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青豆の自己満足

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自作のショートショート・短編小説の中で、気に入っているものを纏めます。 他人の評価は関係なく、自己満足のためにここに集めていきます。
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2023年9月の記事一覧

空がレースに見えたなら(シロクマ文芸部)

月めくりをめくる夜は、満月の頃がふさわしい。 満月の夜。明るい月夜に、そっと音を立てずに…

青豆ノノ
9か月前
97

妹よ (#シロクマ文芸部)

「『読む時間を持てなくなった妹へ』って、これ私への嫌味?」 妹は笑っている。弱々しいが、…

青豆ノノ
10か月前
109

液体 (短編小説)

私はいつからここに横たわっているのだろう。もう瞼を開ける力はない。もとより体は動かない。…

青豆ノノ
10か月前
110

秋を好む人 (シロクマ文芸部)

秋が好き、とは言えなかった。 18年前の日本で、その夏一番の暑さを記録した日に生まれた。 …

青豆ノノ
10か月前
123

それは希望の香り 【呪いの臭み】

「空気を読めなんて昔は言っていたが、今の時代は違う。空気を“嗅ぐ”んだよ」 今は『嗅ぐ時…

青豆ノノ
10か月前
95

罵倒教室 (短編小説)

「名前はルイといいます。30代前半の男性、会社員です。会話の中では、家庭環境のこと、両親…

青豆ノノ
10か月前
82

雑草 (短編小説)

ヨガをしながら窓の外に見る今朝の空は、どんよりとしていた。 普段ならため息が出そうな怪しい雲も、今日は味方になるかもしれない。 窓に近づき、庭を見る。 夏の間放置していた雑草が伸びて、リビングから庭に降りるための階段を覆い始めている。 初秋とはいえ毎日気温は高い。曇っているこんな天気の日こそ草むしりには向いている。 ヨガのレギンスをジーンズに履き替えようと思ったが面倒で、そのまま長袖のジャージを羽織り、軍手をはめて庭に出た。 先月仕事を辞めてから、家で過ごすゆったりした時間

爪 (短編小説)

バスタブに湯を張る。 寝起きの怠さと、昨晩の酒が体を重くしている。 湯気の立つバスタブの前…

青豆ノノ
10か月前
124

占いスープ (短編小説)

「よう来た…ね」 妙な間があった。 紫色の長いワンピースを着た女性は、健康な大人のおよそ3…

青豆ノノ
10か月前
83

母の光 (短編小説)

暮らしを共にしていない母とのやり取りは、Eメールを使うようにしている。 不規則な生活を送る…

青豆ノノ
10か月前
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渇望 (短編小説)

「あなたの想像力と結婚したいのです」  私は正直に言った。今はまだ売れない小説家である彼…

青豆ノノ
10か月前
128

オールド・クロウ (短編小説)

「16時か…」 どれだけ寝ても取れない“疲れ”のようなもの。今私が抱える全身の怠さは、ベッ…

青豆ノノ
10か月前
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