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『稲荷書店きつね堂(番外編)アヤカシと賢者の宴』発売!

2021年秋に完結した『稲荷書店きつね堂』シリーズのボーナストラック的な一冊、『稲荷書店きつね堂 (番外編)アヤカシと賢者の宴』が発売した。

こちらは、『幻想古書店で珈琲を』シリーズとのコラボ巻で、司が菖蒲にスカウトされたり、コバルトとアスモデウスの対決にヨモギと千牧が巻き込まれたり、猫好きの風音と猫の火車が邂逅したりする。
人物紹介は六七質先生の書き下ろしで、とても賑やかで素敵な一枚絵となっている。

そして、本書は読者さまからの心配のお声があった【三省堂書店神保町本店さん建て替えにおける『止まり木』どうするの問題】にも触れている。
奇しくも、本来閉店する予定だった3月に発売となった本書、是非お手に取って頂けたらと思う(現在、現店舗は5月に閉店し、6月より移転先で営業再開予定となっている)。

蒼月は三省堂書店神保町本店さんに大変お世話になっており、実家といっても過言ではないだろう。
比喩でもなんでもなく、蒼月海里はあそこで生まれてあそこで育ったので、本書の最終章は郷愁にも似た気持ちを抱きつつ紡いでいた。
何故、蒼月がそんなにこだわるのかは、『ダ・ヴィンチ3月号』のエッセイをご覧いただければ分かって頂けると思う。

『稲荷書店きつね堂』シリーズは、ファンタジーでお稲荷さんの使いが主人公なのに、生々しくシビアな書店事情が描かれていて、1巻で挫折してしまった方もいるように思える。
売上が立たないから配本数が少ないなどという書店員残酷物語を書かずに、お稲荷さんの不思議な力で書店が繁盛するという、なんか全体的にキラキラした話(ふんわりした表現)を書いた方が夢を見せられるかもしれなかったが、リアル書店員だった私が書くべきなのは、そういう話ではないと思ったのだ。
あのディズニーランドだって、スタッフさん達が汗水たらしてお客さんに夢を与えているのだ。私はその汗水たらす部分を書きたかった。
また、書店が抱えている裏事情を読者さまにも知らせたかったのもある。書店事情を知っていれば、推し書店さんの応援の仕方も分かるかもしれないと。
ゆえに、本書がわずかでも書店さんや出版業界に貢献することを願うばかりである。

最後に、本シリーズを最後まで応援してくださった皆さまに、心から感謝を申し上げます。
本書が、皆さまに感謝の気持ちを少しでも伝えられますように。


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