(詩)沙織と言えば
ちょっと綺麗だからって
男にチヤホヤされるのが嫌で
煙草なんか吸って
わざとワル振ってた沙織は
本当は心のやさしい子で
じじいの俺なんかにも
気安く声掛けてくれた
たけどあんまりやさし過ぎて
神経過敏になっちまって
中毒みたいに煙草吸いまくってさ
顔色も悪くなって
手とか指も
震えるようになって……
死ぬことばかり
考えるようになった沙織
初めて名前聞いた時
南沙織の沙織だね、って言ったら
めっちゃ、ふりい、って笑った
その笑顔がまぶし過ぎて
沙織、さおり、サオリ……。
その細過ぎる腕の
無数の傷跡
さすって上げたかった
たださすって
あげたかっただけ沙織
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