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『ルーカス魔法塾池袋校 入塾者募集中!』発売!

3月創刊となった「キミノベル」さんにて本作が刊行されたことで、ついに、蒼月も児童文学の世界に進出することになった。
もともと、ヤングアダルト(もしくはジュブナイル)を意識した作品作りをしているため、児童文庫での刊行はとても有り難く名誉なことだと感じている。
小説家として、元書店員として、次の世代の方々にとにかく本を手に取って頂きたいと思いながら幽落町の頃から尽力し続けていたので、名実ともに読書の「入り口」に立てたのは僥倖だ。

ご興味がある方は、ポプラ社さんの『ためし読見』を拝見して頂けると本編の雰囲気が分かるかもしれない。

さて、本作はいわゆる魔法モノだが、実は科学を用いて魔法を解説するサイエンスファンタジーとなっている。

主人公の藍田颯太は一般人だが、ひょんなことから魔法塾に入塾することになり、魔法使いの塾生達と机を並べることになる。
だが、魔法を使うためには世界の理を知らなくてはいけない。
世界の理とは、神様がとか精霊がとかではなく、科学(主に化学)だ。
まず頭に入れなくてはいけないのは、元素周期表である。

昔であれば、神様や精霊が登場する神話を知ることが世界の理を知るための近道だったが、今は世界の研究が進んでいるため、世界を客観的に理解出来る科学から始めるのだ。
最初は難儀する主人公だが、友人達やぷるぷるした生き物とともに絆を深め、ついには、モヒカンで鉄の箒にまたがりヒャッハーしている奴らとの戦いに……という物語である。なんか最後おかしかったな……?

なぜファンタジーに周期表!?とお思いの読者さまが多いと思うが、これは、高校の授業で化学が必修科目ではなく、うっかり周期表を暗記せずに大人になってしまって非常に苦労した筆者からの、「周期表はやったほうがいいマジで」という切実な想いが込められている。
筆者は周期表が怖くて仕方がなかったが(そもそも暗記が苦手なのだ)、大人になってから勉強すると意外と楽しく、「これは頭が柔らかいうちに入れておきたかったな……」と思った。
鉱物の化学式を読むために勉強した時は楽しかったので、これから周期表と向き合う読者さまは、是非とも、鉱物と関連づけて学習して欲しい。
ギラギラに加工されたルビーを見て、「ああ、酸化アルミニウムね」という冷静な感想が出てきたら本物(の鉱物クラスタ)だ。

余談だが、理系大学出身なのに化学をやっていない!?と驚かれる方が多いと思うが、理工学部のメインは物理や数学なのだ……(暗記が少なく理論が中心)。

閑話休題。
そんなこんなで、本作は蒼月作品の持ち味の一つである、現実世界に近いファンタジーが色濃く出た作品でもあるだろう。
蒼月作品の中では今まで曖昧だった『魔法』の仕組みをしっかりと描いているので、世界観をより深く理解したい方は是非ともご覧いただきたい。

「子ども向けとは子どもだましではない」というのが自論で、本作は子ども向けだからこそ設定をしっかりして、ファンタジーを通して現実の面白さを伝えようと尽力している。
himaro先生の可愛すぎる挿絵も豊富でヴィジュアル的にも楽しい本になっているので、子どもの皆さまも大人の皆さまも、ともに楽しんで頂けると幸いだ。


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