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書散裸#27 10代の振り返り 10〜12歳編続き

ちょっと空いてしまったがライブが一段落ついたので再開する。

けどまずは前回の10〜12歳編の補足。
いざ13歳以降を書き出したら、まだ書き足りてないことがいくつかあったから書き足そう。

身体

10代どころか、土田澄空という人間の出生から全てを語る上で削れない、最大の特徴がある。

俺は左半身に先天性の皮膚病を患っている。赤身がかっているため、よく火傷と勘違いされる。症例もそこまで多くなく、俺の症例が新種発見の裏付けになるなど、今もなお解明が進められている。完治の目処は立っていない。

10歳。小学4年生。

読書感想文で県の特選に選ばれた。
学年代表というやつだ。
題材はある短編集に収録されていた
「シマのないトラ」
という作品。
ざっくりあらすじを言うと、シマがないから身を隠せず狩が上手くいかないトラ。周りのトラ絡み馬鹿にされて1人ぼっち。飢えて死にかけていたところ、カラスに助言される。

「他のトラにない部分で勝負したらどうだ」

その言葉をもとに一念発起、トラは頑張ってさらに足を速くして獲物を取れるようになり、周囲に認められていったのでした。
めでたしめでたし。

この短編集自体がこういった“コンプレックス”を持つ動物がそれを乗り越えるというテーマだったように記憶している。

先ほど言及した俺の身体。

これもハッキリいって“コンプレックス”だった。今でもその意識が根絶されたわけじゃない。この事と対比させる形で自分も克服していきたいという趣旨で書いた。

というか途中からは書かされた。

感想文を最初に書き上げた後、母からのキツイ手直し。何を原動力にやっていたのか。賞に出すことが決まってからは担任による放課後指導。皆んなが遊んでる時に直して書かされる。全部手書きだから何枚も何枚も書いた。
何してるんだろう、涙が出た。

それでも書き終え賞をもらい表彰されることに。友達(家入り浸ってたやつ)のお姉さんも当選していたようで、当選者の感想文が収められている本で俺のを読んでくれたらしい。号泣。直接会った時にも伝えて頂いた。


いやー頑張った甲斐があった。
良かった良かった。
そんな訳なかった。
年を経て読み返した時に反吐が出た。
自分の置かれた苦境、それを相対化して更に苦しい人って奴を勝手にラベリングした。誰も正確には理解できないその人の苦しさを、勝手に空想した。それがどれだけ残酷なことかもわからず、俺は自分より下を作ることで自分の苦しさを誤魔化そうとしてたらしい。尊い犠牲とでも言うつもりか。
許される訳ないだろうが。
選んでんじゃないよこんな文章を、と思いつつも、これがあった事で俺が“土田澄空”と向き合う機会をもらい、成長してきたことが憎い。

11だか12の頃。

ある運動会の時、組体操で可愛いな、好きかもと思っていた子と手を繋げることに。やった〜ラッキー!高鳴る心臓。左手を隣の彼女に差し出す。

「代わってもらっていい?」

校庭の土と組体操で滲んだ血が混ざった俺の手を彼女は拒否した。手を見た後の表情を俺は忘れていない。今もなお。

「そんなもんか」

こう思ったことを鮮明に覚えている。なんでそんな風に思ったのか。
諦めたのだ。
当時はそこまで思い至らずだったが、今言葉を与えるなら“空虚”だろうか。心を穿つ虚無感。高揚していた体温が急速に覚め現実以上に現実を思い知らされる。

かなり大事件。

この事も交えて、昔自分がある曲に対して書いた一連の文章があったので、次の機会にまた載せようと思う。
10歳の件も大きく関係している。

前回は明るい内容もあったけど、今回はそこで取りこぼしてた暗い記憶でございました。


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