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半世紀ぶりの国産自動車メーカーを目指して車を売ってみる話

こんにちは、青木俊介です。
2021年の夏にTURING(チューリング)という会社を始めて、『We Overtake Tesla』を合言葉に1年と3ヶ月、自動運転システムと車両の開発に取り組んでいます。

最初のマイルストーンとして「2022年の年末までにまず1台の車をつくりきって売る」という目標を掲げてきたんですが、ついに販売を始めました。「車をつくって売る」はTURINGという会社にとっても、自分にとっても大きな一歩でした。たった2年前までは僕自身も研究して論文書いて学会で発表して…みたいな生活を送っていたわけで。
ということで、このnoteでは「なにを考えて車をつくっているのか」「なぜ自分がTURINGを楽しくやっているのか」「スタートアップ楽しいよ」という話を書いていこうと思います。

TURING創業前

簡単に自己紹介です。
僕は2015年にアメリカに渡り、5年かけてカーネギーメロン大学の自動運転チームでPh.D.(博士号)を取得しました。もともと英語ができない子だったんですが、Ph.D.のボスに朝までホワイトボード前で詰められたり、2回落ちたら退学・強制帰国になるQual試験でもホワイトボード前で詰められたり結構楽しい思い出がたくさんあります。


自分たちで開発した自動運転車。
「コードを書くと車が動く」は若者エンジニアにとって超刺激的でした


とまぁ冗談は抜きにして、世界中からアメリカのトップスクールに集まってきた人たちと一緒に勉強したり開発できたのは本当に幸せな経験でした。ビッグテックとの大規模な研究プロジェクトに参加したり、数ヶ月の研究インターン修行をしたり、ワシントンDCの議会議事堂のすぐ横で自動運転車のデバッグをしている時に警察に職質をされたり...となかなか日本の大学では中々できない経験で刺激的でした。

とはいえアメリカでエンジニアとして一生を終えるのはもったいない、人生のどこかのタイミングでもっと大きな勝負をしてみたいとも考えていました。アメリカのテック企業って、エンジニアの主力はアジア人だけどマネージャー層・シニア層は白人、みたいな構図が未だに色濃く残っていますし、自分の努力が日本の産業とかコミュニティに良い形で帰ってきたら良いなとも考えていました。
Ph.D.修行中はアメリカの自動車メーカーと共同研究することが多くて、彼らは日系自動車メーカーをライバル視するんですよね。
アメリカの企業で働いて、「アメリカのテック企業・大学はこんなに良いんだぞ!」って言い続ける45歳の未来の自分、悔しすぎるじゃないですか。

僕がアメリカの、それも情報系で超有名な大学・研究グループに行けたのは間違いなく日本から送り出してくれた大学の先生方と船井奨学財団の奨学金支援が大きかったと思います。(もちろん大学での成績・研究業績・英語力・出願エッセイ・面接での振る舞いは大事ですがアメリカはコネ社会で資本主義です。人と金。)
彼らに報いたい、もう少し正確に書くと、彼ら以上に社会にインパクトのあること・貢献できることをしたい、そう考えて2020年秋に帰国の決断をしました。
この気持ちは今でも強く持っています。

一方で不安が無かったといえば嘘になります。「何もできなかったらどうしよう」という不安と「アメリカでPh.D取る以上の挑戦をするぜ!!」という決意が半々でした。


帰国→山本一成さんと創業

「アメリカでPh.D.を取る以上の挑戦」を具体的に考えてみると、結構難しいんですよね。20代前半でアメリカのトップスクールにPh.D取りに行く、ってよくわからない謎の迫力と期待がある。
自分が今までトライしたことが無くて、かつ社会にも良いインパクトが与えられること...と考えてみて、「スタートアップがいいのでは?」と考えてみたものの具体的に何から始めるべきか、わからない。わからないけど、わからないなりにもがいてみよう、とにかく前に進んでみよう、と思い、

  1. 自分をなるべく暇にする

  2. 住んだことない場所に住む

  3. 会ったことない人に会いに行く

を結構意識してやってみました。住む拠点は縁もゆかりもない愛知県、会ったこと無い人に連絡を取ってみて東京とか大阪に会いに行く、みたいな生活。当時付き合っていた東京在住の彼女には「え??なんで名古屋なの???」と10回くらい圧をかけられました。まぁ、人生揺り動かすなら荒療治が必要なので…みたいな気持ちで名古屋に家を借りた思い出です。

これ、note書きながら振り返って気付いたんですが、大前研一さんの『自分を変革する3つの方法』をまるっと実践した形になっているんですね。(大前さんは人生を変えるなら時間配分・住む場所・付き合う人を変えるのが一番の近道、と言っています。)


そんな中で出会ったのが山本一成です。お互いTwitterの相互フォロワーで、初めて話したのはクラブハウスでした(そう、あのクラブハウス!一瞬だけ猛烈に流行ったクラブハウス!)
山本から「青木さん、クラブハウスで話しませんか?」「いま!!」というメッセージをもらって、「おぉーponanzaのあの山本さんじゃん、話せるのすご!あ、今か、なんかせっかちだな...」と恐る恐る話してみたのを覚えています。実際に話してみると、かなり気さく、というか知的好奇心が高くて天才肌な人で、30分くらいだったけどとても楽しかった記憶があります。僕が何を考えて日本に帰ってきたのか、今何をやっているかを話して「時間あったら名古屋に遊びに来ませんか?」と誘ってみると「楽しそう!行く!来週行く!」と言ってくれて、本当に次の週に来ました。早い。
名古屋に遊びに来てくれた日、開発の話・自動運転の話・人工知能の話を夜遅くまでしていたのですが、山本が「青木さん、来週また来ていい?たぶんしばらく毎日来るわ」と言い残して、本当に毎日来る生活が始まりました。すごい。

いや、ホントに毎日来るんですよ。毎週新幹線に乗って、ビジネスホテルに泊まって。
決して最初から「何かやろうぜ!」みたいなイケイケな感じではなかったけど、ある時は科学のあるべき論を語ったり、ある時は日米のスタートアップや産業の話をしたり、ある時は国際会議ICRAやCVPRのオープンソースをハードウェアに実装してみたり。たぶん、将棋AI「ponanza」で一世風靡した彼も、人生を揺り動かしたいと願っていたんだと思います。(とはいえ毎日来るのはすごい。文字に起こすとクレイジーすぎる...)
2021年の春頃には大手自動車OEMの研究所へ一緒に遊びに行ったりして、「自分たちならもっと上手くやれるんじゃない?」「自動運転でスタートアップ、全然遅くないじゃん」くらいの温度感になっていました。


出会ってから半年弱、2021年の夏のある日、自動運転システム領域でのスタートアップ共同創業の話を真剣にしました。
その2日後、山本さんが話をひっくり返してきます。

山本「やっぱさ、やるなら1番になりたいじゃん?」

青木「そうですね!」

山本「今自動運転で1番商用化進んでるのはテスラだ、って青木さん前言ってたじゃん」

青木「そうですね!(おっ、急にテスラ出てきたな...)」

山本「実際株式市場での価値を見ても、テスラは自動車業界で群を抜いて1番。販売台数だけじゃなくて、みんなテスラに期待してる。人生の大事な10年とか20年かけて戦うなら、ちゃんとテスラ目指さない?」

青木「...そ、そうですね(なるほど…??)」

山本「だからさ、ソフトウェアだけじゃなくて車まで全部つくろうよ。たぶんできるよ。自動運転システムじゃなくて自動車そのものをつくるスタートアップ。」

青木「そうですね...(え、なんだと...!?なんかすごい話になってきたな...)(しばしの沈黙)」


これ、巷に溢れている『スタートアップの定石』を考えると一見好手じゃないんですよね。
そもそも『スタートアップ』という単語がIT業界・ソフトウェア業界発の単語で、近年成功している新興企業のほとんどがIT・ソフトウェア企業です。
一方で、EV化・自動運転化で自動車業界が大きく変わっているのも事実です。アメリカでは「GM」「フォード」「クライスラー」のビッグスリー体制が崩れ、テスラが自動車メーカーとして圧倒的な存在感を見せています。新興のRivian・Canooといった会社も自動車をつくり始めている。中国でも2014年創業のNIOがEV車両をつくって販売までこぎつけていたりします。
なにより、自動運転システムだけをつくってきたWaymoやAuroraが、2021年になっても自動運転サービスを一般ユーザに届けられなかったという事実があります。自動運転車を本当に実現するなら、ソフトウェア(自動運転システム)だけではなく、ハードウェア(自動車そのもの)もつくり切る必要があるのです。

そんなわけで(しばしの沈黙と会話のあとに)「自動運転が出来る車、丸ごとつくるぞ〜」と大きく掲げて創業することになりました。完全自動運転って、たぶん人類は2030年までには達成できるんですよね。人類はこれまで莫大なお金と時間と人材を自動運転領域に突っ込んできている。そしてAIの技術自体も進展していて、ゲームだけでなく自然言語・画像の領域でも人間の能力を凌ぐアウトプットを出すAIが生まれている。だったら、完全自動運転が実現したときに、最も良い製品として、自動運転車を一般市場に届けたい。だったらソフトウェアだけでなく、自動車までつくるべき。

会社名を考える前に、まずホワイトボードにテスラの創業期の歩みを書き、次に2021年から2027年頃までに何をするかを書き込みました。今考えると緩い(本当に緩い)マイルストーンですが、早い段階で「車をつくって売るしか生き残る道が無い」「ソフトウェアだけでなく自動車の開発も」という共通認識を持てたのは本当に良かったと思います。


左がチューリング、右がテスラのタイムライン
社名を決める前にマイルストーンを考え始めたのは良かった


ちなみに『We Overtake Tesla』の原案を出してきたのも山本さん。

山本「なんかかっこいい標語みたいなの考えてくれない?テスラ倒せそうなやつ。」

青木「お、おう...(めっちゃテスラにこだわるな...)(無茶ぶりでは...??)」

ヒントにしたのが、僕が留学時代に見たプリンストン大学のバッジ。アメリカの大学には伝統的なライバル関係というのが強く存在していて、プリンストン大学には「BEAT HARVARD(ハーバードぶっ倒せ)」のバッジが売っていたりしました。日本にも早慶戦などのライバル関係があるけど、ここまで他大学・他組織を明確にライバル視するものは日本で見たことない気がします。 

プリンストン大学で販売されているバッジ。

もうひとつヒントにしたのがF1。やっぱりレースの世界ではオーバーテイク(overtake)って一番の華で、実況も観客も盛り上がるんですよね。我々チューリングも、車の世界で勝負して、テスラを倒すことを目標に掲げるならちゃんとオーバーテイクしよう、ということでWe Overtake Teslaと言い始めました。

令和に「国産自動車メーカーをつくる」「完全自動運転システムをつくる」というとんでもない挑戦を掲げる会社だからこそ、それを思い切り楽しんでやりたい。設立当初から「社会のワクワク枠であるべし」という共通認識を持つようになりました。2023年1月には30名近い組織になりましたが、だからこそ挑戦心豊かで、自分の守備範囲を決めずに分野横断的な挑戦・努力ができる人が集まっているように感じています。

自動運転システムだけじゃなく自動車そのものまでつくるために

会社名も標語も決まり、会社設立の事務作業を終えた後に、仲間集めに奔走しました。
「完全自動運転の実現」「国産自動車メーカーの立ち上げ」という大きな挑戦を掲げた会社なので初期からエンジニアが集まってきましたが、とは言ってもやはり2人の出自がソフトウェア業界なので、ソフトウェア人材が集まってきます。(この時期、TURINGにはなにも実体がありませんでした。この時期にTURINGという船に乗ってきてくれた人には本当に感謝だし、彼らにも報いたい。)

間借りしていたオフィスで。研究サークルみたいですね。

ソフトウェア人材だけ集まったスタートアップ組織で何より危険だったのが、研究所・研究室っぽくなってしまうことでした。そもそも自動運転って研究・開発の要素がまだまだ沢山ありますし、「プログラムを書いて自動車が動く」ってエンジニアにとってはめちゃめちゃ楽しいことです。なので、放置しておくと自動運転システムについて研究して論文発表して、周りから称賛を浴びて、でもお金にならない...みたいなサイクルに陥ります。

加えて、山本一成も含めて、ビジネスマンっぽいビジネスマンが誰もいない…ということでかなり危機感を持って「車、ちゃんと売ろうとしなきゃ絶対に売れない。だからちゃんと売ろう」「まず一周、開発から販売・サポートまでサイクルを回そう」と100回くらい社内外で言ってきた記憶があります。実際「ちゃんと売ろうとしなきゃ売れない」と言い始めてみると、「あ、社内業務ちゃんと回せる人が必要だね」とか「ビジネスできる人がいないと成立しないね」とか「販売まで持っていくために法律事務所と顧問契約して、官公庁にも相談に行って...」みたいな感じで具体的なタスクに切り分けることができました。

2022年6月にはコープ部門が立ち上がり、2022年の年末には30名の組織が見えてきたチューリングです。


2022年の年末。チューリングも大きくなってきました。


2023年年初からは、メドレーで執行役員を務めていた最強のビジネスマン(兼キン肉マン)の田中大介も加わって、TURINGのビジネス・事業開発部門が本格始動しています。投資家の方やスタートアップ支援の方に「スタートアップ初期は強い人が入ると組織が良い意味で変形するよ」と言われてきたのですが、今まさにTURINGは変形しています。
もっと変形させてくれる人、TURINGに来てほしい!

TURINGの大まかなマイルストーンとしては、①2022年に1台の車両の開発・販売を行う②2023年以降は100台の開発・販売を行う③2027年以降は10,000台の車両の開発・販売を行う
という3つのステージを計画しています。

最初の2つのステージではエンジニアリング・法規制の中で出来ることを最大限頑張る。最後の段階で完全自動運転EV車両の量産化に取り組み、TURINGは自動車量産メーカーになります。ここまで行ければ、「自動車メーカーをゼロから興した人間」が社内にいる、強い自動車メーカーになることができるのです。強い自動車メーカー、という表現を使いましたが...実は日本国内では、約半世紀新しい自動車メーカーが立ち上がっていません。つまり「自動車メーカーをゼロから興した人間」は国内にほとんどいないのです。前述した通り、テスラ・NIOをはじめ日本国外では新しい自動車メーカーがいくつも立ち上がってはいます。
TURINGでは、そんな大きな山、国内では誰も登ったことがない山に挑戦します。

ソフトウェアとハードウェアの融合を目指した開発

開発。
創業当初も、創業から1年半近く経つ今も、我々の強みはやはり開発力です。創業から3ヶ月くらいは車の改造をして、私有地でEnd-to-Endで回る自動運転システム(ファーストデモ)をつくりました。創業から1年後には公道1500km弱を自動運転で走破するプロジェクトを回しました。
自分たちが持っているスキルセットの中で最も解像度の高い・最も理解ができている人工知能領域・ソフトウェア領域・組込みシステム領域から攻めてファーストデモをつくり、次に解像度の高い電気・電子領域を攻めて自動運転車を公道に出した感じです。もちろん万事が順風満帆というわけにはいきませんでしたが、「半歩でも前に進めよう」「大きな反対がなければ基本Go」の姿勢でスピード感のある開発ができました。


自動車までつくりきる会社・組織を目指すために、TURINGでは

  1. 「いいやつ」と仕事をする(他人・他領域をリスペクトできない人は採用しない)

  2. 車とエンジニアの(物理的)距離を近づける

という2点にはかなり注力しています。
自動運転車の土台となる技術領域って、大学の学科に落とし込んで考えてみても、機械工・精密工・情報・電気・電子...とかなり広いんですよね。機械工学の中でも自動運転車に関わる領域って、流体力学だったり制御工学だったり熱工学とか色々ありますし、製品の実装を考えると、専門領域の壁を超えた問題も沢山発生します。だからこそ、「ここ教えて!」とか「ここ一緒に考えよ〜」と気軽に聞けるような、「いいやつ」の採用に力を入れています。Netflix社にも「頭はいいけど嫌な奴、お断り」という文化があるらしいですが、かなり近い社内文化だと思います。
まぁ、「いいやつ」と仕事した方が楽しいし、一緒に成功したいと思える人と人生の時間を使いたいですしね。

2つめの「車とエンジニアの距離を近づける」もTURINGの大切な方針・文化です。エンジニアにとって、実機でのデバッグとかテストって(開発を正しく進めるためには)やりたいんだけど(体動かすの面倒なので)やりたくない。出来れば全部シミュレータかテストベッドでやりたい。でも車は物理世界で動くものなので、製品・完成物の品質を少しでも高めるためには、やっぱり物理ハードウェアを交えた開発ってとても大事なんですよね。
そんなことを考えて、テストコースがある千葉県・柏の葉エリアにTURINGの開発拠点を置いています。会社が大きくなると継続が難しくなるかもしれませんが、できる限りハードウェア・物理的な製品から離れない開発体制を維持したいとTURINGでは考えています。
一例ですが、TURINGのAIチームも車両の計測・カメラ設置位置の検討に加わっていたりします。


AIチームが車の計測をしてカメラ位置の議論をしていたり

TURINGの2つの開発文化について触れましたが、これらは「ソフトウェアとハードウェアの高いレベルでの融合」を目指すために誕生したものです。
良いエンジニアは自分の専門領域に誇りを持ちますが、時に「自分の領域こそ人類至高」みたいな、謎の錯覚に陥ってしまうこともあります。
実際にTURINGには、大手自動車メーカー・ソフトウェアIT企業・ロボットベンチャー・官公庁など、多彩な中途人材が加わっています。彼ら/彼女らの背景知識・思考法もかなり多様。そんな多様なチームで開発を進めるためにも、この2つの開発文化は大切です。会社として、完全自動運転の実現、商用化、量産化...と大きな課題があるからこそ、そしてテスラという強大なベンチマークがあるからこそ、分野横断的な問題に取り組める、強い開発チームをつくっていきたいと思います。

売ろうとしなきゃ売れない。だから…売ります!

車、売ります!
ここまで個人のキャリアの話、創業の話、開発の話を書いてきましたが、TURINGは2023年1月からTHE 1st TURING CARの販売を開始します。


記念すべき1台目の車両はLexus RXをベースに、TURINGが開発した自動運転システムと自社エンブレムを搭載した製品になっています。ピュアな研究・開発段階だけでなく製品化・販売まで全社体制で進める中で、僕自身も含めてチームメンバーは本当に強くなったと思います。車両の販売を行う、ということで国土交通省の運輸局やら法律事務所やらにも沢山相談に乗っていただきました。
もちろん、課題はまだまだ沢山あります。ただそれでも一歩でも、半歩でも前に進む、の姿勢で進めてきた開発の成果物を製品として届けられたのは本当に良い経験でした。


自動車の法規に関する本。分厚すぎでは

搭載するエンブレムも、人工知能を使ったデザイン案を基に、社内総選挙をやったり社内デザイン会議をして決定しました。人工知能を使った車両エンブレムは世界初なんじゃないかと思います。


エンブレム総選挙

エンブレムには「日本のシンボルである鶴が降り立ち水面に波紋が広がるように、世界の自動車業界に一石を投じる」「ソフトウェアとハードウェアが両翼となって完全自動運転車を生み出す」という願いが込められています。


決定したTHE 1st TURING CARのロゴ

これは僕自身の「なぜTURINGをやっているのか」にも通じる(そしておそらく多くの会社メンバーにも通じる)ことなんですが、やっぱり新しい自動車メーカーって日本という国が工業国の一角を担い続けるため・先進国であり続けるためには必要だと思います。工業・産業の強いアメリカ・ドイツ(そして最近だと中国)には強い自動車メーカーが存在していて、自動運転化・EV化で勢力図が変わる中でも、新しい会社が生まれて、工業国としての強さを維持しようとしている。電気(家電)・半導体と世界に負けてきた日本ですが、自動車産業って日本のGDPの20%弱を担う巨大産業ですし、やっぱりアメリカとか中国に負けずに、日本が世界のトップになれるように頑張って戦いたいと思います。

実際に取り付けられたエンブレム。カッコいい!


TURINGの創業から今までに学んだ2つのこと

TURINGというジェットコースターに乗っていると日々が学びの連続です。最後に僕がここ1年で学んだこと・感じたことの中から2つ絞って、書いておこうと思います。

1. 人は変われる、学べる

人間、結構すごいなと最近思っています。特に10代・20代で自己研鑽に励んで学習能力を高めてきた人って、自分を変える力がある。
TURINGって前述したとおり、国内で誰も登ったことない山を登っているんですね。そうすると開発・組織設計・採用・広報…いろんな場面で一筋縄では解決できない課題・誰かに聞いてもすぐには解決できない課題が出てきます。特に開発だと、自動運転というソフトウェア領域の最先端の課題を、自動車という巨大な工業製品に組み込んでいく必要がある。ということで、メルカリとかリクルートでソフトウェアエンジニアをやっていた人が車両に関する技術を勉強し、TURINGのプロジェクトを引っ張っていたりします。人間の学ぶ力、すげぇ。

ちなみに僕自身もソフトウェア開発だけじゃなく、開発・生産工程・組織設計・採用、と色んなところに顔を出して勉強する機会をもらっています。2年前の自分からしたら想像できないことを考えられるようになった気もするんですが、2年後の自分も楽しみです。新しい出会いと学びの機会がたくさんあるスタートアップ、すげぇ。

2. 人生とポーカー、似てる

最近「人生とポーカーは良く似ているなぁ」とか日々考えています。
ポーカーって日本国外ではデカい大会があったりするんですが、ポーカーのトーナメントゲームって、一律の手持ち金をもった状態で、1ターンごとに参加費(ブラインド)を払い続けてゲームに参加します。手持ち金がなくなったらゲームオーバー、敗退。そして参加費は時間の経過と共に、どんどん高くなっていきます。なんとなく参加してしまったり、消極的な様子見をしてしまうと、気付いた時には手持ち金がなくなって負けてしまう。手持ち金を増やすためには、戦える時・戦うべき時に、戦わないといけないわけです。

人生も同じように、自分の手持ち金(スキルセット・経験・経歴・若さ・資産 etc.)からなんらかの参加費を払って日々を生きています。勝負のスケールも大小さまざま。そして時間の経過(年齢の上昇、老化)と共に、払うべき参加費も上昇する。我々人間も、エキサイティングで魅力的なゲームに参加し続けるためには、戦える時・戦うべき時に、覚悟を持って戦う必要があるわけです。
だからなんだ、っていう話なんだけど、エンジニアでもビジネスマンでも、やっぱりプロアクティブに、覚悟を持って戦ってきた人は強くなれるんだな、と思うわけです。僕自身ももっと強くなりたいですし、TURINGの開発メンバーももっともっと強くなれるように、たくさん成長の機会(戦える場所・戦うべき場所)をつくっていきたい。

最後に

このnoteでは会社つくる→1台目の自動運転機能付き自動車をつくる・売りはじめる話を書きました。
工業製品って、やっぱりユーザに使ってもらう・ユーザの生活スタイルを変える、までが1つのサイクルなので、早く購入者・ユーザが見つかったら良いなと心の底から思っています。また一方で、自動車って人の命に関わる製品なので、安全面での機能ってかなり大事なんですね。今回はレクサスベース、ということで既存車両の安全機能に大きく頼った設計になりましたが、これからTURINGは安全面でも色々な施策・技術開発を行っていく必要があります。すでに次の100台生産に向けていくつかのプロジェクトが社内で動いていますが、さらに勉強して、大きな山を登っていきたいと思います。

最後に、このnoteを読んでワクワクしてくれた方、TURINGに興味を持ってくれた方、是非採用ページと会社ページを覗いてみてください。カジュアルな面談からやっていますし、選考が進むと「1日体験入社」で会社の雰囲気・開発の体制・組織風土などを入社前に体感することのできるステップも用意してあります。
普通の人が普通に自動運転を使える未来、一緒につくりたい方は是非よろしくお願いします!


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