若菜晃子編著(2021)『岩波少年文庫のあゆみ 1950-2020』岩波書店

「かつてあったいいことはどこかで生き続ける」
石井桃子のことばだ。
「かつてあったいいこと」
わたしにとっては、まぎれもなく幼少期の読書体験だ。
その読書体験を力強く支えてくれたのが、岩波少年文庫だった。敷居の高そうな装幀に、じぶんとは関係ない本だとはじめは思い込んでいたが、1冊読んでみると、その魅力にどっぷりとひきこまれ、この年齢になるまでこころのいちばんたいせつな部分を守られている。

その岩波少年文庫の歴史がつづられた本だ。
子どものために、真剣に真摯に本を出版してくれたひとたちのおもいにこころをうたれる。

歴代の装幀が比べられるところもおもしろい。
知らないころに出た本でも、なじみのある装幀で出版され続けていることがすばらしい。

今までもこれからも、たくさんの子どもたちと子どものこころを忘れないおとなのために、ゆたかな物語を届け続けてほしい。

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