も面白い。会話が適当に入ると読みやすいのだよな。まだ家族構成の部分だが、カトリックの家系の美人アグネスは、前夫の間に二人の子供を産んだあとに、プロテスタント系のタクシー運転手に惹かれていく。それでシャギーを産むのだ。当時民族間の争いも激しく(今も続いている)、アイルランド系のカトリックとプロテスタント系のスコットランドの民族間対立(イギリスの支配階級の下での労働者間の敵対行為)があるのだが、わかりやすいのはサッカーのチーム対決というような。フーリガンというサッカーファンのサポーターの暴動はニュースになるが、その下のあるのはこうした民族対立なのだ。

そう言えばワールドカップも知らない内に始まるな。ナショナリズムが培われていくのはこういうスポーツで、特にサッカーは労働者のスポーツとされるから対立が激しくなる。

そう言えばプルースト生誕100年だったのだ。それで『失われた時を求めて』を読んだが20p.ぐらいで寝てしまった。プルーストの20p.ぐらいがダグラス・スチュアートの100p.ぐらいというか、物語の推進性が全然違うから『シャギー・ベイン』は読みやすい。『失われた時を求めて』は過去の世界へ行ったり来たりの回想の物語の中に芸術論が入ってくるので錯綜としているのだ。

あと金田一京助『石川啄木』を半分ぐらいまで。これも非常に面白いのは、金田一京助がいい人すぎて、始終啄木の味方であるけれども、啄木は嘘つきで女性遍歴が激しい極貧詩人だったのだ。それで金田一京助が面倒をみたりしているうちに、家族が東京にやってくる。啄木は単身で自身の才能を信じて東京に出てきたのだが田舎に残してきた家族を養わなければならない。その中で嫁姑問題が勃発して、妻の節子さんが出ていってしまう。それで金田一に手紙を書いて貰うのだが、その手紙に自身が泣いてしまったり、また啄木はそんな風だから朝から酒を飲み母親を避難する。その母親がまた金田一にすがってくるとか。こういう嫁姑問題は日本の文学だよな。

「うたの日」は相変わらず駄目な日。そんなことしているうちに句会の締め切りが明日だと気がつく。まだ俳句投稿してなかった。いつもこんなパターンだ。一つのことに熱中すると他を忘れる。

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