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煩悶する琴の音と篝火の炎
『源氏物語 27 篝火 』(翻訳)与謝野晶子(Kindle版)
平安時代中期に紫式部によって創作された最古の長編小説を、与謝野晶子が生き生きと大胆に現代語に訳した決定版。全54帖の第27帖「篝火」。内大臣の新令嬢・近江の君が笑いものなっていると聞いた源氏は、呼び寄せておいて不当な扱いをしていると非難する。源氏は始終玉鬘を訪れていた。篝火に浮かんだ玉鬘は一層美しく立ち去るのが惜しまれたが、怪しまれないよう夜中に帰る途中、内大臣の息子・柏木と弁の少将が笛と琴で合奏しているのを聞く。姉弟であると知らずに柏木は、玉鬘への恋の想いを音楽に託して琴を奏でるのだった。
内大臣の近江の君が笑い者になっている話は、女房たちの噂話であり、光源氏が玉鬘を求めるのは肉体行為であるわけだから、自分のことは棚に上げてと思うのだが、玉鬘の方でも光源氏に気を許しつつあるのか?
琴の練習が終わって琴を枕にするなんて、何のレッスンだ!と思うものも風流と言えば風流である。そのように描かれている演出は「篝火」ということなんだが。
(光源氏)
篝火のたちそふ恋の煙こそ世には絶えぬ炎なりけり
(玉鬘)
行方なき空に消(け)ちてよ篝火のたよりにたぐふ煙とならば
玉鬘の和歌は上手くなっているのか?
そして、源氏が追い出されて別室では、夕霧の音楽会。頭の中将とあるのは、息子の柏木だった。心の琴を掻き鳴らすとは短いけれど、盛り上がってきた。
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