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COVID-19禍の教育を振り返る論文

今日は職場の論文を読む会(Journal Club: JCといそうです)で取り上げられた、COVID-19禍の教育を振り返ろうという論文をご紹介します。

教育関係の方以外には結構マニアックな内容ですので、予めご了承ください。

緊急事態の代替授業のことです。いつも通りの授業ができなくなったときにわたしたちはどうやってきたでしょうか???

COVID-19禍で、授業環境が混乱していて、90%の学生が学校に行けなかったというUNESCOの調査があります。このようななか、通常の授業はもちろんできませんでした。そんな中でも、私たちは、さまざまな代替授業を考え、おこなってきました。

危機的な状況のときには、さまざまな立場があることなども含めて調整する必要がありました。事務さんと教員ではスタンスがぜんぜん違います。理想を言っても実際はできないこともあれば、指揮系統の関係でうまく回らない部分もあり、特定の人の意向など政治的な部分や倫理的な部分がまずはノイズとしてあらわれてくるようです。

そういうときこそ、いろいろなひとがチームとなって、メンバーで、多面的な方法論を検討することで、より良い授業計画を立てることができるようになります。

質の高い教育というよりも、まずは教育の継続を目的とすることです。単位認定の問題が学生におこらないように、教育を停止させず、続けるということを優先的に考えたほうが良いです。

実習など今やってることの代替案をどうするか?ということに目が向きがちですが、どんなことをするかではなく、専門性やプロフェッショナリズムなど、本来伝えるべき価値にも注目する必要があります。

実現可能性があるかがだいじです。やれなければ意味がないです。ZOOMを使ってどうするか、IT機器を使ってどうするかなど、できる解決策を検討する必要があります。特に、遠隔での対応をどうするかということで、動作が途切れないようにどうするか、学生がIT機器を持っているかどうか、通信環境の問題など、途切れない対応が必要になってきます。

われわれはそういう状況に慣れておらず、どうしていいのかはみんなわかりませんでした。うまくいくためには、自分ができるだけではなく、所属教員全員がうまくできるように、遠隔授業のやり方を教えていくことが重要でした。もちろんいやいややる人もいれば積極的に参加する人もいて、意識は多様です。

海外ではMOOCを利用し、わが国ではZOOMのウェビナーやYouTubeライブ配信などを利用して授業を継続してきました。

最初は緊急時で質の低い対応にはなりますが、だんだんと慣れてきます。スノーボールと言って、転がっていくうちに良い対応をできるようになりますし、実際に私たち教員はそのようにしてきました。

緊急事態でのいいアイデアを出しても、あけたあとで元に戻ってしまうのは良いことではありません。通常の教育でも改善策として取り入れていくことが必要です。

この状況から学んだ教訓は、緊急時の対応だけではなく、通常に戻った際に、どんな価値があったのか?を問い直すことです。通常に戻ると、緊急時のことは忘れ去られてしまいます。あらためて、この状況下だからこそできたことを、今後に活かしていけるようにできればと思います。

最後まで読んでいただいてありがとうございました。

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筆者 あおきしゅんたろうは福島県立医科大学で大学教員をしています。大学では医療コミュニケーションについての医学教育を担当しており、臨床心理士・公認心理師として認知行動療法を専門に活動しています。この記事は、所属機関を代表する意見ではなく、あくまで僕自身の考えや研究エビデンスを基に書いています。

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