プランツへの愛の物語は春へと続く
昨年、引っ越したわけです。
引っ越すとなると猫が2匹いますので『ペットOK』のハードルを超え、さらにはその中でも『猫OK』のハードルを超え、そして更には『猫2匹OK』のハードルを超えなければならないのです。
これいいなと思っても犬ならOK、これならどうだと思っても猫1匹までならOKと、一体猫2匹にどんなリスクが潜んでるんやと怖くなるぐらいそのハードルはなかなか高いのです。
10年以上猫2匹と暮らしていますが、実は私の知らないリスクがあるんではないかと愛猫を疑ってみたりみなかったり。
そんなこんなで、数年かけてダラダラと探していたところ、ベストマッチングな物件と出会えて即決したのが2019年。
あまり家のインテリアに興味のなかった私が、引っ越すにあたって唯一やりたかった事が、植物を家の中に置く事。
できるならジャングルいや植物園の温室レベルの密度で植物に囲まれて住んでみたい。ベランダを植物で一杯にしてみたい。猫と植物の世話に明け暮れる毎日を過ごしてみたい。とまぁそんな事は無理なので、現実的にマンションで育てる事ができる植物を探していたわけです。
そして、理想の観葉植物専門店に出会いました。出会いとは探すものですね。まさかこんなところにあるとは思わないビルに、ひっそりとそれはありました。
中に入るとそこはもう別世界。密林イン・ザ・ビルヂング。見たことのないどこぞの国から輸入されたのかもわからない植物たちが生き生きと生息していました。ざっと見積もって100種類以上。ねえ、もしかして輸入したらあかん植物とか紛れてない?
しゅわわーと音がする奥を見ると、霧のようなシャワーで植物たちに静かに水をあげている店長らしき人発見。
雰囲気が植物。いや何というか、動的か静的かと言われると完全に静的なオーラを放っていたのです。
私は密林に分け入り、人生で目にした事がない植物を1つ1つゆっくりと吟味しました。安いものから高いものまで。手のひらサイズのものから身長を優に超えるものまで。
人気店なのか、たくさんの人が出入りしています。しかもみんな通っぽい。店長と親しげにメンテナンスの事を話していたり、自宅から持ってきた植物を広げて何やら相談している人まで。
こんな素人が足を運んでいい場所なのだろうかという気持ちもありながら、あまりの楽しさに何時間密林にいたのか定かではありません。
そして悩みに悩んだあげく、気に入ったものを決めました。
『ビルベルギア・ダースベイダー』『アロカシア・アマゾニカ』『ダドレア・グノマ』『ガジュマル』『キンモウコウ』『マコデス・ペトラ』
列挙すると電報感。『チチカエル』ってね。いつの時代かな。
6種類、俗に言う大人買いです。
引っ越しで色々出費が嵩んでいたのをいい事に、もうどさくさに紛れちゃって、まあこれぐらいかすり傷よ、多少の出血大した事ねぇなっつって、誰に許可をもらうでもなく1人ごちながらの大人買い。
店長も「結構決められましたね」って、明らかにこいつ初めてなのに大丈夫かって、少しそんな雰囲気も感じました。
ええ、植物素人ですが私、この子たちを大切に大切にします!という気持ちを胸にお会計。店長から、水のやり方、置き場所、季節ごとの温度管理などのレクチャーを受け、晴れて家に迎え入れました。
ようこそ我が新居へ。
まずはお互い名前を覚えるところから始めましょうか。
こちらが同居している相棒猫のイーディとツィギーです。
え?覚えにくいって?いいですいいです、ゆっくり覚えてください。
そしてあなた方はえええっと、ダースベーダーに、アマゾンちがうアマゾニカに、グノシー?え?ああグノマか、ガジュマルさんは昔から知ってるし、キンモウコウさんは中国出身?真子です?じゃなくマコデスね。
って絶対一生覚えられんよね。あのね、この歳にもなると記憶できるの5文字までやから。
そんなこんなで、愉快な仲間たちとの暮らしが始まりました。
季節によって置き場所を変え、水の量を変え、手を変え品を変え。
しかし、そう簡単にはいきません。『キンモウコウ』と『マコデス』を枯らしてしまったのです。『キンモウコウ』は根っこから腐っていき、『マコデス』は葉が全て枯れ落ちて、そのまましばらく様子を見ましたがとうとう新芽は出てきませんでした。
私はテンションが上がって、6種類も買ってしまった自分を責めました。そして何故早く店長に相談しに行かなかったのかと悔いました。あの時私育てますんで!と息巻いただけに、なんやお前枯らしかけとるんかと思われるのがちょっと怖かったのです。
とにかく生き残った4種類を大切にしよう、とそう決めました。
あれから1年以上経ち、幸にも全て元気に育っていたのですが、つい先日『ダドレア・グノマ』の色が少し悪くなってきている事に気がつきました。過去の失敗は繰り返さない!速攻お店に行って相談する事にしました。
しかし、お店に行くにあたり、1つ心配な事がありました。
また、あの密林に足を踏み入れてしまったら…欲望を抑えられる自信がありません。観葉植物もハマれば沼のようにハマっていくような世界です。現にマニアックな趣味として様々な植物を育てておられる方も多いのです。
久しぶりに訪れたそこには、相変わらず何時間でも過ごせそうな密林に、お元気そうな植物店長。
私は『ダドレア・グノマ』の写真を見せました。どうやら水が少し足らないようです。とはいえ一気に水を増やすと根を枯らすので、このまま様子を見て少しづつ量を増やしてみてくださいとの事。ホッと一息ついて周りを見渡すと、やはり魅力的な植物に吸い寄せられてしまいました。
ああ欲しい、これは欲しい。
『ステファニア・ピエレイ』『パキポディウム・ゲアイ』
『チチカエル』もうええか。
何という特徴的な形、野生的な強さ、それでいてどこか滑稽な形。
もう一目惚れに近い状態でした。
「てんちょー!!ステファニアと、パキポディウム、いただけるかしら!?」
欲望の勢いに任せて、これとこれが欲しいです!と言ったところ、
「この2つ、どちらもこれから寝ますけど、いいですか?」ってプロっぽいことわりがありました。
これから寝ます?寝るの??もしかして、
ト・ウ・ミ・ン
私の脳内でセーラー服を着た薬師丸ひろ子が機関銃をぶっ放して囁きました。
植物って冬眠するんやー!
「いいです、寝ても」
いやもうこちらとしては何が起きてる状態で何が寝てる状態かもわからへんけどとにかく生きてるなら寝てくれても構わない。何なら我が家で快適に寝てほしい。
またかと。こいつ大丈夫かみたいな雰囲気を出してきましたよね店長。
それでも私は「いいです、快適に寝てもらいます」ってオーラを出して、めちゃくちゃ丁寧に冬の過ごさせ方をまたレクチャー受けました。
人間って、ちゃんと学習する生き物なんかな。
とにかく今、我が家にはステちゃんとパキちゃんがスヤスヤって感じで生息しています。パキちゃんはもうすぐ落葉するそうです。それが冬眠の合図です。
春になって眠りから覚め、新芽が芽吹くのを心待ちにしています。
#日記 , #エッセイ , #観葉植物 , #プランツ , #ビルベルギアダースベイダー , #ダドレアグノマ , #ガジュマル , #キンモウコウ , #マコデスペトラ , #アロカシアアマゾニカ , #ステファニアピエレイ , #パキポディウムゲアイ , #買ってよかったもの , #春が待ち遠しい
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?