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バセドウ病と私④ ついに入院。甲状腺摘出まであと2日。

術前診察

入院・手術が決まったら、術前診察を受ける。それまでに肺のレントゲン、甲状腺のCTなど、ひと通りの検査を済ませる。当日は、血液検査をし、家族と一緒に手術についての説明を受ける。

術前診察の日は、検査も優遇される。術前診察の案内書はまるでファストパス。このピンクの紙を見せると、看護師さんがすぐに案内してくれる! 血液検査も待ち時間ゼロ、ちょっとうれしい。ただし、血液検査の結果が出るまで1時間半くらいは待つ。それにしても、結果が即日出るって、すごいことだと思う。かかりつけ医では結果が出るまで10日くらい見てくださいって言われてた。まあ、実際、そんなにかかることはないと思うけれど。

夫が合流。もうすぐ予約した術前診察の時間だ。私はその前に内科の診察を受ける。ここで血液検査の結果を聞くのだ。甲状腺ホルモンの値が正常域にないと手術はしない、というのが原則らしい。甲状腺ホルモンが高いまま、手術などのストレスを受けると、甲状腺クリーゼという重篤な症状を引き起こすことがあるからだ。ちなみに、コロナワクチンも、基本的には症状が安定している場合には受けられることになっている。

でも、正常域にならないから手術するんじゃ?

以前、かかりつけ医にも質問した。「じゃあ、私、一生、手術受けられないのでは?」と。先生は、「そうは言っても、ある程度の値なら手術できる」と答えてくれた。

今回の入院申込の際にも、担当の看護師さんに質問した。

「数値が正常域にならなかったら、入院・手術は中止ですか?」
「高い場合は、入院を早めてステロイドなどで下げることもあります」

内科の診察開始。
あぁぁ。やっぱり、甲状腺ホルモン上がってる! 
「薬を1錠増やしましょう。入院予定日の前にもう一度血液検査して、数値高かったら、早目に入院しましょう」と先生。
うぅぅ。

そりゃ、入院がちょっとくらい早まってもたいして困らないけどさ。スーパーで買い物しておきたいし、おかずを作り置きしたいし…。

薬の量も、治療を始めた時と同じになっちゃった。ふりだしだ…。

内科のあとは手術の説明。主に手術のリスクについて。署名する書類も何枚もある。出血、声の変化、カルシウム値の異常、麻酔、などなど。切るのはTシャツのネックのあたり、8cmくらいだとか。果てして目立つのか? 急に痩せたお腹のように、ぽっこり膨らんだ部分を切り取ったら、首はシワシワにならないのか? 痛くないのか? 紙でちょっと切っただけでも痛いんだよ? どうなのよ?

何より、甲状腺を全摘したら、一生、ホルモンを補う薬を飲み続けなくてはならない。生きている間はずっと。

とにかく、今は薬をしっかり飲んで、次の血液検査に備えるしかない。先生や看護師さんは「なるべく安静に」と言うけれど、なかなかそうもいかない。

PCR検査と血液検査

11日後。PCR検査の検体を持って来る。このあと、まっすぐ自宅に帰り、入院当日までは外出禁止だ。コロナには感染していないはず、たぶん。問題は血液検査。荷物は持って来ていないけれど、入院準備はしてきた。今日から入院となれば、夫に荷物を持って来てもらう。

今日も待ち時間なしで採血。今日のファストパスは白い書類。結果までじっと待つ。奥田英朗の「沈黙の町で」を読みながら待つ。あと少しで読み終わるってところで、名前を呼ばれた。

「まだ少し値が高いね。薬を増やしましょう。次は入院の日ね!」

数値はまた少し上がっている。そんな気がしてた。最近は体調からだいたい予想できる。最低血圧、低かったからなぁー。
入院は予定通りとなった。よかった…。

入院当日

PCR検査も陰性。自宅待機の間は、片付けしたり、メルカリの出品準備をして過ごす。

さぁ、予定通り入院だ。なんだか、ひとりだけ、荷物が多い気がする。映画やドラマをダウンロードしたパソコンまで持って来たからね。本も多いな。だって、他にやることないでしょ?

お見舞いは禁止だから、家族に着替えなどを持って来てもらうことはできない。手術した日に洗濯なんて無理だから、入院セットを借りることにした。タオルやパジャマ、歯ブラシなんかもセットになっている。患者さんたちはみんなおそろいのパジャマだ。

事務の方、看護師さん、薬剤師さん、執刀してくださる外科の先生、順にいろいろと説明を受ける。さらに甲状腺ホルモンの数値は高くなってしまったけれど、手術は予定通りだ。

同室には昨日手術を受けた方、今日手術を受けた方、明日受ける方と揃っている。ストレッチャーで手術から戻る方が目の前を通った時は、その首元を見つめてしまった。一瞬、手術が怖くなる。でも、まるで実感がない。こうして病院のベッドの上に横になっているというのに、手術を受けるという現実味がない。

今日はゆっくりお風呂に入った。誰かが作ってくれるごはんは、もうそれだけでうれしい。食べ終わっても洗わなくていいなんて夢のようだ。暇だ。暇すぎて何していいのかわからない。

明日一日、のんびり過ごしたら、いよいよ手術だ。点滴さえ経験ないのに、生まれて初めての全身麻酔。しかも、ひとつの臓器をまるまる摘出する。自分の身体がどうなるのか、まさに未知の世界。
どうなる私! 

#健康  #病気の話 #バセドウ病 #病院



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