津波注意報が出たから高台へ避難?
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3月20日に宮城県で最大震度5強の地震がありました。宮城県沿岸部では「津波注意報」が発令され、石巻の沿岸部に住む住民らが日和山公園に避難したというニュース。地震での被害はあったが、津波の被害は現時点でなし。
このニュースを最初に聞いたときの感想。今回は注意報は空振りになったけど被害はなくてよかった。10年前のこともあるから早めの避難をするのが大切だろうね。
しかしこの程度で終わらせていたら思考停止で良くないと思ったので(参照:自分の意見がないのをどうにかしたい)、よく調べてみることにしました。
津波注意報とは
そもそも津波注意報とは何でしょう。
下の表は、気象庁による津波警報・津波注意報の種類を示したものです[1]。
(引用:気象庁, 「津波警報・注意報、津波情報、津波予報について」, https://www.data.jma.go.jp/svd/eqev/data/joho/tsunamiinfo.html, (参照 2021-03-21))
これによれば今回の津波注意報の発表基準は「予想される津波の高さが高いところで0.2m以上、1m以下の場合であって、津波による災害のおそれがある場合」となっています。
予想される被害は「海の中では人は速い流れに巻き込まれ、また、養殖いかだが流失し小型船舶が転覆」することであり、取るべき行動は「海の中にいる人はただちに海から上がって、海岸から離れてください」となっています。
つまり津波注意報は、海の中にいる人・海岸の近くにいる人に向けたものです。沿岸部の人が高台に避難する必要があるのは、津波警報または大津波警報の場合なんですね。
正しく怖がる
この記事では「津波が来るから」という理由で建物にいる人や駅構内にいる人が高い所に避難したとのことですが、気象庁の基準からするとその必要はなかったと言えます。
もちろん予想より高い波がきて、甚大な被害を及ぼす可能性もゼロではありません。なので避難した人を非難するつもりはありません。
ただ僕がいいたいのは、「津波注意報がきたから避難する」のではなく、避難する場合でも「本来は高台に避難までする必要はないが念のため避難する」というようにリスクをしっかり認識した上でのリスクマネジメントが必要だということです。
駅構内のコンビニの店員に「タクシーですぐに日和山に逃げなさい」と言われた女子高生は、なけなしのお金でタクシーに乗ったはずです。そして結局何も起きなかった。こんなことが数回続くと、「津波注意報って大したことはないんだ」と間違った学習をしてしまいます。そして本当に逃げなければいけない状況で避難が遅れるという事態になりかねません。
メディアも伝えるべきだよね
僕も最初は津波注意報の発表基準を知らなかったので、「空振りだった」と評価してしまいました。このニュースに対する他の方のコメントにも同じように「空振りだった」と評価するものがありました。
しかし津波注意報の定義からすると「空振り」でもなんでもありません。
新型コロナウイルス感染症でも同様の現象が起こっていましたが、メディアがただ騒ぎ立てるだけ騒ぎ立てて逃げ散らかして知らんぷりの様相は良くないと思うのです。
もっと伝わるべき情報が伝わる報道であってほしいと思いました。あるいはメディアに期待するのではなく、自分で調べる力が必要なのかもしれませんね。
結論
・津波注意報が出たら、海の中・近くにいる人は海から離れましょう
・津波警報以上が出たら、沿岸部にいる人は高台などへ避難した方が良いでしょう
参考文献
[1] 気象庁, 「津波警報・注意報、津波情報、津波予報について」, https://www.data.jma.go.jp/svd/eqev/data/joho/tsunamiinfo.html, (参照 2021-03-21)
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