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【読後感想】第66回 群像新人文学賞『もぬけの考察』村雲菜月

2023年
 シビレル本
 純文学
 80 点
 2.0 h

やられたあ。物語終盤からめっちゃ好きっす。はい、うん。。
今年の群像新人文学賞はよかった。そうだね、面白かったよ!

かくいう僕は、『境地』という小説を書いて、この賞レースに応募した。
先月の文學界でも、同じことを書いたね。そして、この見出し画ね笑
どうですか、こういうのww

そうですね、
文學界に応募した『羨望』はかなり自信があった。が、『境地』は前に話したことなんだけど、かなり荒唐無稽な話なんだよね。そしてね、選評委員に町田先生がいたから、出した。という話だ。受賞できなかったのは残念だ。

そして、僕の代わりに彼女が受賞した。おめでとう。それに、今年は当選作は2作で、もうひとつはこれから読んで、また記事にする。とりあえず、読んだ順に感想を述べる。

そうだ、点数はなんと80点!これって、僕がここ5年で読んできた純文学の新人賞の作品で一番高いんだよね!!

参考に次点を以下に挙げる。点数75点の作品群だ。
・第128回文學界新人賞『ハンチバック』市川沙央 
・第127回文學界新人賞『N/A』年森瑛 
・第59回文藝賞
 『ビューティフルからビューティフルへ』日比野コレコ 
・第64回群像新人文学賞『鳥がぼくらに祈り、』島口大樹
・第52回新潮新人賞  『わからないままで』 小池水音 

あっ!!アーカイブをあさって気がついた。
ごめん。2019年には
・第56回文藝賞 『かか』宇佐見りん
        『改良』遠野遥
があったわ汗
この時は点数つけはしていなかったが、まあ、80点だな。
それにこのお二方は次作で芥川賞ですわ。

上にあげた新人賞の次点だ、という作品、いっぱいあるじゃん!なんていうつっこみが入りそうだが、よく考えて欲しい。

だいたい、年間5作品ぐらいで、直近5年で、ってなると25作品になる。という背景が分かれば、僕が挙げたのが半分以下だってことが分かる。

少し、トゲがあることをいう。先に断っておく。

だいたい、純文学の新人賞ってのは、正直あんまり楽しくない。というのが相場だ。
それが、僕の感想です。一番点数が低いのには45点ってのもある。
上に挙げたように75点もあるが、60~70点という範囲が多い。

あくまで僕の感想だ。
宇佐美りん、遠野遥以外で、新人賞以外の作品を読んだのは、島口大樹だけだ。『オン・ザ・プラネット』、80点。面白かったよ。余談までに。

長くなった。要は、『もぬけの考察』は高得点だという話だ。

超簡単に言えば、
世にも奇妙な物語
的な感じ。

雑だなー。と、僕も思うし、たぶんこれからは読んだ人にしか分からない話をするだろう。マニアックの話を。そしてあらすじの話は、たぶんしない。

さ、て、
パンチラインというパンチラインはなかったが、繰り返しで恐縮なんだけど、僕はね、とにかく終盤がめっちゃ好きっす。

私の人となりを簡単に説明するとエレベーターに乗り込む時、いつも落ちると思う側の人間である。
(中略)
絵というものは描いている間に考えていたことにこそ価値があるのではないのかと私は常々思っている。そうして、描いている間に対象物のことを熱心に考えている人間なんていうのはそうそういないとも思う。おそらくは愛する恋人の肖像画を描いている時くらいであろう。大体の人間はリンゴを描きながらリンゴのことなんか熱心に考えてはいないだろうし、ブルータスをデッサンしながらブルータスの人生に思いを馳せたりなんてしないだろう。

群像2023年6月号『もぬけの考察』村雲菜月 抜粋

そろそろ終盤だ。ん?やばいやばいやばい、面白いぞ。と読み進めて、上に抜粋したところから、終わりまで約6000文字なんですが、ずっと面白いです!

そうだ。雑誌で読んでいることもあってか、今回はじめて気になるところにマーカーを引きました。パンチラインに引ければよかったのですが、僕の、「気になる」というところは、「違和感」として線が引かれました。要は、批判的意見だと捉えてもらって結構です。意見が聞きたいです(って、それはなかなか叶いませんが汗)。

下に挙げる(読んだ人にしか伝わらないだろうけど汗)。

そこではおそらくこのようなことがあった。

群像2023年6月号『もぬけの考察』村雲菜月 024 上段 1行目

野菜炒めを作って、味噌汁と白米をよそってテーブルに並べた。

群像2023年6月号『もぬけの考察』村雲菜月 026 上段 13行目

半分程度コーヒーが残っていたマグカップを床に落として、その衝撃でフローリングには存外大きな凹みができた。

群像2023年6月号『もぬけの考察』村雲菜月 026 下段 22行目

上から簡単に説明する。
ひとつめ:なんだその言い方。誰だよお前!?
ふたつめ:そんないきなりできますか!?
みっつめ:カップ割れないですか!?

ズレた意見かもしれませんが、僕には気持ち悪い違和感が残りました。

016 下段 2行目以降については、いいと思う。でも、上に挙げた3か所の違和感は、とにかく納得がいかないんですよね汗

実験的な作品だと思う。でも、自由でよかった。
さいごのよがり方、僕は好きだな。
 

次の記事では同じく第66回 群像新人文学賞の『ジューンドロップ』夢野寧子について書く予定です。明日読めれば明日中には。遅くても明後日までには読んで、書きますね。

最後までに読んでくれてありがとうございます。
また次の記事も読んでくれたら嬉しいです(過去記事も)。それでは。


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