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#音楽を止めるな が残した爪痕

関わったすべての人たちにありがとうと言いたい

その日、今や大海原のごとく広大となったバーチャルシーンの片隅で、ひとつの、しかし確かに大きな影響をもたらした企画が行われた。
去3月13日の18時から3月15日の18時までの48時間にかけてYouTubeのAZKiChanelで行われた企画「音楽を止めるな」だ。

音楽を止めるな005

この企画はそれぞれのバーチャルアーティストの自薦によって楽曲MVを集め、100曲を超えたら48時間を使って全てのMVをランダムに流し続ける配信とする。というものだった。

発端は今世間を騒がせているコロナウイルスによるイベント自粛の流れであり、2月28日に行われたAZKiオリジナル楽曲MV24時間ノンストップ放送である。


この企画が終わってから、「音楽を止めるな」の公募までの流れが迅速だった。


最終的には100組を超えるアーティスト・クリエイターと、270曲を超える楽曲が集まった。
もちろん、「ただ楽曲のMVを垂れ流しているだけの配信」といえばそうかもしれない。
ただ、間違いなくこの企画は意味のあるものだった。と断言できる。
アーティスト・クリエイターとリスナーが同じ空間にいた。あるアーティストは常に配信に張り付き、ほぼ全ての楽曲に対してコメントをしていた。あるアーティストは自身の楽曲が流れるたびに必ず挨拶に現れた。そしてまた、あるアーティストは自身の配信で同時視聴を行い、「この曲めっちゃいい…!」とリスナーと共に語りあったり、自身の楽曲が流れて机を叩くほど大興奮していた。クリエイターたちもチャット欄に現れ、楽曲についての感想を交換しあっていた。

リスナーにとっては普段直接交流することは少ないクリエイターたちと同じ空間で音楽を楽しめることは新鮮であり、音楽を作る側にとっても、リスナーの思いや言葉をダイレクトに感じることが出来る空間になっていたのではないかと思う。

そして、企業・個人問わず公募したことで本当に様々なアーティスト・クリエイターによる、様々なジャンルの楽曲を知る機会となったこと。これは非常に大きい。王道のアイドルソング、ポップチューン、そして旋律と映像だけで物語を魅せるインスト、自己紹介を歌にしたものや盛り上がれること間違い無しのクラブミュージックからゴリゴリのデスコアまで。普段の自分ならわざわざこっちから聴きに行くまではしなかっただろう楽曲たちも、ある意味強制的に自分の視覚と聴覚に詰め込むことができる。実際、私自身も全く知らなかったり、アーティストの名前は知っていたが今までわざわざ聴きに行かなかった楽曲で「これ良い!」と感じた楽曲がかなりあった。


チャット欄やコメント欄でも度々ネタにされていたDJ RANDOM。ランダム再生の概念に名前が付けられたものだが、これこそが上の方で述べた、「ただMVを垂れ流しているだけの配信でしょ?」に対する我々のひとつのアンサーだと言えるだろう。
オタクたちはただ流れているだけの楽曲、そしてその楽曲同士の繋がりに意味と物語を見出した。
例えば水中へ沈んでいくような描写のMVの楽曲と、海中で歌うアーティストの楽曲が続いたのを繋げてみたり、宇宙をテーマにした楽曲が5曲ほど続いたことに興奮したり、卒業するアーティストの楽曲から始まり、復帰するアーティストの楽曲で終わった偶然を必然だと語ったり。

そしてセットリストを有志の人が配信と同時に作成、紹介していたのも印象深い。
普段のライブの現場でも感じているが、まさにアーティストとオーディエンスの全てが現場を作っている。それそのものだった。


人によって好きな音楽は違う。実際に聴いてみて自分の好きな音楽を見つけてみてほしい。


推しや趣向が違う友人に対しても、「取り敢えずこれ見ようぜ!」と言える企画

正直再生数とか登録者数とかは作品自体のクオリティとは関係ないのは私自身も理解しているつもりではあるが、それでも「こんなに凄い音楽をつくってるのにこれだけしか聴かれてないの!?バグでは???」と思う曲の連続だった。全部良い。


今回の企画に対してAZKiがコメントをよせている。


参加アーティストの1人の93さんはその想いを一つの音楽にしてくれている。


他にも参加したアーティストが思い思いの言葉をツイートしているので、動画自体と併せて「 #音楽を止めるな 」もぜひ覗いてみていただきたい

「本当に楽しい時間が終わったり、当たり前にあったものが無くなった後の喪失感は凄まじい」という言葉があったが、本当にそうだと思う。今回参加できなかった、見たかったアーティストも多くいるので、またこういったバーチャルシーンを横断するような企画をやってほしい。強くそう思った。

音楽はおわらない

AZKiの所属するホロライブは「おわらないホロライブ」をキャッチコピーにしている。
音楽もまたおわらない。

今回の企画の中でひっそりとAZKiチームとVケット運営が繋がっていたりするので、今後の展開が楽しみだ。
エンタメ業界には厳しい現状となっているが、今だからこそ出来ること、ここから生まれるものもきっとあるのだと思う。そう思わせてくれた素晴らしい企画だった。

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