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著者待望のポスト・アポカリプスファンタジー『要塞都市アルカのキセキ』発売

ポスト・アポカリプスとは何かと思う読者さまもいらっしゃると思うが、新約聖書『ヨハネ黙示録』の後の世界――いわゆる、終末モノだ。
大災害やら核戦争などで文明が崩壊した後の話で、探せば意外と身近なところに存在しているはずだ。あの国民的コミック『北斗の拳』や、年始にアニメ化する『錆喰いビスコ』、最近発売したゲーム『真・女神転生V』もポスト・アポカリプスに該当するだろう。

とにかく私は、文明が滅んだあとの廃墟だらけの世界と、終わった世界で再生を目指して強かに生きる人達を見るのが好きなのだ。
そんな私が、本作を刊行できたことを喜ばしく思う。

本作は、男子高校生があることをきっかけに異世界に転移するという物語なのだが、その異世界が正に、大災害で文明が滅び、汚染された空気と荒野が広がり、辛うじて生き残った人類が身を寄せ合って暮らしているという状況だ。
要塞都市アルカでは、星晶石と呼ばれる摩訶不思議な鉱石(資源として有用な鉱物)を巡り、大きな対立が起きている。
資源が限られている世界で、星晶石は電力を生み出すのに大いに貢献してくれている。だが、星晶石は人体に有毒であり、過去に大規模な汚染事故が発生している。そこで、星晶石を使って都市を統治する側と、星晶石に依存した生活から脱却したい側に分断してしまった。
主人公である遊馬は、転移先で後者に保護され、彼らの争いに巻き込まれてしまうのだ(男子でありながら《巫女》になりつつ)。
果たして、遊馬は無事に元の世界に戻れるのだろうか。
彼の行く末は、是非とも本書をお手に取って見届けて頂ければと思う。

余談だが、終末世界にて、人類に残されたわずかな生存圏で戦う話を書きたいという意欲はかなり前からあった。
確認できる範囲では11年前だろうか。新人賞に応募した時の評価シートが残っていた。そこから執念深く何作か書き続けていたのだが(趣味で書いていた作品もいくつかある)、ついに商業で発表する機会を得られたのである。

異世界ファンタジー自体は、中学生時代から書いていた。むしろ、最初に書いた小説は異世界ファンタジーだった気がする。
`90-`00年代は異世界ファンタジーが人気だったと記憶しているが、その後は盛り上がりが限定的になり、私が書店員になった頃はファンタジーというジャンル自体が縮小していた。主に実績を積んできて知名度が高い作家さんが、辛うじて書いているというくらいだった。
私のデビュー後、ファンタジーはキャラ文芸で盛り返してきたが、異世界ファンタジーはまだまだ企画を通しにくい状況だった。同社の担当さん(現担当さんとは別の方)にご提案をしてみたところ、難色を示されたこともあった。

だが、昨今は異世界ファンタジーも少しずつ盛り上がりを取り戻し、一昔前にあった雰囲気の作品もちらほらと見られるようになった。その結果、やや変化球の異世界ファンタジーの企画も通して頂けるようになったのかもしれない。
それにしたって、本作は角川文庫さん的には異色だと思うので、企画を通して下さったことに感謝を申し上げたい。
当方は世界観を構築するのが好きなのもあり、まだまだ異世界の物語を書きたい。願わくは、他にも終末系異世界の物語を紡げればと思う。

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