【傑作】『インターステラー』を見ました!感想です。※追記しました

INTERSTELLAR 98点
(5段階評価なら☆5)

【点数比較参考作品】
BACK TO THE FUTURE 99点
ダークナイト     98点
告白         93点
DARK KNIGHT RISING 93点
2001年宇宙の旅    92点
この世界の片隅に   91点
パラサイト~半地下の家族~ 88点
シン・ゴジラ     88点
カメラを止めるな!  88点
ボヘミアンラプソディー 87点
JOKER        86点
ロッキー1      84点
君の名は       80点
==名作だなと思うライン80点==
シャイニング     78点
えんとつ町のプペル  70点
言の葉の庭      40点


前々から見たいと思い続けていた『インターステラー』、ようやく見ました。
宇宙、化学(物理学、量子力学)、この系統のロマンは自分の大好物のジャンルでもあるので、見る前から期待は高かったのですが、まさに最高な作品でした!

『愛の事を考えると、宇宙の果てまでいっちゃうだろ?』

昔、自身の絵の師匠と愛について少しだけ語ったことがある。
その時の自分はまだ21~22歳くらいだったと思うが、その時には自分の中で『愛』の正体とその哲学が自分の中に固まっていて、師とそれについて語り合いたかったのだが、
その時あまり時間が無く、師に言われたのが見出しの言葉だった。
「愛の事を考えると、宇宙の果てまでいっちゃうだろ?」
だからこの短い時間で語れるものじゃないよ、今日はやめておこう…といったニュアンスだった。
だが、僕にとってそれで十分だった。
僕の中でも、愛について語る時、それは宇宙とこの世界の全てを語る事になる。
つまり、師と僕はきっと似たような、近い愛の姿を頭に、心に、持っている。
それがわかっただけで、当時の僕には十分だった。

愛と宇宙。
これは僕にとって人生のテーマの一つであり、壮大なロマンの1つだ。
そして、『インターステラー』はそのテーマを一つの形をもって僕に見せてくれた。
昨年師が「インターステラーのような宇宙の作品はすべからく見ている」と言っているのを聞いて、それからずっと見たいと思っていた。
師はどんな風にこの作品を見たのだろうか。
僕が思う愛と宇宙、師が思う愛と宇宙、そしてインターステラーで表現された愛と宇宙。
そこに共通するこの世界の真理が、きっとあるのではないか…。
見終わった今、そんな風に思う。


時空を超える、重力と愛

前置きが長くなってすみません!ここからは作品の感想に入っていきます!
自分が好きなジャンルという事もあり、僭越ながら98点という点数を付けさせていただきました。
僕の中では、これまで見てきた映画のなかでトップ3に入ります。
(とにかく好みすぎた。笑)

まずはネタバレにならない程度に。
このままではいずれ住めなくなる地球。人類を存続させるためには、惑星移住しかない…そんなディストピアで希望の星を求めて宇宙に旅立つお話。
字面だけだと、宇宙への挑戦…のようにも見えるのだが、この作品においては、普遍的な親子の愛も描かれる。
宇宙という途方もない世界へ、それこそ生きて戻っては来れないだろう世界へ飛び立つ人間というのは、どこか思考がぶっ飛んでいて、何をかなぐり捨ててでも宇宙へのロマンと心中する…そういうイメージが僕にはあって。
でも本作ではそうではなくて、普遍的な家族への愛をもった男が宇宙に旅立つ。そして、それがこの作品の良さを際立たせていると思う。
ロマンと、ドラマ。
どちらも堪能できるのがこの作品だ。
宇宙へのロマンと、人の持つ愛。それがしっかり作中で結びつく。
だから僕は傑作だと思う。

物語の展開も、終始ずっと受け手の意識を引き込み続けてくれるし、ずっとハラハラする展開が続く。退屈する箇所が無い。
『2001年宇宙の旅』では、音の無い宇宙の描写と展開で正直眠くなった所もあったのだが、この作品では無かった。

好みが分かれるとすれば、「宇宙」や「愛」、「科学」や「意識」というものを日頃どう捉えているかによる所があると思う。
「意識」が物理世界に干渉しているのではないか…という、近年の量子力学的思考が頭に無い人は、「なんだこの荒唐無稽なご都合主義的設定は!」と思う人もいるかも。
本作は「意識」というものを取り上げてはいないけど、代わりに「愛」が近いものとして取り上げられていると思う。
その辺りを「こういう捉え方で描くのか!」と楽しめない場合、この作品の評価を下げる方もおられるかも。
少しのファンタジー要素があるって事ですね。
いずれ科学と文明が進めば、それはファンタジーじゃなくなると僕個人的には思うのだけれども。笑

では、以下はネタバレ込みで感想を述べていきます。





















ではいきます!

この作品の最大の見所は、やはり「愛」で、
作中でもある通り「”彼ら“に導かれたんじゃない。導いたのは俺たちだ」と五次元の中で主人公が気づくシーンがあるのだが、
その干渉可能な五次元を作り出したのは「更なる未来の俺たち」なのかもしれず、
その動機がまさしく「愛」なのだと。
愛は時空を超えていつも俺たちに干渉し続けている。
…そんな風に読み取れた作品でした。

「人類を救いたい」という大義と、
「娘に再び会いたい」という個人のエゴ(愛)。
一見前者こそが人類を救う勇者の心持ちに相応しい気もするが、
作中では前者(マン博士)がエゴとなり、
後者(クーパー)が結果的に人類を救うキッカケとなった。

今、目の前にいる人間を捨てて果たす大義に愛は無く、
彼(マン博士)は時空を超えた愛に救われる事も無かった。

この宇宙には何かしらの「意思」のようなものが存在し、本作では最終的には「俺たち」とすることで、時空を超えた意思として描いたが、
その意思を「神」だと思いたい人も居るだろうし、
「別の高度な知的生命体」と思いたい人もいるだろう。
ここにはそれぞれのロマンがある。

そして、その意思が最終的に救うのは「愛ある者だった」というのが、本作の粋な所でもあり、僕が好きだった所でもある。

安易にわかりやすい言葉で言ってしまえば「愛は勝つ」なのだが(笑)、
それを宇宙規模で、現代の最先端科学の見地を踏まえた上で描いた傑作なのだと、僕は位置づけている。

将来、人間の科学文明が進んで、今よりもこの宇宙の姿を解明できた時、この作品はまた別の語り口で語られることになるのではないかと思う。
…そういう作品っていいよね。笑
現代の人間が思う宇宙の姿を、未来の俺たちが答え合わせできる。
想像(創造)と科学のロマン。
だから宇宙系の作品は好きなんだよね。笑


作中でのマン博士の
「お前はまだ試されていない」という台詞が、凄く印象に残っている。
何か、大いなる力に試された…という経験は僕自身にもあって。
全てを奪われてどん底に堕ちた事がある。
もう死ぬだけだと。
その最期の瞬間に、お前は何がしたいんだ?と。
そこで僕は漫画を選んだ。
あの時僕は、極限の状態で試されていたのだと思う。

マン博士は、極限の孤独の中で、何を思ったのだろうか。
試されて出した答えが、「他人を犠牲にしてでも自分が人類を救う存在となる」というエゴだった。
それが完全に間違いであるとも、僕は言い切れない。
彼にとっては、それが心の最奥にあったものなのだろう。
しかし、孤独のなかで試され続け、最後には自ら孤独を選んでしまった(目の前の仲間と共に助かるのではなく、自身1人の手柄で人類の救世主になろうとした)のは、なんとも皮肉だ…。

クーパーが試された事といえば…
「もう娘に会える事はない」と悟る瞬間だろうか。
ブラックホールに近づき、時間のゆがみのせいで地球年齢124歳になった時。
彼はあの瞬間に、娘に合う事を諦めたはずだ。
「この際相対性理論のことは考えないでおこう」という台詞。
あの時彼は、娘に会えなくなる事を悟りながら、
アメリア・ブランド博士をエドマンズ博士のもとに到達させることを決めた。
他者の愛を優先したのだ。
「自分が娘に会えることはもうない。だが、アメリア、君はエドマンズに会えるかもしれない。」
だから彼は自身を犠牲にして、アメリアのみを最後の惑星に向かわせた。
そして、マン博士とは対照的に、試されたクーパーが出した答えは、正しかった。
だから宇宙の意思…愛に救われ、五次元に導かれた。
…そんな風にも解釈できる。


クーパーが奇跡的に助かり、死の直前の娘に会えたシーン。
とてもとても感動したのだが…
「親が娘の死を看取ってはいけないわ」というマーフの言葉がとても心に来た。
色んな意味を含む、極上の台詞だと感じた。
「宇宙に飛び立ったあなたのせいで、私が先に死ぬのではない。あなたが悪いから私が先に死ぬのではない。」という意味もあるだろうし、
「私には看取ってくれる「次の世代」の子や孫がいる。父の呪縛に囚われた人生を送った訳ではなく、私はちゃんと幸せになったわ。」という意味にもとれる。
作品全体を通して、台詞のレベルの高さに感嘆とした。
「含み」をもつ言葉選びの巧みなことたくみなこと…。
冒頭の三者面談のシーンの台詞の時からずっと、
「この作品の台詞すげぇ…」と思って見ていました。
世界トップレベルの仕事を見せつけられた気がします。
ほんとすごい。



■■■総括■■■

この『インターステラー』という作品が語るのは、まぎれもなく愛なのだと思う。
どれだけの大義があって、文明が進んだとしても、
目の前の愛を捨てるな…と。

この壮大な宇宙の中で、種として人類が生き残るには、愛を捨ててはならぬ…と。

愛ある種を、宇宙は見捨てない。

そんな、希望を描いた作品だと僕は思いました。

最高に素晴らしい作品だった!!!



◆◆◆◆◆◆追記◆◆◆◆◆◆
大事なことを書き忘れていたので追記!!!

今回ちょっと違った意味で鳥肌が立ったシーンがあって。
クーパーが迷い込んだ五次元の、あのビジュアル。

自分が18~19歳頃(2006年頃)に夢で見た光景にそっくりだった!!
その夢の事はよく覚えていて、
夢の中の自分は宙に浮く船に乗っていて、周りの空間のビジュアルがまさにインターステラーの五次元のビジュアルにそっくりだった。
僕の夢の場合は、あの茶色い線みたいなのが全て「鍵盤」で、ピアノの鍵盤を押すかのように出たり引っ込んだり動いていた。
そして、その世界の神?のような声が、
「これが宇宙の仕組みだよ」と教えてくれた。
夢の中の僕は「そうか!こうして宇宙の全ての理はここで制御されているんだ…!」と何故か全てを理解したような気になっていた。

起きた後、その夢の光景があまりにも「自分の中から生まれたイメージにしては斬新すぎる」と思い、「自分以外の何かから見せられた」ような気持になった。
そんな夢を見る事なんて滅多にないから鮮明に覚えているし、
いつかそれを絵に描こう…とも思っていた。(まだ描いてないんだけどね。)

よく言われることだけど、アイデアというものは、イデア界から同時に人間界に振ってくる…という話があるよね。
僕がその夢を見たのが確か2006年頃。
インターステラーの公開が2014年。
…もしかして、この映画に携わった人の中にも、同じような時期に同じビジュアルが降ってきた人が居たのでは…!?
…という気持ちになりました。

不思議よね。

自分が絵にする前に、映画のシーンになってた。笑
これで自分はもう描かなくてもいいかな。笑
インターステラーがやってくれたから。
(いや、でも、自分が見たのと多少違うから、自分でも描くか…。笑)

しかし本当に鳥肌がすごかった…!!!

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