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#57 夢の取説

 「豆と小鳥」で紹介された岡本太郎の「自分の中に毒を持て」を読んだ。これは結構危険な本だなあ(誉め言葉です)。尾崎豊を聴いて、盗んだバイクで走り出したくなっちゃうみたいな?若い頃に読んでいたら、今とは違う人生を歩んでいたかもしれない。書いてあることに異議は無くて、全くその通りだと思う。でも、本の中にも書いてあるように、書いてあることが分かるのとそれを実行できるかはまた別のことだ。
 シャンパンに開けるべき時があるように、やはり本にも読むべき時がある。私としては、残念ながら出合うのがちょっと遅かったかなというのが正直なところだ。取り入れられることもあるけれど、これは、これから自分の夢に向かって突き進もうという人の背中を押す本だと思う。この通りやれば岡本太郎のようになれるとは限らないけれど、先ずはガムシャラにやってみないことには始まらない。宝くじは買わないことには当たりようがないというような話だ。
 少し話が変わるけれど、よく有名なアスリートが母校の講演に呼ばれて「夢を持つことの大切さを伝えました」というニュースを目にする。勿論、純粋な子供たちがその話に触発されて、何かに向かって努力するのはすばらしいことだ。一方、ある程度の大人であれば、その夢へのステップは多くの場合どこかで軌道修正や再設定が必要になることも知っているはずで、それまでの努力や経験が無駄になることはないけれど(むしろそれを土台にして)、夢から醒めてからが本当の勝負みたいなところが人生にはあるような気がする。
 私自身はぼおっと生きてきたので、「夢はなんですか?」と聞かれることがずっと苦手だった。特に明確な夢というものもなかった。ひょっとすると全くなかったという訳でもなくて、それを明言するのが怖かったり恥ずかしかったりしただけなのもしれない(臆病な自尊心と尊大な羞恥心?)。でも、飽きっぽい割には諦めの悪いところもあって、意外とそれは結果オーライだったのかもと今になって思う。何しろ、自分の書く素人文章をたくさんの人たちに読んでもらえる時代が来るなんて、二十歳の頃には思いもよらなかった。夢との付き合い方のコツは、案外「付かず離れずひっそりと」という辺りにあるのかもしれない。
 そう言えば、ユーミンも昔歌っていたな…。
 " Say Dream  願い事は叶いそうになったら教えるよ♬ "
  

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