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東京2020 新種目3x3のストーリー

いよいよ東京五輪が開幕する。新種目の3x3は初めてのオリンピアン、メダリストが誕生する。男子は強豪国セルビアを米国不在の中で日本をはじめ各国がどのように攻略していくのか、女子は世界最終予選を勝ち抜いた日本代表が勢いそのままメダルに手をかけるのか、注目が集まる。今回は3x3の舞台裏を紹介する。

3x3はパリ五輪も採用、LA五輪に続く

東京五輪2020は33競技が実施されるが、組織委員会が提案して2016年8月4日に正式に追加種目として発表されたのは5競技18種目で、競技としては野球/ソフトボール、空手、スケートボード、スポーツクライミング、サーフィンだ。さらに、2017年6月9日に国際オリンピック委員会(IOC)が3人制バスケットボール「3x3(スリー・エックス・スリー)」を新種目として追加することを発表した。組織員会とは別に国際バスケットボール連盟(FIBA)がIOCに働きかけたことが強く影響しており、バスケットボールは競技として採用されているため、3x3は種目追加の位置づけとなる。

ちなみに、2020年12月にIOCは24年パリ五輪にはブレイクダンス、スケートボード、サーフィン、スポーツクライミングの4競技を追加競技として決定。野球/ソフトボール、空手は種目から外れて東京大会から10種目減となる予定だ。世界一のアーバンスポーツとして評価される3x3は継続して五輪競技種目として開催されることが決まっており、28年ロサンゼルス五輪も3x3は開催される見込みだ。

青海アーバンスポーツパークは2013年からの布石

3x3の正式種目採用の背景には、FIBAによる働きかけが大きいところがあるが、彼らが採用までのロードマップを描き、日本国内における盛り上がりを2013年頃よりゼビオグループと推進してきたことはあまり知られていない。日本バスケットボール協会は2014年にFIBAから資格停止処分を受けることになるため、当時3x3推進室を立ち上げたものの、協会のガバナンスと男子のリーグ統合が優先であった。

そんな中、2013年7月に3x3の国際大会としては国内で初めて「FIBA 3x3 WORLD TOUR TOKYO Masters」(主催FIBA、主管ゼビオグループ)をお台場で開催している。コンクリートの地面で屋根もなくコンディションが心配されたものの、天候にも恵まれ2日間の大会は成功に終わった。大会には国内から2チームが出場、ひとつは東京2020で代表選出された落合知也選手、ストリートバスケ界を牽引してきた鈴木慶太選手ら、もうひとつは岡田優介選手、高島一貴選手らが5人制バスケ界を代表して参戦した。ゲストには田臥勇太選手、大神雄子選手らも登場して、3x3が新たな競技として注目を集めるきっかけの場となった。実はこの開催場所こそが東京2020の3x3が開催される青海アーバンスポーツパークの場所なのだ。

落合知也選手が現在所属するTOKYO DIME.EXEのオーナーは岡田優介選手であり、大神雄子氏は現役を引退して3x3女子日本代表のアソシエイトヘッドコーチとして東京2020に関わっている。

世界に発信する3x3の街、宇都宮

FIBAが主催する「FIBA 3x3 WORLD TOUR Masters」はF1のように世界各地で開催されて、クラブチームNo.1を決定するプロサーキットと呼ばれている。日本では2013年に開催後、2014年にはゼビオアリーナ仙台でファイナルを開催。2016年以降は宇都宮市が毎年開催誘致しており、二荒山神社の大鳥居前を会場として地元商店街を巻き込みながら2019年10月にはファイナルを開催。あしぎん総合研究所によると2日間で78,000人が来場して5億6000万円の経済効果があり、スポーツ庁、文化庁及び観光庁が共同で募集する「スポーツ文化ツーリズムアワード2020」において、「スポーツツーリズム賞」を受賞するなど評価されている。

また、Bリーグの栃木ブレックスが2015年に3x3のプロリーグに参入するUTSUNOMIYA BREX.EXE(当時BREX.EXE)を設立。3x3の街、宇都宮を掲げる同市の活動に一役買っている。

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世界初のプロリーグ「3x3.EXE PREMIER」

「FIBA 3x3 WORLD TOUR Masters」と平行して国内における競技レベルの向上や3x3の普及に大きく寄与しているのが、2014年に世界で初めてスタートした3x3プロリーグ「3x3.EXE PREMIER」(スリー・エックス・スリー・ドット・エグゼ・プレミア)である。7チームからスタートした同リーグも2021年にはタイ、ニュージーランド、チャイニーズタイペイ、日本で計96チームに。半分の48チームが国内のプロチームとして活動している。

「3x3.EXE PREMIER」はゼビオグループが主催しており、FIBA承認/JBA公認のプロリーグであり、リーグに所属する選手たち個人に付与されるFIBAポイントが東京2020における3x3男子日本代表の出場国枠獲得に大きく寄与した。何故ならば、3x3の国別ランキングは、各国の上位100名が所有するFIBAポイントの累計により算出されており、傑出した選手を数名抱えるだけではランキングが上位にならない仕組みになっている。このFIBAポイントの仕組みは割愛するが、大会グレードにより付与されるポイントが異なり、「3x3.EXE PREMIER」はより多くポイントが付与されるグレードに指定されている他、「3x3.EXE PREMIER」を通じて「FIBA 3x3 WORLD TOUR Masters」にも出場できるため、より多くの選手に多くのポイント獲得機会を作り出した結果、国別ランキングを押し上げて出場国枠を獲得するに至った。

代表選考は立場により見方は異なるものではあるが、歴史には残らない選手たちが積み重ねたポイントが出場国枠を勝ち取り、代表選手を送り出していることを忘れてはならないだろう。

東京2020 3x3情報まとめ



東京2020 3x3競技日程
2021年7月24日-28日

放送スケジュール

3x3男子日本代表
#23 保岡龍斗(G/秋田ノーザンハピネッツ・SEKAIE)
#30 富永啓生(G/ネブラスカ大学)
#33 アイラ・ブラウン(F/大阪エヴェッサ)
#91 落合知也(F/越谷アルファーズ・TOKYO DIME)

3x3女子日本代表
#3 馬瓜ステファニー(F/トヨタ自動車アンテロープス)
#11 篠崎澪(G/富士通レッドウェーブ)
#15 西岡里紗(C/三菱電機コアラーズ
#23 山本麻衣(G/トヨタ自動車アンテロープス)

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