わたしの灯り

今誰かがひとり
街の灯りが見える場所に
突っ立って

遠くから家々の灯りを
見ているかもしれない

その灯りの波の中には
たしかにわたしの部屋の
灯りもあって

今その人のほおに落ちた
涙のひとしずくの中に
わたしの灯りが
映っていたかもしれない

ぼんやりとそして
人知れず涙といっしょに
こぼれ落ちていった、気がする

この夜を、分かちあえたら

いつか
この夜のさみしさを
分かちあいたい、この夜を

すべての人と
分かちあいながら
生きてゆける
そんな未来も
来るでしょうか

もしもそんな世の中も
けっして
不可能なことでは
ないのだとしたら

そんなことを楽しみに
毎日を
生きてゆく、というのも
そんなにわるくはない

今誰かのために
わたしの小さなともしびが
そしてわたしの灯りを含んだ
いくせんの街の灯りが
そうとも知らずに

今遠くで泣いているあなたを
励ましているとしたら


今この部屋に
ひとりさみしく
ひざをかかえ
ぼんやりと
たたずんでいるだけの
わたしの人生も

そんなにわたしが
思っているほど
無意味なことでも
ないのかも、しれません

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