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あなたの優れたアイデアが、否定されてしまったら

私たちの周囲には、課題がたくさんあります。
職場の課題、チームの課題、人間関係の課題、営業の課題、人事の課題、自分の課題…

そんな課題を解決するために必要なものは、優れたアイデアと実行力です。

ですが、優れたアイデアというものは、なかなか実現しません。なぜなら優れているほど、周囲から反対されるからです。

反対される理由

先日大きなニュースがありました。
東京-大阪間を現在の半分である約1時間で行き来できる「リニア中央新幹線」の開発の件で、プロジェクトの進行を妨げていた静岡県知事が辞任するというニュースです。

リニアといえば、日本が国力をかけて実行しているプロジェクトです。そんな重大な事業にひとり文句をつけ、開発をストップさせていたのですから、日本中から批判を浴びていました。

彼が頑なに反対し続けたのは、大変に恩のある財界の巨匠から指示されていたから、という説もありますが、彼自身のエゴや頑固さが原因という説もあります。

どちらにせよ、彼自身の個人的な事情に国家プロジェクトが阻害されていたのですから、なんともばかげた話です。

ですが、このようにプロジェクトの良し悪しとは、全く関係ないところで、横槍がはいったり、進行が妨げられるお話は、現実においても頻繁に起こります。

そしてフタを開けてみれば、反対される理由は「面倒だから」「新しいことをしたくない」からという理由だったりもします。

革新的なものほど反対される事例

革新的とは、世の中にない新しいもの、という意味です。

革新的であればあるほど、反対の声は強まります。なぜなら新しく未知なものを大衆は嫌うからです。

ですが、その反対を乗り越えたとき、市場に大きなインパクトを残す商品開発につながったり、ビッグプロジェクトになったりします。

そんな3つの事例をご紹介します。

①ポカリスウェット

ポカリスウェットは1973年ころに開発されました。当時としては、まだ水分補給の習慣すらありませんでした。

ポカリスウェットは、そんな時代に「発汗したら水分補給しましょう」と提案したのです。この提案は当時としては、かなり新しかったようで、社内からは「商品として売れない」と否定的な声が続出しました。

しかし、当時の社長である大塚明彦氏の「これは売れる」という鶴の一言によって発売が決まったのです。

②氷結

キリンHDが「今までにないチューハイ」を作ろうとして、考案されたのが氷結でした。この商品の最大の特徴はストレート果汁を使用したことです。

風味は良いものの、製造コストがかかるストレート果汁を使用することは、業界としては常識破りの行為でした。

当然、社内からは「140円のチューハイのために、そこまでコストをかける必要があるのか」と反対論が噴出しました。

しかし開発チームのリーダーであり、伝説のマーケターとも言われる前田仁氏が、この反対を押し切り商品化。発売されるや否や、大ヒットし、缶チューハイのトップシェアを奪いました。

③ウォッシュレット

今では当たり前にあるウォッシュレットも、開発当時は価値がうたがわれたことをご存知でしょうか。

1980年当時、ウォッシュレットは、お尻を拭く行為からお尻を洗うという発想を提案し、市場からはまったく受け入れられていませんでした。

開発担当者はプロモーションを行うために、当時のトップコピーライターである仲畑貴志氏のもとへ。しかし中畑氏は「この商品の売りがまったくわからない」と半ば、断りに近い返答をされてしまいます。

しかしTOTO(当時、東洋陶器)の担当者は、絵の具を用いて、丁寧にウォッシュレットの良さを説明し、中畑氏を説得。

その姿勢にうごかされた中畑氏は「おしりだって、洗ってほしい。」という名コピーとともに、そのキャンペーンを成功させました。

大事なのは誰がいったか

提案や意見は何を言ったかではなく、誰が言ったかという言葉があります。
巨匠の意見と、何者でもない人の意見では、同じことを言っていても、人の反応が異なるという大衆心理をあらわした言葉です。

あなたが優れたアイデアを持っていたとしたら、反対・異論が起こるのは当然のことなのです。

説得できないのは提案が間違っているから

しかし色々述べてきましたが、結局、悪いのは反対する上司でも、融通のきかないメンバーでもありません。

反論を突破できない、あなたが悪いのです。

これは、吉野家やP&Gで活躍した伊東正明氏の言葉です。

もし、上司への提案が通らないとしたら、相手が悪いのではなく、その提案が弱いんです。最初にカネや人の制約があると思うから、弱い提案になってしまう。制約をあえて取っ払った中で考えた上で、経営者に「そこまで言われたらやらざるを得ない」と思わせる提案がつくれれば、展望は大きく開けます。このサイクルをどれほど体験できるかで成長が変わります。会社や上司が悪いわけではありません。

https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/18/00486/00004/?i_cid=nbpnxr_child


提案の仕方はさまざまです。そこに正解はありません。

そして、新しいことをやる、というのは並大抵ではないのです。全ての利害を調整しながら、全ての関係者の損得勘定をプロジェクトの成功へ向けなければいけません。しかしそんな技術的なことは、やりながら覚えていけばよいこと。

まずは、自分が納得するまで、徹底的に裏どりや調査をおこない、「この提案が絶対必要です」とまっすぐ相手の目を見て言い切ることを意識してみてください。

技術の未熟さや稚拙は、意外と勢いでもカバーできたりします。相手を納得する前に、あなた自身が納得できることに取り組んでみてください。

参考になれば嬉しいです。