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長尺貨物のバンニング

今回はよく問い合わせを受ける長尺貨物のバンニング・デバンニングの解説をします。熟練の現場の方には当たり前のことが、現場を見た事がない人には全くイメージが湧かない代表的な作業です。

多くの方の物流リテラシー向上のためにも解説していきたいと思います。

よくある問い合わせ


長尺貨物について、よく質問を受けます。
というのも会社で扱っている製品が長尺貨物が非常に多いからです。

定尺材と呼ばれるものが12FT=3.65mで大きいものだと33FT=10.05m、特別なものだと更に大きいからです。

出荷計画を担当者から
「リフトでは縦に掴めないのでコンテナに入れられないと思うんですけど、どうしたらいいですか?」と聞かれます。

私「横からリフトで持ち上げられるんですよね?それなら問題ないからそのまま出荷してください。」と言うと
担当「いや、でもコンテナってトラックみたいに横が開かないじゃないですか?」
私「スイングするんですよ。こういう風に。」と手を広げて体を振るジェスチャーします。
担当「???」と首を傾げます。

長尺貨物の荷役はイメージが難しい作業なのです。

バンニング方法


文章で説明するより図解です。
こういう作業を行います。

長尺貨物のバンニング方法

貨物をスイングさせてコンテナ中に端が入れば、その後にフォークの爪を抜いて、外に出ているもう一方の端から持ち上げて、あとは押し込むだけです。

動画も参考にして下さい。
https://x.com/aomina101/status/1749284300502282555?s=46&t=nOOkzlLKLw7ab2HskDUgcA

デバンニング方法


積み込みは分かったけど、荷下ろしは?と次の質問です。
これも図解の方が早いでしょう。

長尺貨物のデバンニング方法

どうしても、引っ張ると壊れてしまうイメージがあります。しかし、押して壊れなかったパレットであれば引っ張ても壊れません。

基本的には大丈夫です。
(たまに壊れてしまう事もありますが、コレは出荷元に梱包改善を要請しましょう)

一番NGなのはロープやワイヤーでパレットの脚を括り、引っ張る作業です。これだとその脚だけに力が掛かり、パレットが破壊され、破損した部材とワイヤーがリフトマン目掛けて飛んできます。どうしても人の心理から、コレをする方が絶えませんが、一歩間違えれば死亡事故に繋がります。絶対にやめましょう。

梱包の注意点


長尺貨物は上記作業を行いますので梱包強度がそれなりに必要です。

貨物が大きく反ってしまうものだと押し込めませんので十分な強度を保つように設計して下さい。

またリフトの爪を入れるパレットの足の部分も十分な強度が必要です。押し込む際、引っ張る際に折れてしまうからです。重たい製品だと爪が入らなくなってしまいますし、製品自体の損傷リスクも高いです。

荷役中の多少の接触は避けられませんので、製品を梱包でしっかりと保護していきましょう。

課題


長尺貨物のバン、デバンは可能と分かりましたが、コレを倉庫や工場に入れるには問題があります。間口の幅は3-5m程度が標準的で、大きくても10mを超える扉は殆ど存在しません。

これには横行可能なリフトが必須になり、どこでもハンドリング出来る訳ではありません。

上屋に入らないから、トラックを到着日当日に待機して欲しいと依頼を受ける事もあります。

また長尺貨物で航空機への積載であれば747ノーズフレーターとMDL(Main Deck Loader)2台が発着の両空港で必要で輸送経路の考慮も必要です。
https://x.com/aomina101/status/1727329278604521741?s=46&t=nOOkzlLKLw7ab2HskDUgcA


まとめ


このようなちょっとした作業もできるだけ記事にして、初めての方でもさっと理解できるようにしていきたいと思います。リクエストあればぜひご連絡ください。

以上、今回はここまで。
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