【心臓リハ】眠りの知識|眠りの本3冊(まとめ)ーその2
4.どう睡眠をコントロールするか
🔹 眠気は体内時計によっても訪れる
眠気は脳の疲れによって生じるものであると同時に、脳内時計によっても訪れるので、この2つを理解してコントロールすると、眠りのサイクルを作ることができる。(①)
🔹 時差ボケはなぜ起きる?
すべての細胞に、体内時計を駆動する時計遺伝子のセットが備わっている。ただし、自律的、永続的に時計遺伝子の周期をリズミカルに発現するのは、脳の視交叉上核だけ。ここがマスタークロック(親時計)の役割を果たしている。すべての細胞はこの時計シグナルがないと時を刻まなくなる(末梢時計)。
体内時計があまりにも正確だと、一日24時間のリズムからずれる。そこで、外界の明暗サイクルに反応して、なんとか周期を合わせている。マスタークロックは明暗に同調しやすい一方、ほかの細胞がそれに追いつく時間がばらばらなため、時差ボケになる。(②P77)
🔹 照明の影響
天井の照明を直接見ると網膜に入ってくる光が約800ルクス。室内を見ると300~400ルクス。晴天時の外は十数万ルクス。窓際で外を見ただけで8000ルクス。特に明るいコンビニチェーンは1500ルクス。パソコンに顔を近づけて作業をすると1000ルクス以上。室内で電灯の光にさらされるのは体内時計への影響は限定的だが、深夜まで長時間だと影響は無視できない。(②)
🔹 ブルーライト
ブルーライトは可視光線の中で最も波長が短い。紫外線に近く、強いエネルギーをもっていて網膜に到達しやすい。太陽光にも含まれてるが、LEDではブルーライト領域の光の比率が非常に高い。(②)
光で体内時計を調整する時、午前中の光は体内時計を朝型に、時刻を早める(早寝早起きにする)効果がある。夕方からの深夜の光は、逆に夜型にする。昔は午前に太陽光を浴びれば午後の光で夜型になってもやや朝型にできていた。これが日没後に人工照明を浴びるようになったので、夜型に向かわせる効果が生じている。午前中にできるだけ太陽光を浴びて体内時計をリセット(早める)のが肝要。日本人は体内時計の周期が24時間を超える人が76.5%なので、放っておけばどんどん夜型になる。(②)
🔹 光以外の影響
体内時計には、非光同調という食事や運動の要素も影響している。光だけではなく食事に含まれる特定の栄養素やその摂取時刻、運動によるカロリー消費や呼吸、感覚、圧力等の多様な生体刺激が肝臓や消化管、肺、骨などにある末梢時計の時間調節に寄与する。(②)
5.眠るためには
🔹 眠れない時
眠れなければベッド、寝室から必ず出ること。眠れないという強迫観念で、主観的に不眠症状態になる。眠れない体験を寝室で繰り返すと、寝室=覚醒するという条件反射が起きる。また、何かをしていれば眠くなるというのも逆で、本を読むのも脳を覚醒させることになってしまう。眠れなければ眠らないでいれば、最低限の睡眠は訪れるので大丈夫。(②)
🔹 眠るためには(②)
●光
●眠くなってから床につく
●同じ時間に起きる
●刺激物を避ける
●自分なりの方法でリラックス
●規則正しい食事と運動
●昼寝は午後3時までに20~30分以内
●眠りが浅い時は睡眠時間を短くし遅寝早起きにする
●晩酌の場合、寝るまで4時間のインターバルが必要
●照明は暗く(③)
●夕食は眠る2~3時間前まで(③)
🔹 寝具(③)
通気性:体温変化に対応をもたらしやすい
深部体温が入浴前よりも下がらないと眠くならない(90分を要する)
・タオルケットやシンサレートが適している。
・枕は通気性(頭を冷やすもの)を重視して選ぶ。ウレタン枕は良くない
あとがき
「体はどうやって時間を知るのか」は、私のずっと以前からの疑問だった。今回、人間を含めた生物は、体内に正確に時間を刻む遺伝子を持っているのを知った。もっと腹時計のような緩やかな仕組みだと思ってけれど、遺伝子とは意外だった。
そして、時計の修正に「光」を使っているのも、確かに理にかなっている。光をコントロールすれば、眠りがコントロールできるというのが、今回いちばん教わったことだった。
夜、帰って部屋の電気を点けると、窓際の水槽のメダカが、気持ちよさそうに眠っている。眠っているメダカは、上手にバランスをとりながら、水中に止まって揺れている。部屋が明るくなっても動かない。
彼らの夜明けは水槽に光が入る朝の7時、彼らの夜は夕暮れが終わり空が暗くなる夜の6時。私が帰る時刻は、彼らにとっては真夜中なのだ。静かに、起こさないように、水槽の周りを光除けの板で覆う。
今日も小さな命の心地よさそうな眠りを見ながら、彼らのように眠りたいと思いながら、私も眠る。
(終)
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文:Ⓒ青海 陽
読んでいただき、ありがとうございます!☺ かつての私のように途方に暮れている難病や心筋梗塞の人の道しるべになればと、書き始めました。 始めたら、闘病記のほかにも書きたいことがたくさん生まれてきました。 「マガジン」から入ると、テーマ別に読めます(ぜんぶ無料です)🍀