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その続きを想像するのは野暮という

『終わりよければすべてよし』(WOWOW/2021)原作シェイクスピア 演出吉田鋼太郎 出演藤原竜也×石原さとみ×吉田鋼太郎

WOWOWで、「終わりよければすべてよし」藤原竜也×石原さとみ×吉田鋼太郎を今秋に放送することが決定した。彩の国シェイクスピア・シリーズ全37戯曲がついにフィナーレ!23年の時を駆け抜けた締めくくりに藤原竜也、石原さとみ、吉田鋼太郎らが挑む。
1998年のスタート以来、芸術監督蜷川幸雄のもとで、国内外に次々と話題作を発表してきたシェイクスピア全37戯曲の完全上演を目指す「彩の国シェイクスピア・シリーズ」は、いよいよ最後の作品となる第37弾『終わりよければすべてよし』を迎える。2016年10月にシリーズ二代目芸術監督に俳優・吉田鋼太郎が就任し、翌年12月に『アテネのタイモン』でシリーズを再開させた。その後は吉田の演出手腕が高い評価を受け本シリーズにさらなる弾みをつけた。シェイクスピア・シリーズ最後となる本作品は、若き伯爵バートラムに恋する身分違いの孤児ヘレンを中心に、シェイクスピア喜劇で欠かせない魅力的なキャラクターたちが登場。バートラムが縦横無尽に駆け巡り、ヘレンの一途な恋の行方に、最後までくぎ付けになる本作を、シェイクスピア作品に造詣の深い吉田鋼太郎とフィナーレにふさわしい豪華キャストによってお届けする。「終わりよければすべてよし」 と、幕が下りる、その瞬間をお見逃しなく。

「彩の国シェイクスピア・シリーズ」は蜷川幸雄が始めたプロジェクトで蜷川亡き後に吉田鋼太郎が座長として引き継いだ。蜷川シェイクスピアは豪華絢爛、「シェイクスピアは欲望の劇である」、翻訳は蜷川のプロジェクトの元、シェイクスピア全作を新訳で翻訳した松岡和子。

その最終回を締めくくるべきシェイクスピアの最後の作品は『終わりよければすべてよし』で締めくくったわけである。そんな劇だった。

シェイクスピアのそれまでの作品を感じさせるエピソードが織り込まれたびっくり箱という感じか。ただ今の時代に熱演型のシェイクスピアがいいのかどうか?確かに、藤原竜也のテンションの高さや石原さとみの熱演は蜷川シェイクスピアの豪華さを感じさせる。いかにも舞台という感じ。豪華過ぎるのだ。芝居という小劇場を体験してきた者にとっては。

シェイクスピアのセリフは諧謔がある。ある部分女性蔑視的なんだが、それが欲望というベールで覆い隠される。家付きの結婚話だが、バートラムはヘレナが好きじゃなく逃げ回る。その結婚を無理強いにする欲望の話だった。死んだヘレナが妊娠して現れる。誰の子だよ、と思ってしまった。

ダイアナ(バートラムの好きな女)の代わりに騙してヘレナが寝る「ベッド・トリック」がいまいちわからなかった。まあ、そこまで欲望を持つというのはある意味凄いが、ヘレナの結婚願望は愛なのか?ただバートラムを夫として迎えればいいという、けっこう怖い話だ。「終わりよければすべてよし」と行かないだろう。

それでもシェイクスピア劇はそれでいいのだと座長である吉田鋼太郎の言葉。人間は厳密に生きているわけではないという。だいたい収まればそれでいいとする。

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