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氷河期や俳句雑誌の規格品

『俳句 2021年4月号』

俳句で人生が10倍楽しくなる!

◆大特集 俳句入門 最初の一句、どう作る?
【はじめに】神野紗希
【準備編】藤本夕衣
【俳句の基本】鳥居真里子
【最初の一句の見つけ方・作り方】小島 健
【知ると楽しい俳句のテクニック】成田一子
【最低限文語文法入門】佐藤郁良
【初心者のための俳句鑑賞法】井上弘美
【良書ガイド】抜井諒一
【句の評で出会う用語】外山一機
【コラム】「俳句、ここが楽しい」永瀬十悟・鈴木牛後・月野ぽぽな・西川火尖
【付録】上五・下五にそのまま使える五音の季語 相子智恵

◆第二特集 境涯俳句―俳句は生き様
【総論】細谷喨々
【論考】藤田哲史・池田澄子・高山れおな
【期別 境涯句100句選】柘植史子

■3ヶ月連続掲載!宮部みゆき『ぼんぼん彩句』

■特別作品50句 大木あまり
■特別作品21句 大串 章・恩田侑布子

■グラビア日本の鳥たち 大橋弘一

■作品
[16句]岩城久治・山本素竹・夏井いつき
[8句]小檜山繁子・加藤耕子・永島靖子・岡田日郎・岸本マチ子
[12句]冨田正吉・寺島ただし・小杉伸一路・大竹多可志・前田攝子・益永涼子・黒澤麻生子
[角川俳句賞作家の四季 春]岩田 奎

■令和二年度 俳人協会賞各賞決定!
野中亮介
安里琉太・篠崎央子
井上弘美・南 うみを

■日本の俳人100 根岸善雄『潺潺』特集
根岸善雄
西嶋あさ子
永方裕子・小島 健・井越芳子・佐怒賀直美

■新連載「昭和俳句史~前衛俳句~昭和の終焉~」川名 大

■好評連載
○昭和の遠景……須藤 功
〇野菜の十二カ月……南 うみを
○俳句の中の虫……奥本大三郎
〇現代俳句時評……西村麒麟
○漢字四季折々……笹原宏之
〇合評鼎談……伊藤伊那男×堀田季何×高柳克弘

「大特集 俳句入門 最初の一句、どう作る?」

この特集が気になって手に取ったのだ。俳句をつくり始めたあの興奮や新鮮さがどんどん奪われていく。それは、初心者の俳句とプロ作家と呼ばれる人の乖離だと思うのだ。

俳句専門誌は目にすることはあっても読むのは初めて。それで驚いたことが一つあった。十七文字(文字じゃなく音でした)という縛りは当然だと思うのだが、掲載されている俳句の文字数を揃えていた!(これは編集でレイアウトで揃えていたので文字数はバラバラでした)。ただそういう編集作業がいいのか、という問題。同一性で気持ち悪いとならないのか?感性的なものかな?

それは形かな。スーパーで見栄えのいい野菜が売られていくような。そういう規格品としての俳句。何かそれは違うのではないかと思ってしまう。その開きがプロ作家といつまでも初心者のアマチュアではあるのかもしれない。家庭菜園と売るための商品としての野菜だ。

そう言えば定年退職して家庭菜園などで余った野菜を安く売るから農業をやる人が困っているという記事を読んだ。家庭菜園などは規格品以外でどんな農薬が使われているかわかったものじゃない。だから規制すべき?

昔、田舎があった頃、帰りにはいつも野菜を貰って、車につみきれないほどの野菜を貰っては近所に配ったものだった。それは無農薬とか気にしていなかった。そういう責任の追求とかしていなかったよな。そういう規制が多すぎる社会だと息苦しい。農業と俳句とは違うかもしれないが、なんとなく感じた楽しめなさの理由。

第二特集 境涯俳句―俳句は生き様

「境涯俳句」とは初めて聞くが、俳句にその人の人生やら生活を詠み込む。まあそれを自分のためにやって作るということだ。それと逆なのは兼題を出されて投稿するために俳句をひねる。それも初心者には、力を知るためにも必要だと思っていたのだが。

投稿で取り上げられるための判断は、最初からプロがしているわけではないのだよな。まあ、そういうところもあるかもしれないが。大抵は主催するNHKならNHKの職員が分類するのだ。そのときに指針は規格で仕分けするのだと思う。NHK俳句の約束に則って、綺麗な俳句を作りましょう。掲載句が魅力に思えないと感じて投稿を止めた。そこがアマチュアなのだが。

とりあえず売るための俳句よりも自分で美味しいと食べる俳句だ。なかなかそういう俳句は出来ないもので、自分の批評眼も問われることになるのだが。

何より俳句雑誌を見ると結社の宣伝の多さだ。決して安くない。ただそれも彼らの経済なのだ。食うためにはという。それもわからなではないが、そこから先人を超える俳句は生まれるのだろうか。この号の掲載句でいいと思ったのは、富澤赤黄男の一句。

「蝶墜ちて大音響の結氷期  富澤赤黄男」

規格外の俳句だった。その句に惹かれて俳句を作る若者も多いという。しかし、次第に爺臭くなっていくんだろうなと考えてしまう。



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