(詩)四月の美容室

少女が鏡を見ている
怒った顔して

少女が鏡を見ている
四月の光が
少女の髪を撫でてゆく

ふと一瞬
少女の目が閉じた
美容師のハサミが
少女の髪に入る時
バサッ、と入る時

ほんの一瞬
泣きそうな顔して
目をつぶった、気がした

それから
行き場を失くした
四月の光は
少女のほおを撫でて消えた
少女の涙を、隠そうとして


少女が鏡を見ていた
四月の光の中で

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