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行き慣れたお店へ吸い寄せられる理由

「お客様にお店をリピートしてもらうには、お客様が心をふるわせる、感動のサービスが必要」…なんていうのが従来の定説でした。しかし近年、その定説がくつがえされました。

それは、人とブランドを結びつけるものは「満足度(Satisfaction)」ではなく、「楽さ(Effortless)」であるという説です。

楽さというのは、つまり快適さ、ストレスがないこと、気兼ねなく通えること、緊張しないこと、という意味です。

これは米のマシュー・ディクソンという人が、10万人に調査を行った結果です。サービスの満足度は、ブランドへのロイヤリティとは相関せず、逆に簡単であること、イライラさせないこと、努力を要さないことの方が相関しているらしいのです。

日本は過剰サービスにあふれています。
服を買うと店員さんが商品を入口まで持参してくれます。美容院では凝ってもいないのにマッサージをしてくれます。帰宅時には出口まで見送ってくれます。

タクシーに乗れば、運転手の方がわざわざ回り込んでドアを開けてくれます。ホテルの部屋に入れば、おもてなしの折り鶴が置いてあります。

これらすべてお客様に感動のサービスをしようという、日本のおもてなし精神から来るものでしょう。しかしこのサービスは一度しか効果がありません。

初めてであれば良いのですが、それが当たり前になってしまうと、顧客の誘因性には繋がらないのです。おもてなしは消耗品のように、飽きられてしまうものだったのです。

コメダ珈琲はいかにお客様に”くつろいでもらうか”をミッションとして、座席を広くとることで「Effortless」を実現しました。お客様の回転率や効率を競っていたコーヒーチェーンの中で、コメダのくつろぎ戦略は異端中の異端でした。しかしそのくつろぎにより、習慣的に通うお客様が増加し、2024年時点で1000店舗を突破しました。

SNSがなぜここまで普及したのか。それは”ストレスなく”、”簡単に”いいねを押すことができるからだと言われています。発明したのはfacebook。

それまでは、わざわざコメントや掲示板にメッセージを残す必要がありました。いいねをワンタッチで表現することで、SNS上のコミュニケーションは一気に進化したのです。

このように世の中の優れたブランドやサービスは、快適であること、楽であることを極め、顧客を取り込んでいます。一度体験したら飽きられるような「Satisfaction」ではなく「Effortless」。意識してみてはいかがでしょうか。



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