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青乃
2023年2月2日 17:54
守れなかった締切の向こうにあるのは、無の世界である。無の世界は怖い。だから何があってもその期日だけは守らなければならない。しかし、あろうことか、時にその締日を伸ばしてしまうことがある。この時点で締切は守られていないが、日にちを伸ばした瞬間に開放感が生まれる。まさに金を借りて喜んでいる博打野郎状態、もっと悪く言えば、馬鹿の無双状態である。借りた時間なのに、もらった気になっている。冒
2022年10月12日 17:45
私の家は居心地が良い。人はどうか知らないが、私のいる空間は私にとって心地の良い空間を作っているから居心地が良いのである。整ったところも散らかったところも全てが心地よい。何もかも私のなすがまま、裸の王様で良しとして夏の盛り以外は、まるで皮膚の如く褞袍を纏って、亀のように潜り込んで暮らしている。仕事も食える限りで良い、食えなくなったら野垂れ死だ、そんな大口を叩きながら実は密かに野垂れ死を恐
2022年8月7日 00:02
小学校に入学した時、自分が卒業するなんて想像できなかった。この新品のツルツルのランドセルが使い込まれる日がくるなんて。小学六年生は大人だと思っていたし、その上に君臨する先生はその延長にない別次元の大人、校長に至っては最早バーチャルだった。そのうち、私も六年生になった。一体自分は本当に小学校を卒業して良いものかと、自分の名前の書かれた上履きを見ながら、ふと不安になった。私が一年生の時に見た六年生