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アントネッラ・アンニョリ(2017)『知の広場 図書館と自由』(萱野有美訳)みすず書房

海外にある公共性が高い施設の広々とした空間がすきだ。
現代はインターネットが発達して、ひとびとは自由に情報を手に入れることができるようになったようにおもえる。
それでは、ひとびとはもう図書館を利用しなくなるだろうか。
否、ネット化、活字離れが進んでも、さまざまな情報を収集、整理してきた図書館という役割がなくなることはないだろう。

膨大な情報資源から、適した情報を探索し、提供すること。
なにかしらの情報にふれることは容易になれど、適切な情報を手に入れることは、さまざまなひとが情報の発信者になり得る時代になって、より困難になっている。
図書館が変わらずこの役割を果たし続けるためにも、ただ本を読むだけの施設ではいられない。
さまざまな情報が集まるだけではなく、地域住民が集まる場として機能していくことが求められる。そのために、図書館員は館内でひとを待つだけではなく、地域に出て行って、地域住民の課題や需要をつかまなければならない。

この「場」として機能する施設を、日本の公共施設がどのように実現できるか、というところがまだみえてこない。欧米の施設をそのまま輸入してくるということは、土地的にも経済的にも難しいだろう。
それでも、ひとが集まり、かかわりあう図書館が日本にもでき始めている。そのような図書館が日本中に広がるといいとおもう。


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