(詩)日傘に海を隠して

日差しをよける
屋根もない
さびれた無人駅の
プラットホームに
つっ立って

波の音、聴いていた

ぽっかりと
入道雲の白ささえ
波に映っている

わたしの
ほおの汗にも
波は映っていますか
きらきらと

波音は
わたしの耳に
残されてゆきますか

やがて
あなたといた夏さえ
忘れたあとにも

わたしの耳に

夏の海はいつも
まぶしすぎて


日差しをよける
屋根もない
さびれた無人駅の
プラットホームに
つっ立って

波の音、聴いていた

日傘に海を隠して
波の音だけ、聴いていた

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