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【読後感想】第55回新潮新人賞『海を覗く』伊良刹那。芥川賞、本命!

明日?
くらいだと思う。2023下期、芥川賞候補作が発表される。1点張りしよう。オールインだ。
外したらカッコ悪いって!?
たしかにそうかもしれない。でも、当たった時のリターンが大きいと信じている。とか言って、ノミネートすら、しないかもしれない。
それなら、それはそれで驚くが、そういうものなんだろうと、また少し自信を喪失するだけだ。だからこれも、所詮僕だけの話に過ぎない。

それに、いったい何であったら、リターンが大きいと言うのだろう。ただ、言いたいだけなのかもしれない。僕は、知っていたよ。僕は読んでいたよ。僕は、予想していたよって、でも、そんなの、だからなに? そんなレベルの話でしかない。いったいなんだ、この自問。

読みづらいって?💦
すいません。出鼻をくじかれるとは、まさにこのことだった。昨日、粗々で書いていて、今から続きを書こう思ったところだって言うのに、先に結果が出ていた。そして、悲しいかな、『海を覗く』はノミネートされていなかった。この記事を書きたくて、またnoteしたって言うのに、酷い話だ。別にね、選ばれたとか、選ばれなかったとかは、ただの一つの指標でしかない。でも、なんだかとてもショックだな。

取り消し線じゃなくて、削除すればいいのに、そうだよね。現に、夕方の話だったが、結局それもドラフトして、こんな夜に最後の続きを書くことになったわけだし、ますますそうなのだけど、残した。プロセスは、残して置きたかった。本気で信じていたことだけは、ちゃんと記録しておきたかった。

・・・・・・

また、書く気が少し失せる。でも、読んで、書きたくなった。誰かに伝えたかった。ちゃんと最後まで書くが、できれば多くの人に、この作品を知って欲しかった。

2023年
 ヤバイ本
 純文学
 85点
 5.0h

サムネに書いたが、読んでいる間、はっきりと三島由紀夫が見えた。絶対に三島だと思った。

読みながら、読みが分からないだとか、意味が分からないってことで、何度も検索もした。それにしたって、愛が、とかそれが過ぎた気もしたが、「美」このイズムは、確実に三島由紀夫のものだった。

また、このことは本来、あまり触れてはいけないが、彼は17歳でこれを書いた。たまらなかった。知りたくなんてなかった。酷だ。これは、才能って言うのだろうか、なんだろう。正体が掴めない。輪郭も朧気だった。ただ分かるのは、シンプルに降参、脱帽だった。

悔しいとか、そういう感情があってもいいのかもしれないが、これは逆立ちしたって書けそうにない。やりたいことは近く、その到達点が、見えないとかそういう話ではない。純粋にレベルの違いをはっきりと感じ、すがすがしくもなる。今は、そういう気持ちだ。

だから、ということもあってか、僕はこの作品が評価されて欲しい。

面白いの?
→僕は好きだよ。でもニッチだね。違う……場違い? 時代に合っていない。面白いとは思うが、理解されないと思う。だけど傑作だよ。

三島三島って言ったけど、これはね、現代の小説じゃない。たとえば矢谷、部長ね、あんな奴いないよな。

こんなことを書いても伝わらいないことは分かっているのだけど、すごいんだから。ほんとうに。読めば、分かる。だとか、そんなことを言っちゃえばおしまいだろうけど、誰かと共有したい、誰かと共感しあいたい。

速水と北条。そして矢谷。完璧すぎる。こんな人間、こんな高校生はいない。文体全部に覚悟を感じたし、とにかく追究していた。それは「美」をなのか、でもはっきりと正体が分かるような簡単なものでもない。

三島、三島と書いたが、読み終わって選評や本人インタビューを見れば、やはりそうだった。それが分かったことも、それを伝えた力もすごい。本人は隠そうとしていたらしいが、ぜんぜんダメだった。滲み出ていたww

三島由紀夫の偉大さを知れる。もう、ナルシシズムなんだけど、よかった。こだわりを感じた。

選評はどれも楽しく読んだ。個人的には金原ひとみのが一番よかった。引用する。

 主人公速水は、同級生北条の美しさに惹かれ、絵のモデルになってくれと依頼する。しかし北条は同じ美術部の山中と付き合い始めてしまい、速水は激しく動揺する。
 気合の入った耽美小説。スマホやインターネットの描写がほぼ削ぎ落されていること、美術部の部長である矢谷との密度の高い言葉の応酬、全編に貫かれた様式美には徹底したものを感じ、書き手としての強さを存分に感じた。美についての議論が高まる割に変態性が1ミリも表出しないことに物足りなさを感じ、低い評価をつけたが、そもそも主人公の実存的な不安に共鳴できなかった自分がこの作品を評価することには懸念もあった。
 究極的に言えば、今この小説を書くことの必然性があまり感じられず、プレイとしての耽美小説に感じられてしまったところに引っかかってしまったのだが、大澤さんと上田さんの本作への情熱的な言葉を聞いている内、そもそもこの世にプレイ以外の耽美小説が存在したことなどなかったのかもしれないとも思い至り、同時受賞を推奨した。

いいですよね、プレイとしての耽美小説ww

まただ、結局ここまで来ても、作品の輪郭くらいしか書き伝えることができそうにないや。

めちゃくちゃ面白いのかって言えば、そんなことはない。それは、広く一般的には、という意味で、繰り返しになるが、でもとにかく僕は、大好きだ。

そうだ、三島つながり、と言ってもいい、平野啓一郎さんのデビュー作、『日蝕』もそうだった。難語の連続だった、読むのはしんどかった。でも、芥川をとった。あの世界観、あれを評価したのなら、『海を覗く』にこそ、正しく? それは奢りかもしれないが、そうであって欲しかった。

もうこれ以上はやめておく。とにかく彼の次の作品が楽しみだ。期待する。

さいごに、
冒頭でも書いたが、芥川賞候補作が発表された。

<第170回芥川龍之介賞候補作品>
・安堂ホセ『迷彩色の男』
・川野芽生『Blue』
・九段理江『東京都同情塔』
・小砂川チト『猿の戴冠式(たいかんしき)』
・三木三奈『アイスネルワイゼン』

川野芽生さんは初ノミネートとのことだ。他の4人については読んだことがある作家たちだ。また安堂ホセの『迷彩色の男』は実際に読んだ。この4人のうち九段理江、三木三奈のデビュー作は、よかったと記憶している。

こんなことを書くと、性格の悪さが露呈するが、僕はやっぱり『海を覗く』がいい。伊良刹那の『海を覗く』こそが、選ばれて欲しかった。好きだ。

それだけは、声を大にして言う。

こういう書きぶりになるとは思っていもいなかったが、とにかく久しぶりに記事を3本書いて、少しは満足した。僕のターン終わり、みんなの記事を読みに回る。積極的にコメントもして行きたい。年内には、次の小説の概要を固め、書きはじめよう。noteも、なんでもないことでも、短い記事でもいいからまた始める。リスタートみたいなものだ。新しい職場にも、慣れてきたことだ。

また書く。他愛もないことも書く。というか、だいたいがそれだと思う。でも、可能な限り面白い記事を書くことに努める。

最後まで読んでくれてありがとう。それではまた次の記事で! 過去記事も、よかったら読んで欲しいな♬
それではまた。

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