欲求とメンタルヘルス【マズローの欲求階層説】
心理学の中で、人間の欲について考えた理論の1つに「マズローの欲求階層説」があります。
この理論は人間の欲求は5つの階層構造でできていて、下の階層の欲求が満たされて、初めて上の階層の欲求が満たされるという理論です。
各階層の中身は読んでみてのごとくなのですが、
このピラミッドを見ていて、ああ、「この階層ってメンタルヘルスの問題とも対応してるな」と気づいたので、考えたことを少しだけまとめていきます。
生理的満足については「衣食住」ですよね。
まず食事については、栄養バランスが悪くなったり、欠食が増えることは、うつ病の要因にもなります。食欲の問題はうつ病の症状でもあります。
睡眠がしっかりとれないとメンタルヘルスが不調になります。住環境が劣悪な環境だとよく眠れないこともありますし、暖かい環境ではないと気分がわるくなってしまいます。
双極性障害でも睡眠リズムや食事リズムの悪化が症状の揺れを大きくすることが多くあります。
次の階層は「安心安全」です。
安心安全が脅かされ続けると不安が生じ、それが長く続いたり、その衝撃が大きいと急性ストレス障害やPTSDになることもあるでしょう。
災害や戦争もそうですし、パンデミックもそうです。虐待やDVなどの暴力の問題もそうです。
また、安心や安全がテーマとなる精神疾患には強迫症やパニック症もあります。
例えば、汚染されることで自他が危険にさらされることについての恐怖は強迫症のテーマの1つですし、心臓発作などで死ぬかもしれない恐怖はパニック症のテーマの1つです。
その次は「愛情と所属」です。
対人関係が希薄になったり、ひとから阻害されることはうつ病のリスク因子になります。
ソーシャルサポートは、うつ病でももちろんのこと、さまざまな精神疾患からの回復を促したり、発症を予防する要因でもあります。
社交不安症でも、他者からネガティブな評価を受けることについて恐怖を感じることがそのテーマになります。
幼少期の愛着についてのあれこれも、メンタルヘルスに影響することもわかっています。
さらに上の階層にあるのは「承認欲求と自尊心」です。
パーソナリティ関係の疾患では、相手から受け入れられているかどうかを過剰に気にし過ぎてしまうことで、不適応的な状態になることがあります。
その他、うつ病のテーマである達成動機も、自己評価に値することを満たせているかどうかについて、周囲からの評価も含めて達することができていないと、うつ症状が生じるというモデルで説明されています。
そういった意味では社交不安症も、周囲からの評価が原因となっているため、承認欲求や自尊心が脅かされている状態と言えるかもしれません。
最後は「自己実現」です。
アクセプタンスアンドコミットメント・セラピーでは、メンタルの悪化に共通する要因として、じぶんじしんがどの方向に向かいたいかが明確ではないことがあると述べています。
やりたいことが見つからないと、行動がなかなかしにくかったり、いやな事柄を避ける方向性での行動が増えてしまいがちになり、うつや不安が続いてしまうということが起こります。
あるいはやりたいことが見つからなかったり、達成してしまったあとで暇な時間ができると、なんらか不適応的な行動をしてしまうということもあります(依存関係の行動や不安症関連の回避行動などが起こります)。
これ以外のメンタルヘルスの不調についてもこの欲求階層説に関連させて考えることができると思います。
そして、メンタルヘルスの不調は1つの原因ではなく、複数の原因がからみあっているので、今日の記事だけで説明できるわけではありません。
こういった理論が当てはまる当てはまらないは人それぞれではありますが、なにかの考えるきっかけにしてもらえたらなによりです~。
それでは最後までお付き合いいただいてありがとうございました。
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